虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

大切に思えるものがはてブロならいいよね

題『私のふるさと』ということで書いてみる。北海道は音更町。十勝の真ん中だ。だいたい帯広との境目なので、面倒から帯広だと言い切ってしまったりもする。豚丼やらバターサンドやらが名物ということになっているが、食べ物は基本的になにを食べても美味しい、と思う。この、『なにを食べても美味い』というのがうまく伝わらないのが地元が損をしているところだ。正直なところ、観光地としてはそれぐらいしか取り柄がないので、もっとうまくやればいいのに、とずっと思っている。

 

稿作業中。縁あって良いオーディオ・ルームを使わせてもらっているので、BGMの響きがとんでもなくリッチだ。ちょうどフィッシュマンズのニューミックスが配信されたり、昔からいい音だと思って聴いていたzabadakの『宇宙のラジヲ』を聴き返したりして、楽しい時間を過ごしている。原稿は遅々として進まないが。

村萬月『ニードルス』を読む。『ロック・オブ・モーゼス』とは表裏一体、といった感じの、どちらかといえば初期に近いグズグズのロック青春物語。僕がロックや音楽の小説に求めるものはだいたい花村萬月が形にしてくれているな、ということを再確認。世の中の、ロックをテーマとした創作物、に納得がいかないというひとは一度読んでみて欲しい。面白かった。

ニメ『邪神ちゃんドロップキック』にハマる。『ギャラクシーエンジェル』/『錬金三級まじかる・ぽか〜ん』/『ミルキィホームズ』といったあたりの、美少女不条理ギャグ・アニメの系譜、といって伝わるだろうか。目の描き方から作風に至るまで、どこかしら90年代の香りが漂うのがいい。

ジロックのインターネット配信を観る。Johnny Marr、Fishbone、浅井健一The Birthdayといった辺りがとても良かった。特にベンジーはいまが最盛期なのではないかと思うぐらいで、バンドも過去最強というか、本当に、BJC以来最高の演奏を観たように思う。The Birthdayも相変わらず名曲というよりはグルーヴとアンサンブルで聴かせるシブめの演奏といった感じだったが、バンドのマジックが最高潮に達していると思しき状態で、やはり過去最強と言わざるを得ない演奏。一度、2ndの頃に観た際はそうでもないか、と思っていたのだが、もう一度生で観たいと思わされた。

日のCD。

THE OTHER もうあきてしまった [名盤1000円]

THE OTHER もうあきてしまった [名盤1000円]

 

長谷川きよし『THE OTHER もうあきてしまった』

日本のシンガーソングライターによる編集盤。2015年発表。長谷川きよしシャンソンやサンバなど、ワールド・ミュージック的なノリをあくまでフォーキーなスタイルで聴かせるSSW、という感じのアーティストであり、どちらかというとギターの弾き語りに凄みがあるのだが、今作は敢えて『和ジャズ』、『レア・グルーヴ』的な視点から彼の録音を洗いなおす、ユニークな編集盤だ。凄腕のジャズメンによるドス黒いグルーヴの曲あり、ティンパンアレイ関係の参加した軽快なシティ・ポップあり。和製電化トラッドとでも言うべき大曲「古(いにしえ)坂」や、荒井時代のユーミンの作詞がキレている「ダンサー」、同じくユーミンのカバーひこうき雲」など、長谷川きよしというパーソナルに馴染みがなくとも取っ付きのやすい楽曲が並んでいる、ように思う。ぜひ弾き語り音源(近年は小西康陽プロデュースのライブ・アルバムなんていうのもあるし)を聴いてみてもらいたい、とは思うのだが、こういった音源から入ってみるのも良いのではないかと思う。まさに『ジ・アザー・サイド・オブ』な良編集盤。

 

 日のアルバム。

Mats/Morgan Band『Thanks For Flying With Us』

スウェーデンのバンドによるアルバム。2005年発表。ずっと気になっていたのだが、bandcampにて『All Albums Bundle』という、デジタル・ボックス・セットとでも言うような(ほぼ)全アルバム収録のアルバムが安かったためまとめて購入した。中でも一応代表作ということになるのだろうか、よく見かける作品だが、とんでもない内容だ。基本的にはReturn To Foreverを基調としたバカテク・ジャズ・ロックなのだが、Frank Zappa的なユーモアやらカンタベリー的なねじれ歌心やらが混ざりこんだ結果、異様に人懐こい異形の音楽、という他に類を見ない作品となっている。Meshuggahと仲が良いというのも納得のガクガク来るリズム感に、コナミ矩形波倶楽部で聴けるような、ファミコンのシューティング・ゲーム・サウンドをベコベコに折り曲げて現代アートに仕立てあげたみたいな(?)アンサンブルが耳から脳へと伝達し揺さぶりをかけてくる。あくまで軸足にジャズがあって耳の馴染みこそ良いものの、だからこそ耳から離れなくなる強烈な中毒性がある。危険物ではあるが、我こそはという人は是非聴いてみてほしい。とにかく格好良いのは間違いない。

 

ちなみにこれが最初に書いたAll Albums Bundle。187曲入りで59ドル(6500円前後)、という破格ぶりだ。どうせすべて集めることになるので、試聴して気になったら一気に買うのをお薦めする。