はてブロ、覚えていてくれ
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
ベストディスク2016。今回はジャンル分けなど特に気にせず16枚。
小鳥美術館『Little Museum of Bird』(レビュー)
僕は飽き性なので、繰り返し一枚のアルバムを聴く、ということをあまりしないのだが、今作はとにかく聴いた。とにかくその豊かさ、(ほぼ)アコースティック・ギターと女性ヴォーカルのみでここまでカラフルになるのかということに驚かされた。
エスケイプ・フロム・リアリティ(Escape From Reality)
- アーティスト: ステラ・リー・ジョーンズ(STELLA LEE JONES)
- 出版社/メーカー: DIZZINESS RECORDS
- 発売日: 2016/11/16
- メディア: CD
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STELLA LEE JONES『Escape From Reality』(レビュー)
もしもこのバンドがきちんと評価されたなら、Dream Theater以来の『プログレの転回点』が来るんじゃないだろうか、とまで思ってしまう。どこまでもミステリアスで、キャッチーで、バンド表現のネクストレベルが見えた一作。
u-full『A Girl on the Ship』( レビュー)
昨年最も堪えたのは吉良知彦氏の訃報だった。そんな彼が最期に遺した推薦文をまとったこのアルバムはまだ二人時代のzabadak、特に歌唱から上野洋子の影響を感じるものの、他フォロワーと較べて格段にその次、先へのヴィジョンがしっかりとあるアルバムではないだろうか。
muddy apes『FARAWAY SO CLOSE』(レビュー)
とにかく、スケールの大きなハードロックに恵まれた年だったな、と思う。中でもmuddy apesはヴォーカルの独特なフロウと力強い、というレヴェルを超えたリズム隊、何より強くオンリー・ワンであるINORANのプレイヤー意識がいかんなく発揮されたいいバンドだ。こうして聴くとやはりINORANはソロよりもバンドだな、と感じるし、SUGIZOのサイドメンと思われがちなLUNA SEAよりもストレートにその魅力が伝わりやすいのではないかと思う。
日本に於けるロックの、ヘヴィ・メタルの良心と言い切って良いのではないだろうか。それがこうしてオーヴァーグラウンドできちんと評価されてきている昨今の風潮にはまだ絶望したものでもない、などと上から目線で思ってしまう。レビューの際にも軽く触れたが、HR/HM、並びにデビュー時のシーンと比較した人間椅子についてはいつかもう少し掘り下げて書いておきたい。
フォワード・イン・リヴァース(デラックス・エディション)(完全生産限定盤)
- アーティスト: ディジー・ミズ・リジー
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2016/04/13
- メディア: CD
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Dizzy Mizz Lizzy『Forward in Reverse』(レビュー)
ロック、それもハードロックというジャンルにお洒落という概念があるとするのなら、間違いなくトップに来るのはこのバンドだろう。しかし復活作となるこのアルバムではよりダイナミズムが増し、攻撃的に、熱くなる場面も。それでいて馬鹿っぽくならず、あくまで大人の余裕とシンプルな楽曲の良さで聴かせる、完璧と言っていい作品。
THE JETZEJOHNSON『ストライク・リビルド【アッパー】』(レビュー)
『電子音楽のその先へ 轟音ロックのその先へ』。というのはバンド初期から貫かれているキャッチだが、本当に、長く聴いてきたファンにとっては特別なものとなるアルバムだ。それは楽曲のみならず、コンセプトからデザインにわたるまですべてに貫かれている。かといってファンにしか楽しめない、というものでもない。リブート後、『テクニカルブレイクス・ダウナー』からのジェッジジョンソンは最適なサポートを受けて過去最高の状態を保ち続けているし、その状態で過去の代表曲をリメイクして悪くなるわけがない。入門用のベスト・アルバムと捉えても良いだろう。続編【ダウナー】のリリースもアナウンスされており、楽しみだ。
The Second Time Around【通常盤(CD)】
- アーティスト: TWEEDEES
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2016/07/20
