虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

君のはてブロは。

週のお題「プレゼントしたい本」ということで書いてみる。先日、ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』(訳:野崎歓)を贈り物とした。気を遣わないプレゼントとして文庫本と廉価CDは優秀なのでよく使っている。何より、選ぶのが楽しい。

画『君の名は。』を観る。十二分に楽しめたが、良い映画なのか、とか好きか、と言われると難しい。とてもインスタントな快楽を得たような気分であり、けれど今作はそれでいい、ようにも思う。どうしても色々と考えてしまうが、決して否定はしない、といったところ。

日のCD。

Layer

Layer

 

chikyunokiki『Layer』

日本のバンドによる1stアルバムとリミックス盤を合わせたもの。2013年発表。先日購入した新譜に衝撃を受け、慌ててこちらも購入したのだが、良かった。初のフル・アルバムということでまだ試行錯誤の痕跡が残っていたり、もっと単純に3年前の最新、を感じさせるようなところであったり、荒削りではあるのだが、それでもやはり面白い。ジャケットから想起するようなパルス/ノイズの扱いだとか、「ひきかえる」のような青臭い、と言っても良いうたものエモ・ロックは今作ならではのものであろうし、この時点で十二分にユニークだ。2ndでも多いと感じたインストの比率はさらに多く、Remix盤(こちらもすばらしく、単品でも売れたであろうクオリティ)が同梱されているように、実験的な素材、としても(決して悪い意味では無く)刺激的なのだと感じた。全体的に、やはりお薦めするのは次作『BALL』(タワレコ限定ではあるが)になるのだが、今作もユニークであって面白く、見かけたら買えば良い(たとえば、リミキサーに気になる名前があるとかでも)し、バンドの、次作の副読本としてもより深い理解を引き出してくれ、単純に音そのものが思索向きのものでもある。良作。

www.youtube.com

病める無限のはてブロの世界

うところがあり、自分を見つめ直していた。結果的にはライムスター「ONCE AGAIN」ばりにやっていくしかない、という結論で、これからも弱いなりに生きていきたいと思う。

www.youtube.com

述の通り、少し意識してラップを聴いている。単純に、ダンス・ミュージックとして格好良い、ということもあるし、ラップのメッセージ性がようやくしっくり来るようになってきた、とも。シャカゾンビなど懐かしいな、と思うし、この機会にと初めて聴いたBUDDHA BRANDは今聴いてもクールだと思う。R-指定が「格好良いラップを聴いていると自分も強くなれたような気がしていた」とインタビューでよく言っているが、わかる、気がする。

週のお題「秋の味覚」ということで書いてみる。梨が好きかな。

日のCD。

f:id:conspiracy:20160527164755j:plain

chikyunokiki『BALL』

日本のバンドによる2ndアルバム。2016年発表。彼らのことはROTH BART BARONとのスプリット・ツアーで知ったのだが、衝撃だった。遅れて音源の方も購入したが、これも凄い。確実にポストロック~マスロック経由でありながら近年のJazz The New Chapter的なファンクネスを感じさせる演奏と、決して上手いとは言えないながらもジャパニーズ・エモの歴史を感じさせるヴォーカル/詞。ポストChris Dave(と、もう、言い切ってしまおう)のJ-POP表現としてはceroのアプローチの裏側を行くもの、という表現も出来るだろう。ラッパーのMC松島を客演に呼ぶなどの柔軟さも備え、十二分に名盤ではあるものの、これからさらに進化し注目されるであろうバンドだ。タワレコ限定、と少しばかり入手に難ありだが、お薦め。

www.youtube.com

Hateblo Regions

週のお題「防災の日」とのことだが、地元は今まさに渦中だ。一刻も早い復旧を祈る。

『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rd LIVE シンデレラの舞踏会 Power of Smile』BD-BOXが到着。かなりの物量のため、すべてはまだ観られていないのだが、素晴らしい内容というか、明らかに前回と比べて金のかかり方が違う(生臭い話ではあるが)。新しく参加したメンバやお久しぶりの方を含めとても麗しく、改めて己れの女性声優への信仰を確かめた気分だ。

www.youtube.com

しぶりにコンシューマで気になるゲームが。

social.gust.co.jp

しかし最終的には『こういう絵柄のエロゲが出てくれたらなあ』に着地した時点でお里が知れるというものだ。そしてそれはInnocent Greyの『Flowers』が18禁になればすべて解決する、というところにまで思いが巡りもやもや。

日のCD。

A Floating Place by Stella Lee Jones (2011-05-03)

A Floating Place by Stella Lee Jones (2011-05-03)

 

STELLA LEE JONES『A FLOATING PLACE』

日本のバンドによる1stアルバム。2011年発表。あえて分類するのならプログレなのだと思うのだが、しかしジャズ・ロックだとかフュージョン/クロスオーバーだとかそういったものでもあり、何物かのようでいて何物でもない、ユニークな表現を切り開いたアルバムだと思う。テクニカルではあるものの人懐こく、ユーモアやダイナミズム、優美さなどあらゆる魅力的な要素が詰まっていながら陳腐な虚仮威しにならないのが本当に凄い。最近聴いた中で一番の衝撃かもしれない。入手しづらくなっていたり、2ndのレコーディングに資金面で難航していたりと、あまりの評価の低さが残念でならない。いま日本で最もプログレッシヴなバンド(、のひとつ)だろう。

www.youtube.com

はてブロなんて信じていない僕らのために

人賞の投稿用原稿に追われながらも、北海道COMITIA5に申し込む。特に問題がなく進行すれば11/13には『おわらない、e.p. -甲種魔法取扱者-』を出せる予定だ。

