虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

はてブロ亭茶館

週のお題「映画の夏」ということで書いてみる。印象に残っているものとしてはジャマイカのレゲエ映画『ロッカーズ』だろうか。ただでさえ暑い夏の日に観る70年代のジャマイカの風景はサイケデリックにすら感じるほどだった。あの映画をきっかけに、もともとスカパラ経由で気になっていたジャマイカのオーセンティック・スカ~ルーツ・レゲエの流れを追い始めた、ようにも思う。

学賞に向けて投稿作に着手する。仮タイトルは『インテレクチュアル・スラッシュ』。Megadethは特に関係ない、アイドルと暴力の話、になる予定だ。

田章博『機巧亭茶館』を読む。初期作品集ということで才気の指向性がまだ定まっていない感はあるが、だからこそ、とも言える自由な作風に感銘を受ける。以前、森博嗣の漫画、というものを数作読んだのだが(『森博嗣ミステリィ工作室』という本に収録されていたもの)、後輩ということで同じ流れを感じることもできるし、同輩である鶴田謙二氏よりも単純に漫画が上手い、ようにも思える(無論あちらもファンなのだが)。今後きちんと読んでいきたい作家がまた増えた。

人の誘いで『Mystery Night Tour 2016 稲川淳二の怪談ナイト』を観に行く。一度だけ、なぜかRising Sun Rock Festivalの会場で観たことがあって、そのときもすばらしかったものだけど、きっちり1公演観るとまた感動があった。『笑いと恐怖は紙一重』なんて言ったりするが、まさに紙一重を行ったり来たり揺さぶる話術の巧みさ。余談だが終演BGMに『Tubular Bells II』の「Sentinel」が流れており気になって仕方がなかった。

西尾維新『掟上今日子の婚姻届』を読む。面白さはいつも通りに、けれど読者の予想を裏切る展開。何度も言っているが、西尾維新の作家としての凄みはそろそろ極限に達しつつあるし、そういうところを評価されてほしいな、と思う。

日のアルバム。

Rise Above The Meadow

Rise Above The Meadow

 

Greenleaf『Rise Above The Meadow

スウェーデンのバンドによる6枚目のアルバム。2016年発表。ストーナー・ロックという、ともすれば『昔のロックをコピーしました』となりがちなジャンルに於いて、今作はスケールの大きさとともにオルタナティブ・ロック以降を確かに感じさせる(ストーンとは違った類いの)気怠さがあるようで好感触だ。たとえばDizzy Mizz Lizzyがその復活作に於いてオルタナティブ・ハードロックからオールド・ロックへのアプローチを図ったのとは好対照なのではないかと思う。シンプルに、現代に鳴らされるべきスケールの大きなロックンロール、としても薦めたい、名盤だと思う。

 

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流れよ涙、とはてブロは言った

くなってしまったが、第一回文学フリマ札幌、拙スペースに訪れてくれた方に感謝の念を。おかげさまで『カレンダーガール』に続き『ガールズ・ワールズ・レコーディングス 黒岡春日作品集』も完売となったが、新刊、近刊には余裕がまだある。遠方、用事で来られなかったが興味はある、という方はBOOTHの方で通販も行っているので、ぜひ。完売した作品はPDF版のダウンロード販売も用意。よろしくお願いします。

んぞこれ。

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画『ブレードランナー』を観る。怒られそうだが、実は初見であり、リドリー・スコット監督作品にも、フィリップ・K・ディック作品に触れるのも初、ということになる。とにかく、画と音楽にワクワクされっぱなしだった。〆め方に不満がないでもないが、圧倒的に『SF』を魅せてくれた作品。原作にも機会を見つけてきちんと触れてみたい。

日のCD。

+ -Beast-

+ -Beast-

 