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TWEEDEES『The Second Time Around』
化けた。Cymbalsの夢よもう一度、というのではなく、単純に今を生きるモンスター・バンドとなり得る変化だと思う。バンドで演奏する最新型のポップ、とは言えないが、スタンダードとしての強度を得た、力強い作品。
chikyunokiki『BALL』(レビュー)
上記の小鳥美術館もそうだが、とにかく繰り返し聴いた。ポストロック的かと思いきやむしろ今様の裏cero的なファンクネスを感じさせる。もっともっと広く聴かれてほしい。
Stuck in November『First Slice Of Cake』(レビュー)
キュートでポップ、けれども悪夢的。ジャケットそのものの音楽性で今作も繰り返しよく聴いた。一昔前のインスト・マスロックと括ってしまうのは簡単だが、単純に良く出来ている。
大西順子『Tea Times』
菊地成孔式魔改造、と言ってしまうのは簡単だが、日本のジャズ史に残る大ベテランが最新のモードをきちんと提示できるという意義のみに止まらず、その先を模索するところまで行ったことに感銘を受けた。日本のジャズに於いてすばらしいプレイヤー、作品は多数存在するが、『今』を表現することが出来ている数少ない作品、だろう。
暴力。もしかしたら過去最高かもしれない、と思わせるテンションで放たれるハイパーなデジタル・ロックンロールにはただひれ伏すしかない。数多のロックバンドは結局のところBUCK-TICKに勝てないままその役割を終えるのではないか、などと考えると残酷ですらある。ただただ、強烈。
- アーティスト: MIYAVI,JUN,Lenny Skolnik,Tony Rodini,Austin Massirman,トム・レナード
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2016/08/31
- メディア: CD
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MIYAVI『Fire Bird』
強烈、という点ではこちらも負けていない。ただギター・ヒーローがその才能をいかんなく発揮している、それだけであり、だからこそ最高の作品。格好良い、以外特に言うべきことが思いつかない。
What a Wonderful World Line(通常盤)
- アーティスト: fhana,林英樹
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2016/04/27
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fhána『What a Wonderful World Line』(レビュー)
このバンドに関して、要はJ-POP『でしかない』のか、『だから良い』のかという感想の割れ方がおそらくはあり、僕は断然後者として推す。アニソン特有の、だとかエレクトロニカ通過後の、という枕はあくまで枕であって『清涼感のあるポップス』という、僕がうたものに求めているものを高水準で提供してくれる、ということがいかに有難いか。
上田麗奈『RefRain』
人によっては来年に回すかもしれない、年末の年末に出た隠し球。「海の駅」MVが発表された時点で期待が高まっていたが、概ね期待通りであり、2016年の声優ポップを代表する一作になった、のではないだろうか。ざっくり言ってしまうのならば透明感のある歌声にポストロック以後のJ-POP的トラックと、どうしても坂本真綾や悠木碧といった先人がよぎってしまうのだが、今後の成長に期待できるし、プロダクトとしての方向性がかなり好みだということもあり強く推す。舵取りを誤らないようにしてもらいたい、とどうしても考えてしまうが、現時点で最良の結果、だろう。
色々と言ったし思うところもあったが、豊崎愛生の新譜が出た、コンサート・ツアーをした、という年は必ず軽く事件のようなものだし、記憶されるべきだ。それが今作のようなキャリアの転回点となり得るような作品であれば尚更。前作の緊張感も良かったが、聴き手を軽く吹き飛ばすような、爽快な勢いに溢れていて本当に良かった。改めて、ロック・スターだ、この人は。と強く感じた次第だ。
次点としては、Greenleaf、Creepy Nuts、Esperanza Spaldingといったところだろうか。昨年も新旧含めすばらしいアルバム/アーティストに出会えた。今年も沢山の良い音楽を探していきたい。