虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

逆行のはてブロ

2017年ベスト・アルバム。特に意味なく13枚。楽曲編はこちら

 

JOURNEY

JOURNEY

 

Anthology Three Chord『Journey』

今年はbloodthirsty butchersをきちんと聴こう、と思った一年だったのだが、きっかけはこのバンドだった。ざっくりと『整頓されたブッチャーズ』と表現してしまうこともおそらくは可能なのだろうが、優れたソング・ライティングとシンプルでいて胸を打つメッセージはちゃんと今を生きるバンドとしての誇りを鳴らしている。これからも楽しみな、いいバンドだ。

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discotortion『影切』

今年は地元である北海道のシーンをあらためてきちんと聴こうとした一年だったのだが、1つのバンドに触れるたびに衝撃を受ける、という感じで大変だった。中でもdiscotortionは『うるさいロック』の解答をいきなり突きつけられたような衝撃があり、とにかくカッコ良かった。大手流通を介さず、過去作が入手しづらくなっているということもあり、入手できるうちに買っておきたい。

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TG.Atlas『Lost In Puzzle City』

いかに地元のバンド、シーンが豊穣であるか、ということを思い知らされたバンドの一つ。70年代的な色気を残したままポストパンク的に鳴らされるサウンドだとか、強いて似たものを探すとしたらFRICTIONになるのだろうか、とは思うのだが、もっと本当に、どこから来てどこへ行くのかわからない緊張感がある。こちらも大手流通を介していないため、入手は早めにしておくと良い。

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すげーすげー

すげーすげー

 

髭『すげーすげー』

10曲28分、というランニング・タイムとアルバム・タイトルがすべて。と言い切ってしまいたくなるようなアルバム。すげーすげー格好良い、疾走感のあるギターロックが詰まっている。

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ぼくたち わたしたち(DVD付)

ぼくたち わたしたち(DVD付)

 

BUGY CRAXONE『ぼくたち わたしたち』

いまのモード、の完成形かな、と思う。かつてのギラギラしたロックンロールとは形を変え、あくまでも生活に寄り添った泥臭い音楽を格好良く届けてくれる。そういったスタンスはどこかフラワーカンパニーズのようでもあり、札幌という土地の持つ熱気そのものでもある。

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NEO

NEO

 

Tango-jack『NEO』

タンゴという音楽がいかに『ヤバい』か、がポップ・リスナーに伝わっていないことを嘆かずにいられない。小松亮太によるAstor Piazzollaを中心としたモダン・タンゴ・プロジェクトに留まらず、Diego Schissiなどに代表される現代のタンゴは近年話題になったAntonio Loureiroなどの現代ジャズ/ブラジル音楽ともリンクするだろうし、Salle Gaveauのようにプログレッシヴ・ロックの暴力性とともにポスト・タンゴを目指そうという動きもあり、そのどれもが恐ろしいまでに魅力的だ。菊池成孔率いるオルケスタ、ペペ・トルメント・アスカラールのバンドネオン奏者である早川純によるこのバンドもまた、アルバム・ジャケットそのままのシャープさでもって迫ってくる、珠玉のポスト・モダン・タンゴだ。指先、音の神経の隅々までがコントロールされた格好良さは他のジャンルではあまり味わえないもの、だろう。

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the hatch『$NAOMI$』

札幌の狂えるバンド、the hatchの7曲入りダウンロードクーポン付フーセンガム。形骸化していない『カオティックコア』って本来こういうことだよな、という、真に自由なパンクが堪能できる。本音を言ってしまうとライブの方が3億倍くらい格好良いのだが、音源の時点で普通のバンドより遙かに格好良いのだから仕方ない。その上この音源に関しては既に入手困難となってしまったが(何せガムであるし)、下記リンクから3曲の再録がダウンロードできる。

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松井恵理子『にじようび。』

本当に2017年のリリースなのか、と疑いたくなるほどに20年前の自分、にクリーンヒットした作品。なので当時の声優ポップスに縁のない人がどういったリアクションを返すかはわからないのだが、しかし丁寧に作られた清涼感のあるガールズ・ポップ集だというのは間違いない。松井恵理子の歌唱は決してうまいわけではないが、しかしラスト・トラック「声」に現れるエモーショナルは彼女にしか表現できない、真にオリジナルなものだ。時代に要請されているかはわからないが、名盤であることは間違いない。最高。

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螺旋の刻印

螺旋の刻印

 

オオフジツボとリタ『螺旋の刻印』

アコースティックであり、収録時間もコンパクトな作品ではあるが、今作に込められているメッセージ、たましいの形、のようなものは濃密であり、聴き手をとらえ、涙させる。喪ってしまった存在、遺していったもの、引き継がれていくもの、人の営み、といった大きな、そしてどこまでも内省的な物語を封じ込めた一枚だ。

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ALICE ~SONGS OF THE ANONYMOUS NOISE~<初回仕様盤> (2枚組)

ALICE ~SONGS OF THE ANONYMOUS NOISE~<初回仕様盤> (2枚組)

 

TVアニメ『覆面系ノイズ』より『ALICE -SONGS OF ANONYMOUS NOISE-』(初回盤)

ただただ単純に、NARASAKIがギターロックを書き、弾いているという事実だけで嬉しくなってしまうのだが、むしろ今作のエモーショナルはライブに於ける声優陣(早見沙織高垣彩陽)のキレた歌唱にこそある。本編も鋭かった時代のBUGY CRAXONEのよう(たまたまだろうが、「ハイスクール」には「NORTHERN ROCK」に似たフレーズが出てくる)で格好良いのだが、少々きれいすぎるかな、と思ってしまう。なので今作に関しては是非とも初回盤を入手して、特典盤を聴いてみていただきたい。きっとブッ飛ばされる筈だ。

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Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~

Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~

 

V.A.『Plastic Tree Tribute ~Transparent Branches~』

意外な面子による素直なカバー、というのがシンプルな感想だが、それにしてもPlastic Treeというバンドの面白さと愛され方が伝わってくる良い企画だったと思う。面子の時点での何が起きるかわからない不安から一転した評価も含めて、とても印象に残った。

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10minimal『ふたりの旅』

彼女の作品に関しては全部同じで全部最高、くらいに思っていたし、中では『わたしのうた』が一番好きかな、くらいに思っていたのだが、その印象は今作で更新された。基本的に録って出しのアーティストだからこそ、こうしてコンセプトが固まった際のインパクトはなかなかのものがある。無限に聴いていられる、現代SSWの最高峰、だろう。

 


yakinch(ふにゃっち)『live20171103』

SNS時代の、だとか余計な枕詞をつけたくなってしまうが、要は優れたSSWであり、また、カバー曲の上手い、優れたアーティストだ。今作は彼の(録って出しな)ライブ音源だが、スタジオ盤よりも生々しくその魅力を伝えており、とても気に入っている。名盤。