 日本のバンドによる4枚目のアルバム。2015年発売。バリトンサックス/ピアノ/トランペット/チェロという編成で奏でられるチェンバー・フリージャズ・アンサンブル。首謀者(という表記が似合う)である吉田隆一による妄想を膨らませたCDデザイン(ブックレット内には架空のSFアニメ作品の設定資料が載っている)がかもしだす統一感と、各人、そしてバンドとしてのポテンシャルが膨れ上がる、まさにジャズ的な盛り上がりがぶつかり合うことなくガッチリと噛み合った結果、とんでもない名盤に仕上がっている。特に「地球買います」終盤の盛り上がりにはまんまとやられてしまい、泣きそうになってしまった。正直、吉田隆一のオタク趣味に関しては存じていながらもあまり好ましいとは思っていなかったのだが、ここまで己れの活動にきちんとフィードバックしているのならば話は別だ。コミカルでどこかとぼけたフィーリングの中に確かな叙情と鋭いキレがあり、ジャンルコードとしてのジャズに止まらない自由さはきっとリスナーを選ばず、多くの人間を笑顔にできるのではないかと思う。とは言うものの、CDブックレットにガッツリと記載されたSFオタクならではの中二感だとか、そもそもジャケットだとか、コンセプト("SF+フリージャズ")といったものが別の意味で客層を限定していそうな気はする。吉田隆一と新垣隆のデュオ『N/Y』のように、非オタクにも届いてほしい、インストゥルメンタルの名盤。

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無題

2012/07/28、フジロックにてTHE SPECIALSの本編終了後、Terry Hallは「Love, Love.」とつぶやくように声にしてステージを後にした。

世の中がかなしい。気の滅入るようなことばかりだ。誰が悪いのか、きっと誰もが、僕もあなたも、どこかでだれかがだれかとだれかを糾弾せずにいられない。

僕は怒る。怒りたくなることが、ある。誰だってきっとそうだろう。同じように、泣きたくなることもある。笑うこともあるだろう、それがきっとポジティブなもの、だけに止まらずとも。

僕は踊るのが好きだ。音楽を流しながら、軽く踊るのが好きだ。何かを忘れさせてくれる、ことはない。ただ、悲しみの中で踊るのが好きだ。

世の中がかなしい。けれど、生きなければならない、と思う。誰がここを読んでいるかはわからないが、生きていてほしいと、思う。

世の中はかなしいけれど、殺してはならない、とも思う。これを読む誰かが、誰かの何かが、殺してほしくはない。

Love,Love.

はてブロの終わり頃

夜になってしまったが改めて告知を。7/23(土)にさっぽろテレビ塔で開催される『第一回文学フリマ札幌』にサークル『SurvivalSicknessCity』として参加。スペースNo.は『い-42』。

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『世界の終わり頃』
一時創作長編小説
A5判 本文78ページ 600円 イラスト 飛白( @kasuri01 )

個人的にはジュブナイル小説。SFかもしれないしファンタジーかもしれない、ちょっとどころじゃなく浮き世離れした話、だけど自信作なので是非とも手に取ってみてほしい。よろしくお願いします。

既刊の青春百合小説群も持って行きます。そろそろ『ガールズワールズレコーディングス』が在庫僅少。

はてブロを誰が殺したか?

週のお題「セールの戦利品」というわけではないのだが、円高のうちに海外の音源を買いあさっておこう、と思ってしまい、bandcampにこもる。しかし聴くだけなら、というか、ライブラリに入れるのであれば定額聴き放題Google Play Musicのラインナップに入っているということも結構あり、なかなか『ここでしか聴けない音源』にお金を出すのは難しい。というか、そもそも、この定額聴き放題天国の世の中でダウンロード音源にお金を出す、という行為について考えさせられる。今度はCDが骨董品として蘇ってくるのだろうな、と昨今のカセットテープ・ブームを眺めながら思う。

ラマ『死幣 DEATH CASH』を観る。良くも悪くも、というか完全に悪い方だと思うのだが、三流の『ファイナル・ディスティネーション』といった感じで、J-ホラーかと身構えた自分がバカだった。しょうもない話ながら主演のじゅりなが体当たりの演技で頑張っているので観てほしい。

ラマ『徳山大五郎を誰が殺したか?』を観る。まさかこう来るとは。手法としては『マジすか学園』に倣ったのだろうが、全く別の切り口からここまで鮮やかに『アイドルの(ための)ドラマ』をやられてしまっては脱帽するしかない。趣味は悪いがセンスは最高。という相変わらずの秋元節。

坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』を読む。以前自分も似たような手法を試したことがあったのだが、まだ新人と言っていい時期にこれだけ書ける人間がいるのだから、自分はやめよう、もっと言うと小細工に頼るのはやめよう、と思わされた。無論それだけではなく、ミステリというジャンルのこれまでとこれからをつなぐ、最重要人物になるのではないだろうかと思わされるほどの大物感がある。

日のアルバム。

V.A.『KING CRIMSON tribute The Letters』

イタリアのMellow RecordsによるKING CRIMSONのトリビュート・アルバム。2004年発表。基本的にこの欄では質の高い、紹介したくなるような良いアルバムについて書いているつもりだが、今回に関してはハッキリ言わせてもらおう。金の無駄だ。リンク先で無料フルストリーミング試聴できるが、そもそもディスク三枚に渡っているのでその時間すらも無駄と言えるだろう。ではなぜ取り上げるのかというと、この、煮ても焼いても食えない絶妙な駄目さが不思議と愛おしく、魅力的に感じてしまったからだ。King Crimson、という偉大なバンドを前に音が安い、リズム感がない、テクもないと三拍子揃った見事な駄カバーが三時間以上にわたり続くという拷問のようなアルバムなのだが、録音とテクを勢いで誤魔化す感じはローファイとガレージ(と、もうスカムもかもしれない)がブレンドされたような揺らぎがあり、これはひょっとしたらAnekdotenとも、本家の『メタル・クリムゾン』宣言とも違った形で90年代以降の新たなKing Crimsonを模索しようとしたのではないか。とまあ、このぐらいまで自分に暗示をかけたところで我に返るわけだが、間違ってもお薦めはしないと念を押しておくし、リンク先で13ユーロも出して買うならまだクリムゾンの持っていないCDを買うか、もしくは所持していたとしてもリマスターで買い換えるだとかの意図で消費した方が有意義と言える。しかし(これも繰り返しになるが)、僕は好きだ。

海波家のはてブロ神

週のお題「わたしの本棚」とのことで書いてみる。棚に残してあるのは概ねエロ本だ。本能に直接訴えかけるタイプの(即物的な)創作、というものにずっと憧れがあって、それも蒐集のモチベーションとして機能しているのだと思う。それにしても、そろそろ整理せねばと思ってはいるのだが。

画『ロング・グッドバイ』を観る。原作に対するいやがらせのような、しかし名画だった。なるほど、後に日本の『探偵物語』やPTA『インヒアレント・ヴァイス』へと繋がっていく要素は確かに感じられた。つくづく変な映画だったが、個人的にはかなり好きだ。

画してあった『ベストヒットUSA 追悼:レクイエム・スペシャル』を観る。悲しい気持ちにひたりたい、と思って再生したのだが、誠実に作られており、特にモハメド・アリの発言を最後に流したのがグッときた。

indigo jam unit final live tour帯広公演を観る。ハマったのが最近と遅かったので、もう活動休止までには生で観られないかと思っていた。ピアノ/ウッドベース/ドラム/パーカッション・ドラムの4名が奏でるハイテンションなクラブ・ジャズ。飲食店でのライブだったため椅子ありなのが本当に勿体ない、というアガり方。シンプルながら広がりがあり、引き出しの無限さを感じさせてくれるだけに活動休止は本当に勿体ない。気になったきっかけであるDizzy Mizz Lizzy「silverflame」のカバーが聴きたかったな、と思う。

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日のCD。

A Girl on the Ship

A Girl on the Ship

 

U-full『A Girl on the Ship』

日本のSSWによるソロとしては初となるミニ・アルバム。2016年発表。故人の話題から入るのもどうかとおもうのだが、帯に吉良知彦の推薦文があり、彼が(数多のzabadakフォロワーから)見出したのがこのアーティスト、というのはとても慧眼だったのではないかと思う。日本のケルト風ポップス、というかやはりzabadakフォロワーとしての色が濃く、先達の影がちらつくこともまだある。しかし、この手の音楽性にしては珍しく現場でのたたき上げ感があり、オタクによるDTMとささやき声の箱庭遊びに留まっていないのが好印象だし、ついでに言うと、吉良知彦を引きつけたのはそういったバランス感覚なのではないだろうか、と勝手に思う。今作のみであれば(悪くはないものの)あくまでフォロワー、といった印象が抜けないのが難だが、これからに期待したい。

