虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

ありふれたはてブロの物語

年も宜しくお願いします。

年はシングル、EPなどの名盤が多かったこともあり、まずはベストトラックを選んでみた。順不同、ジャンル関係なく10曲。

髭「もっとすげーすげー」

髭はもともと好きなバンドだったものの、少し離れていて、戻ってきたらこの調子だったので非常に驚いたというか、グっと来た。何も語らずして何か伝えたい、といった風だった昔も良かったが、ストレートに、けれど照れ隠しが見えるこのメッセージ、サウンドがとにかくエモーショナルに響いた。

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オオフジツボとリタ「遠すぎた十月」

吉良知彦が遺した形見のようなものがいくつかあり、それらが芽吹いたのが昨年の大きな、というか大きく反応せざるを得ないトピックだったのではないかと思う。「遠すぎた十月」はもともとユカキラリタというユニット用に書かれた曲だが、太田光宏のアレンジによってオオフジツボの楽曲として生まれ変わり、『螺旋の刻印』に収録された。アルバムそのものも出会いと別れを重ね連なっていくDNA、といった世界観を伝えた良い作品だったが、なかでもこの曲は特別扱いせざるを得ない、だろう。

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糸奇はな「環 -cycle-」

シンガーソングライターである糸奇はなに対して、メジャー・デビューが外注というのはなんだか失礼なんじゃないか、という思いがあるのだが(最近そういった流れが強いようにも思うし)、作曲:吉良知彦、作詞:小峰公子、編曲:上野洋子、という面子には抗えない特別なものを感じてしまう。実際の楽曲も、糸奇はな、上野洋子という新しい風(敢えてこう表現するが)によって近年のzabadakとは違った軽やかなものに仕上がっているし、楽曲のみにとどまらない、アーティストとアニメ本編との世界観の共有という意味でもすばらしかったと思う。

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曇ヶ原「3472-1」

自称『北池袋のアネクドテン』というだけでなんだか信用できてしまう、僕のような人種は間違いなく買って損はしないシングルだ。しかしそういったプログレッシヴ・ロックの愛好家以外であっても、『すきとおった陰鬱さ』とでも言うべき歌詞世界が暴力性をもって鳴らされることに感銘を受ける人間は多いのではないかと思う。楽曲のスケールの大きさに見合うような注目がされることを願う。

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THE SENSATIONS「DIG YOUR OWN GRAVE」

『ページビューといいね!の数にしか興味のない奴は自分の墓でも掘ってろ』というメッセージが清々しい5曲入り500円のシングル。ハイスタ化したランシドみたいな、と形容してみたくなる、軽やかでしかし強烈なメッセージを伝える名バンドだ。

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Discharming man「Disable music」

2017年に受けた衝撃はいくつかあるが、その中でも最大のものがDischarming man、蛯名啓太という存在を知れたことだ。特にこの、現編成になってからの7inch.シングル2枚は彼の頑固さとともに、最高の状態にあるDischarming manという『バンド』の現状を伝えてくれる。次を、ライブを、もっともっと観ていたいバンドだ。

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Anthology Three Chord「ローリング」

彼らについて語るのは難しい。1音鳴らされただけで伝わってくる、bloodthirsty butchersへの行き過ぎた愛情。ブッチャーズに限らず、よく出来たジェネリックなんていらない、というのが僕の基本的な思想だが、そもそもブッチャーズみたいなバンドになんてなろうと思ってなれるものでもないし、彼らだってなりたいとは思っていないのだろう。単純に澄まされたソングライティングのすばらしさとともに、ブッチャーズを真っ正面から超えてくるようなバンドになってほしいし、なる、だろうと思える。

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People In The Box「エンジェルダスト」

単独作品としては変則的な編集盤が出たのみだったPITBだが、バンド初のカバーだというこの曲には驚かされた。CRCK/LCKSなど、ジャズのニュー・チャプターを取り込んだ今様のバンドが注目されていく中で、PITBもまた、そういったジャンルのバンドとして扱われても良いのではないだろうか。圧倒的なグルーヴと解釈。

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Bitplane「The March of the Red Queen

単純に、カッコよかった。ダークウェイヴだとかそういったジャンルにはまったく詳しくないのだが、今作、そしてこのアーティストは好きだ。予告されていた筈のフルアルバムにも期待したい。

 

豊崎愛生「猫になる」

ベスト・アルバムが告知された際、その選曲に少し思うところがあったというか、もっとわかりやすく「フリップ フロップ」が入っていないのは問題だろう、と思っていた。しかし、アルバム新録であるこの曲を聴いてシンプルに感動させられてしまった。これからも、これまで以上にロックスターとして生きることをこうして高らかに宣言した以上、もっともっとカッコよく、クオリティの高い作品を作り続け、ステージに立ってほしいと思う。まだまだ、こんなものではない。

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ルバム編につづく。