虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

ジプシーのはてブロ

日の豊崎愛生『all time Lovin'』評が辛口だ、と友人から言われた。確かに読み返してみれば、ライブへの期待値がとにかく高まった、ということばかりがクローズアップされてしまっている。反省。同じスフィアの戸松遥が2nd『Sunny Side Story』を出した際、「このアルバムに対する言及のないポップ音楽ブログは信用しなくてよい」とまで書いたのだが、『all time Lovin'』も同様のことが言えるぐらいに素晴らしいアルバムである、ということをここに追記しておく。

しぶりにBandcampを漁る。愛好家には今更。の話なのだろうとは思うが、エクストリーム・メタルの主要レーベルであるRelapse Recordsの25周年記念サンプラーがName Your Price(投げ銭)でリリースされていたらしく、194曲(!)が無料で聴ける。

他には、Nothing But Hope And PassionというZINEが主導する『Nothing But...』シリーズも面白い。ガレージ・ロックからシンセゲイズ(?)までジャンル毎のコンピレイション全10枚。ジャケットも洒落ておりライブラリに置いておいて損はないと思う。こちらも全てName Your Price。

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BOOTHにて興奮社『こんなのはじめて』を注文する。

あまりにも豪華な作家陣にくらくらする。というか、近藤史恵はそこにいていいのか。謎。

日のCD。

有形世界リコンストラクション

有形世界リコンストラクション

 

有形ランペイジ『有形世界リコンストラクション』

日本のバンドによるVOCALOID楽曲の人力カバー・アルバム。2012年発表。主催するsasakure.UK氏は所謂『ボカロP』であり、中でもリズムに関して意識的な作家だというイメージがあるが、同時にチップチューン的な、ゲームミュージックからの影響も隠さない(代表曲に「ぼくらの16bit戦争」というのがある)作家でもあり、ソロ作では(それが氏の魅力だとも思うものの)その点がずっと引っかかっていた。しかしこのバンドは『打ち込み(DTM)や音声合成技術(VOCALOID)を元に構成された、生身の人間が演奏したり歌ったりする前提が無い楽曲を、肉体を伴った音楽で再構築する(形の有るものにする)』というコンセプト(公式より)であり、フュージョンとメタルの色を中心とした高い演奏技術と確かなアレンジ・センスによっていかついと言って良いぐらいに骨太に仕上がっている。既発曲はどれもアンセムだらけのアルバムだが、いかにもなフュージョン・インストが箸休め的な効果をもたらし、なおかつプレイヤーとして、バンドとしての力強さを誇示する結果にもなっている。ほとんどDREAM THEATER的とまで言えるバンドのポテンシャルと楽曲の軽やかなポップさが交差する、すばらしいアルバムなのだが、個人的には「千本桜」はもう少しどうにかならなかったのか(まあ、楽曲そのものを根底から弄らないとどうしようもない気はするが)というのと、リード・トラック「世界五分前仮説」がすばらしかったのでもっとオリジナルを中心に、出来ることなら提供曲のセルフ・カバーなんかも含め聴いてみたかったという2点だけはどうしても引っかかってしまう。特に後者に関しては、今アルバムのリリース後、現在目立った動きが無いこともあり、再始動に期待してしまう。いい面子なので集まるのが難しいのだろうとは思うが、これからにも期待したいバンドだ。