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無題

zabadak吉良知彦氏、逝去。ただただ、悲しい。冥福を祈りながら、以下想い出を綴っていきたい。

はじめて名前を見たのは確か、田中としひさ『おこんないでね』だったと思う。TRPGのBGMにピッタリ、といったような紹介がされていて、そんな音楽があるのか、と中学上がりたてぐらいの自分は思ったものだった。それから縁あって地元のアマチュア劇団を手伝うことになり、演劇集団キャラメルボックスの芝居を出会う。『TRUTH』や『風を継ぐ者』を観て、その格好良さと演出の見事さに夢中になった。『創世記+2』や『Decade』、『STORIES』となぜかベスト盤ばかり集め始める。

入口がキャラメルボックスだったということもあり、僕にとってのzabadak吉良知彦氏のソロだった。リアルタイムでリリースを追い始めたのは『COLORS』くらいからだろうか。『ブリザード・ミュージック』のサウンドトラックで「鏡の森」を初めて聴いた時の感動が強烈に残っている。風邪をひいて病院の待合室で、ポータブルCDプレイヤーを使って聴いた。

2005年、確か『ケルト meets zabadak』という企画名だったと思う。とにかく札幌に来る、というので観に行った。生で観た吉良知彦氏は、強烈だった。僕はいつも彼を『たましいが音楽の色をしているような』と形容するのだが、生で観た人間であればわかってもらえるのじゃないかと思う。それからはずっと、氏が北海道を気に入っていた/友人がいた、というのもあり、一年に一度から二度、何かしらのツアーで北海道に来る氏を観に行く、というのが恒例になっていた。

ギターと鈴と譜面台と私(弾き語り)、木村林太郎氏とのデュオ、『宇宙のラジヲ』リリースツアー、菅野朝子さんやあらひろこさんとの共演、ユカキラリタ……たくさんの編成で観たが、それらはすべて遠方から来るためのアコースティック編成で、一度もバンドセットを観ることは叶わなかった。いつかは、観られるだろうとたかをくくっていた。

2008年だったと思う。富良野野良窯というカフェ・スペースで弾き語りをしていたとき、先日はパリに行ってきまして、というようなMCに対し、特にzabadakのファンではなさそうな婦人が「たしかにシャンソンのような、良い声をしていらっしゃるものね」とつぶやいたのを、僕は覚えている。

マニアックな、オタク文化に強く影響を与えた、そういう音楽だったし、そういう部分も好きだった。けれど、もっと広く、長く、継がれていく、大きなスケールの『うた』だと、僕は、思う。

17歳の頃、学校にも行かなくなって久しかった頃、彼らの音楽を聴きながら初めて詩というものを書いた。いまはめっきり書かなくなってしまったが、当時一冊の詩集にまとめ、吉良さんに手渡した。「サインください」と言われ、焦った。彼はファンとの距離が近く、サインをもらったひとは多いだろうが、彼にサインをした人間は珍しいんじゃ無いかと思う。小さな自慢だ。きっと、彼にとっては冗談半分だったのだろうけど。

その中から、一編だけ抜き出してここに記す。若書きとかそういうレベルではなく恥ずかしいが、僕にとって初めての活字だ。地元の新聞に投稿し、載せてもらった。

「休まない翼」 

ぼくは、きみのはね。
きみだけの、つばさ。

 

ぼくはきみになれないけれど、
きみがたびしたばしょ、
きみがあったひとたち、
きみのおもいでのすべてをおぼえてる。

 

ぼくはきみじゃないけれど、
きみのきらいなもの、
きみのきずついたばしょ、
きみのこころのすべてがきこえる。

 

ぼくは、

 

いつまでも、つばさ。
いつまでも、きみのはね。

ただ、感謝の念を伝えることができるほど、僕はまだ大人ではないみたいだ。早すぎる、と文句のひとつも言わずにいられない。遠すぎた10月にはついに辿り着けなかったな、なんてことを思いながら、この文章は終わっても、いつまでも彼への思いは僕の頭をぐるぐると回り続けるだろう。吉良知彦。偉大なアーティストの早すぎる死を、惜しむ。

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