虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

はてブロ・オン・ザ・プラネット

震、というか停電の影響をもろに受けていたのだが我が家も無事に復旧。「デッドマンズQ」(単行本『死刑執行中脱獄進行中』収録)のあとがきで荒木飛呂彦が「好きな音楽も自由に聴けない彼を描いていたら涙が出てきました」というようなことを書いていた気がするのだが、音楽が聴けないのがこんなに堪えるとは思わなかった。No Music, No Lifeは病気だと思うが、禁断症状みたいなものか。

ASE、というサービスにサークル通販用のショップ『Survival Sickness Shop』をオープンした。BOOTHと違い会員登録がいらないので気軽に買い物をしてみてほしい。一部ダウンロード商品がまだだが、商品も一通り揃っている。

chrorograph.thebase.in

クヨムにて、連載再開前の手慣らしにと短い小説を書いた。『BASTARD!』と『百合男子』の悪魔合体、を目指して見事に合体事故を起こしたような一作。しょうもない話だが、意外と気に入っているので一読いただければ、笑っていただければ幸いだ。

kakuyomu.jp

ノムさん

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日のアルバム。

FooL on CooL generation

FooL on CooL generation

 

the pillows『FooL on CooL generation』

日本のバンドによる企画盤。2018年発表。新曲を最初と最後に配し、『フリクリ』新作のためにリ・レコーディングされた楽曲が並んでいるが、これがとてもいい。ベスト・アルバム『Fool on the planet』以降のキング所属時代の楽曲を中心としており、当時の試行錯誤によって残されたマテリアルの確かさはそのままに、近年のライブ・パフォーマンスはおそらくこうであろう、というような熱量が込められている。個人的にもとても思い入れのある時期であり、あまり冷静に語れないのだが、いまピロウズというバンドに触れるのなら今作はとっておき、ではないだろうか。最近は離れていた、という人も今作をきっかけに近作を聴いてみれば良いと思うし(自分もその一人、だったりするのだが)、初めて知るにも全然良い。最新作がベストである、というのはロック・バンドとしてのコンディションが限りなく最高であるということを感じさせる。とてもクールで熱い、ロックンロール・アルバム。

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日のCD。

OpaqueAge

OpaqueAge

 

the hatch『OpaqueAge』

日本のバンドによる1stアルバム。2018年発表。とにかくもうとんでもない。札幌が、とか、ハードコアが、とかそういう話ではない。文句なしにモニュメンタルな、規格外な作品だ。以前からライブを観るたびに『人類を半歩はみ出したような』格好良さのバンドだと思っていたが、本格的なスタジオ録音に向けての準備とともに、音楽性が変わっていっていると聞いて気になっていた。そして本作。本人達も発言しているように、ハードコアの精神性を失わないままにブラック・ミュージックを消化した、最新型のパンク・ロック。安易な、或いは全時代的なミクスチャーとは根本が違っているというのが、一聴すればたちまちにわかるだろう。どこまでも濁って中が見えない沼を覗きこまされるような、ディープな一枚だ。P-ファンクに洗脳されたキャプテン・ビーフハートを若者がアートとして現代に蘇らせたような、だとか無茶苦茶な喩えばかりが浮かぶ。ポップ・ミュージックに問題提起をする、ようなアルバムだと思うし、そうなってほしい。文句なしに今年一番の問題作、だろう。

(閲覧注意)

www.youtube.com店舗によっては特典として付属するライブ音源が、また特別に格好良いので、入手できるならばそちらもお薦め。 

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日のCDその2。

KNUT

KNUT

 

山田祐伸+横山祐太+塚野洋平『knut』

日本のアーティストによるアルバム。2018年発表。chikyunokikiのヴォーカルである山田祐伸つながりで聴いたのだが、本当にすばらしい作品だった。アコースティック・ギターを中心に、シンセサイザーを操りながら歌う山田祐伸の言葉や歌は穏やかだが優しくなく、札幌ハードコア由来の鋭さを感じさせる(Discharming manに少し似ている)し、横山祐太のトランペットはあくまで静謐で柔らかい空気を損なうことなく世界を広げているし、塚野洋平のエレクトリック・ギターもまた、強い主張をせずに存在感を感じさせ、歌に寄り添うように流れていく。ネオ・ソウル的なリズム感に、ジャジーでフォーキーな歌心、と、どこかカクバリズム的(というかキセルぽい)部分もあるものの、間違いなく札幌からしか現れない、この三人でしか表現できないオリジナルなものだ。一見ただおしゃれなようでいて、伝えることにまっすぐな、シンプルで無駄がなく、しかし無限の広がりを感じさせる名盤。お薦め。

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