虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

キレイなはてブロには振り返ることを誓うよ

行から帰ってきた。会うことができた友人達に改めて感謝を。

OSRUM/DOIMOIスプリットシングル発売記念ツアーin奈良NEVERLAND。到着時間の関係で一組目のAge Factoryが観られなかったのが残念だが、いいライブだった。以下出来るだけ簡単に感想をまとめようと思うが、無理かもしれない。

  • TADZIO。初見。ギターとドラム(両者ともヴォーカル兼任)の女性デュオなのだが、圧巻だった。様々な表情のノイズをギターから引き出し、シンプルなドラムパターンでぶつけていく。観ている最中ずっとFRICTION的なポップさ、という表現が浮かんでいたのだが、冷静に考えるとおかしいような気がしなくもない。なぜか巫女服だったのだけれども、どこか呪詛的というか、ロックへの愛情が感じられず、ロックをやろう、というよりは世の中とケンカするための手段としてロック(ノイズ)がある風で、むしろ表現として誠実なのではないか、ということを考える。
  • LOSTAGEFUJI ROCK '12で観て以来だったのだが、新曲で固めたセットがとにかく良く、新譜が楽しみになるような理想的なライブだった。ここから三組は言ってしまえば『グランジ/ポストコア/(オールドスクール・)エモ』に対する愛情を三者三様で、という感じになるのだが、最もギターロック的な洗練とメロディの美しさが際立つ、おしゃれな音楽性のバンドだなという印象をあらためて持った。MCもぶっきらぼうながら地元らしくリラックスした様子で、DOIMOI杉山氏がツイートしていたように『英雄』感のあるステージングだった。
  • DOIMOI。初見。今回の目的というか、彼らを観るために奈良へと赴いたようなものだ。ギター・ヴォーカル/ギター/ベース/ドラムのシンプルな4ピースで繰り出される『カリフォルニア発名古屋永住系エモーティブ・ナード・メタル』に、ギター杉山氏によるインチキ外タレMC(東京コミックショーのアメリカ人版みたいな)と、いかついサウンドをユーモラスに鳴らす独特のステージングはやはり唯一無二であり、観に来て良かったと強く思った。アンセム「円群」はもちろん、「オリンピック」、「静かな庭」と音源で死ぬほど聴いた楽曲が目の前でさらにいかつくなって再現されていくのをただ夢中になって聴いていた。「小鳥」になるともう聴きながらずっと涙をこらえていたぐらいで、やはり自分にとって特別なバンドだ。と言いつつも物販では未聴だった1stをTシャツとともに購入。できるだけ近いうちにまた観たいが。
  • OSRUM。初見。AS MEIASとZはいちおう聴いているので魚頭圭という人の表現には触れているのだが、きちんと観るのは初ということになる。えげつないまでにただ重い音が終始うねるように襲いかかってくる体験にはスリリングを通り越して若干の恐怖を覚えた。シングル曲「すでに帰りたい」は名曲だし、全編通して格好良いのだが、何よりも久しぶりにロックに対して恐怖感を覚えた、というのが大きい。ロックはこうでなくては、と言い切るのも極端だが、こういうロック、こういうバンドを体験しておかないとな、と思った次第だ。

簡単にはまとめられなかった。

崎愛生 3rd CONCERT TOUR『The key to Lovin'』。よだれむしバンドはリズム隊がそっくり交換になっていて、前回のツアーとは別種のグルーヴ感があり興味深かった。個人的には前回の方が好みか、と思うものの、今作今バンドならでは、という盛り上がりもいくつもあり、何よりもバンドに対する信頼感は変わらず。そして豊崎愛生自身の表現者としての成長と、アルバム・コンセプトによる歌い分けが感じられたのも良かった。セットリストは伏せるが、以前の楽曲などは今演ることによって明らかに別の良さが現れていたし、圧倒的な感動とともに時間のはかなさ、瞬間にだけ現れる魔法の美しさを垣間見たステージだった。これからツアー後半を観に行くという人も期待して良いと思う。

。7Inch.シングルとbandcamp漁りにほぼ同時にハマってしまった。どちらもあまり高価なものに手を出していないから単価はそれほどではないのだが、こまごまと買ってしまい、結果的にそれなりにまとまった出費になる。やはり僕は買い物という行為が一番好きだ。

日のCD。

THE MORE YOU TANGLE,THE MORE WE HEABY METAL

THE MORE YOU TANGLE,THE MORE WE HEAVY METAL

 

DOIMOI『THE MORE YOU TANGLE, THE MORE WE HEAVY METAL』

日本のバンドによる1stアルバム。2006年発表。2009年の次作『Dialectic And Apocalypse』は僕が考える完璧に近いロック・アルバムでありかなり愛聴しているのだが、今作もとても良かった。再生を開始してのシャウト一発で持っていかれてしまう。デビュー・アルバム、挨拶代わりの第一声として完璧と言っていいだろう。メインのソングライターである杉山氏がこの時点ではギターではなく主にドラムを担当していたというのも関係するのか、その後に複雑化していく曲展開と比べて(良い意味で)隙間を感じさせ、メロディの伝わりやすい楽曲が多いように思う(勿論、その後のテクニカルさを増した音楽性もとても良いのだが)。「人願う」や「タンカー」には素直にグッと来るし、「メタルマスター」や後にリメイクされる「キレイな女には振り返ることを誓うよ」といった楽曲に見られる屈折リフやリズムにユニークさを持たせようとする試みもこの時点で既に感じられる。実験性とポップネスと強度が詰め込まれた10曲31分というランニングタイムはついもう一周したくなるし、この作風にはちょうど良い長さなのではないかと思う。後の作風を思えばこれでも荒削りなのだとは思うが、既に自己の冷静な分析と判断がきっちりなされており、武器を武器として鳴らしている感がただただ頼もしく映る作品。『ロック』というジャンルの面白さが詰まったバンドなのでどのアルバムからでもいいから聴いて欲しいのだが、特に今作はストレートにその魅力が伝わりやすいかもしれない。お薦めだ。