JUDE『DRACULA SODA』を観る。僕が唯一観たベンジーのライブ・ツアーを記録したものだ。多くの人にとってベンジーといえばやはりブランキーなのだろうが、個人的には断然JUDEに思い入れがある。特に『ZHIVAGO』は名盤だと思っているし一番聴いたアルバムなので、当時このツアーで地元に来てくれたのは嬉しかったし、慌ててチケットを取った。あの狭いライブハウスで観た90分は宝物だ(短い、とは思ったが……)。今となってはあまり言及されることはないが、本当にいいバンドだったと思う。

cero special program"Outdoors"を観る。友人がハマっていたので録画して観たのだが、なるほど、不思議なバンドだ。あまり自分でハマりこむということは無さそうだが、面白く感じた。

Toots Thielemans。この世代では仕方ないか、という気はする。僕が言うまでもなく素晴らしいプレイヤーだった。普段あまり言及しないのだが、『Ne Me Quitte Pas』や『Live In The Netherlands』といった80年代の作品をよく聴いた。柔らかく美しい音色でありながら緊張感を失わない演奏。お薦めだ。

日のCDズ。

f:id:conspiracy:20160819012315j:plain f:id:conspiracy:20160819012250j:plain
Chima『冬のおはなし』、『夏のおはなし』

札幌在住のSSWによるミニアルバム。『冬のおはなし』が2015年、『夏のおはなし』は2016年発表。『冬のおはなし』は西村サトシ、『夏のおはなし』はSAyA、と木箱(kibaco)の二人がそれぞれの盤をプロデュースしている。元々、多重録音へとアプローチしていたらしいのだが、木箱が関わることによってもともと持っていたサウンドのカラフルさがいや増し、音源として聴き応えのあるものになっている。『冬のおはなし』はエレクトロニカ的、『夏のおはなし』はよりSSW的な側面をサポートするようなアプローチが取られており、それぞれ違った、魅力的な世界観を描き出すことに成功している。カラフルでありながらケバくない、季節の清涼剤としてお薦めの2枚。


Chima「HIKOUSEN」

www.youtube.com

はてブロ・ライズ

f:id:conspiracy:20160815000513j:plain

Chima x SAyA(木箱)の二人旅、というライブに参加する。SAyAはピアノ、Chimaはギターのそれぞれ弾き語りという形だったが、どちらも素晴らしかった。個人的に好きだった木箱の曲が聴けたのも嬉しかったが、何より今回はChimaが収穫。シンプルなギター弾き語りながら強烈に自分の音楽を持った人間。『呼吸を舐めてる奴の音楽は聴けない』みたいなことを昔七尾旅人が言っていた気がするが、まさにそれというか、独特な声とギター。スタジオ・アルバムのディレクションに木箱の二人を起用するなど、楽曲の中に飽きさせないアイデアもある。一発でファンになってしまった。

SMAPの曲をカラオケで歌ったりしつつ、やっぱり僕はSMAPのことが好きだったんだなと今更ながら悲しく思う。なんだかんだで一番多感な時期に『SMAPxSMAP』を死ぬほど観ていた、というのはその後の自分にも繋がっていく、ように思う。

家の方の公式tumblrに作品一覧のページを追加した。まだ簡素なつくりではあるが、表紙と試読、購入先が載っている。少しでも興味を持っていただければこの機会に触れてみてもらいたい。どれも自信作だと言い切れる作品ばかりなので。

日のアルバム。

FARAWAY SO CLOSE

FARAWAY SO CLOSE

 

Muddy Apes『FARAWAY SO CLOSE』

日本のロックバンドによる3枚目のアルバム。2016年発表。『スケールの大きなロックンロール』といえば今年も様々な名盤が世に出ているが(先日のGreenleafだけではなく、Dizzy Mizz Lizzy人間椅子の新譜もそうだろう)、個人的には大本命と言えるのがこの作品だ。メンバーの豪華さ(適当に調べていただきたい)もさることながら、サイドワークだと感じさせない、というか、そうであることが勿体ないと思わされる極上のオルタナティヴ・ロックンロール。メンバーそれぞれのバンド、ソロからの影響がいい形で発現しており、(繰り返しになるが)もはやサイドワークではないバンドマジックとグルーヴがただただシンプルなロックに帰結していく。逆に言うのなら、その円熟のグルーヴを肩の力を抜いて描き出せるのがこのバンドの強みなのかもしれない。広くお薦めできる、『ロックの名盤』。

www.youtube.com

はてブロ亭茶館

週のお題「映画の夏」ということで書いてみる。印象に残っているものとしてはジャマイカのレゲエ映画『ロッカーズ』だろうか。ただでさえ暑い夏の日に観る70年代のジャマイカの風景はサイケデリックにすら感じるほどだった。あの映画をきっかけに、もともとスカパラ経由で気になっていたジャマイカのオーセンティック・スカ~ルーツ・レゲエの流れを追い始めた、ようにも思う。

