虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

はてブロはくち

タヤディスカスからの配達がなくなった途端、更新も途絶えてしまった。薄ら感じてはいたが、何かに強制されないと動かないという己れの弱さを再確認して気が滅入る。いや、滅入るのはそれだけが原因ではないのだが。

イス・キャロル『ふしぎの国のアリス』(河合祥一郎角川つばさ文庫版)を(訳こそ違うが)再読。イマジネーションをかき立てられると同時に、そのあざやかなロジックにも感嘆した。新本格以降、アリスをオマージュする日本作家というのは多く、それは幻想が現実へと回帰していくラストの美しさを『ミステリ的なもの』として捉えるから、なのではないだろうかと思ったりする。また、『イギリス童話特有のナンセンス』といった風に言われがちな部分もまた国内だと江戸川乱歩が得意とする『一人称の狂気性』をメルヘンに読み替えたようにも思える。『一人称の狂気性』は汎用なので、たとえばトマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』もまた『ふしぎの国のアリス』的なパラノイアとして読むこともできる、だろう。それにしても『ふしぎの国のアリス』のラストは前述したように幻想が現実へと回帰していくというものであり、さみしさを強く抱えて迫ってくる。ロマンチック、では片付けられないような叙情。

 場版『けいおん!』DVDをレンタルして鑑賞。劇場、テレビ放映と観たので三度目になるが、やはりすばらしい。あくまでTVシリーズの延長であり、少しだけ物足りない、その感じがクセになってしまう。ただひたすらに丁寧であること。かわいさ(『萌え』とも少し違う気がするが、これは感覚の問題だろう)に正直であること。久しぶりに熱が入ってしまった。TVシリーズを観返したい。