学賞に向けて投稿作に着手する。仮タイトルは『インテレクチュアル・スラッシュ』。Megadethは特に関係ない、アイドルと暴力の話、になる予定だ。

田章博『機巧亭茶館』を読む。初期作品集ということで才気の指向性がまだ定まっていない感はあるが、だからこそ、とも言える自由な作風に感銘を受ける。以前、森博嗣の漫画、というものを数作読んだのだが(『森博嗣ミステリィ工作室』という本に収録されていたもの)、後輩ということで同じ流れを感じることもできるし、同輩である鶴田謙二氏よりも単純に漫画が上手い、ようにも思える(無論あちらもファンなのだが)。今後きちんと読んでいきたい作家がまた増えた。

人の誘いで『Mystery Night Tour 2016 稲川淳二の怪談ナイト』を観に行く。一度だけ、なぜかRising Sun Rock Festivalの会場で観たことがあって、そのときもすばらしかったものだけど、きっちり1公演観るとまた感動があった。『笑いと恐怖は紙一重』なんて言ったりするが、まさに紙一重を行ったり来たり揺さぶる話術の巧みさ。余談だが終演BGMに『Tubular Bells II』の「Sentinel」が流れており気になって仕方がなかった。

西尾維新『掟上今日子の婚姻届』を読む。面白さはいつも通りに、けれど読者の予想を裏切る展開。何度も言っているが、西尾維新の作家としての凄みはそろそろ極限に達しつつあるし、そういうところを評価されてほしいな、と思う。

日のアルバム。

Rise Above The Meadow

Rise Above The Meadow

 

Greenleaf『Rise Above The Meadow

スウェーデンのバンドによる6枚目のアルバム。2016年発表。ストーナー・ロックという、ともすれば『昔のロックをコピーしました』となりがちなジャンルに於いて、今作はスケールの大きさとともにオルタナティブ・ロック以降を確かに感じさせる(ストーンとは違った類いの)気怠さがあるようで好感触だ。たとえばDizzy Mizz Lizzyがその復活作に於いてオルタナティブ・ハードロックからオールド・ロックへのアプローチを図ったのとは好対照なのではないかと思う。シンプルに、現代に鳴らされるべきスケールの大きなロックンロール、としても薦めたい、名盤だと思う。

 

www.youtube.com

流れよ涙、とはてブロは言った

くなってしまったが、第一回文学フリマ札幌、拙スペースに訪れてくれた方に感謝の念を。おかげさまで『カレンダーガール』に続き『ガールズ・ワールズ・レコーディングス 黒岡春日作品集』も完売となったが、新刊、近刊には余裕がまだある。遠方、用事で来られなかったが興味はある、という方はBOOTHの方で通販も行っているので、ぜひ。完売した作品はPDF版のダウンロード販売も用意。よろしくお願いします。

んぞこれ。

www.youtube.com

画『ブレードランナー』を観る。怒られそうだが、実は初見であり、リドリー・スコット監督作品にも、フィリップ・K・ディック作品に触れるのも初、ということになる。とにかく、画と音楽にワクワクされっぱなしだった。〆め方に不満がないでもないが、圧倒的に『SF』を魅せてくれた作品。原作にも機会を見つけてきちんと触れてみたい。

日のCD。

+ -Beast-

+ -Beast-

 

 日本のバンドによる4枚目のアルバム。2015年発売。バリトンサックス/ピアノ/トランペット/チェロという編成で奏でられるチェンバー・フリージャズ・アンサンブル。首謀者(という表記が似合う)である吉田隆一による妄想を膨らませたCDデザイン(ブックレット内には架空のSFアニメ作品の設定資料が載っている)がかもしだす統一感と、各人、そしてバンドとしてのポテンシャルが膨れ上がる、まさにジャズ的な盛り上がりがぶつかり合うことなくガッチリと噛み合った結果、とんでもない名盤に仕上がっている。特に「地球買います」終盤の盛り上がりにはまんまとやられてしまい、泣きそうになってしまった。正直、吉田隆一のオタク趣味に関しては存じていながらもあまり好ましいとは思っていなかったのだが、ここまで己れの活動にきちんとフィードバックしているのならば話は別だ。コミカルでどこかとぼけたフィーリングの中に確かな叙情と鋭いキレがあり、ジャンルコードとしてのジャズに止まらない自由さはきっとリスナーを選ばず、多くの人間を笑顔にできるのではないかと思う。とは言うものの、CDブックレットにガッツリと記載されたSFオタクならではの中二感だとか、そもそもジャケットだとか、コンセプト("SF+フリージャズ")といったものが別の意味で客層を限定していそうな気はする。吉田隆一と新垣隆のデュオ『N/Y』のように、非オタクにも届いてほしい、インストゥルメンタルの名盤。

soundcloud.com