虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

五色のはてブロ

週のお題「人生に影響を与えた1冊」ということで、珍しく書いてみる。小学六年生の頃、通っていた塾の国語の宿題で読書感想文が出た。灰谷健次郎『兎の眼』であったと記憶している。これが本当に、(今読むとどうなのか怖くて試せもしないが)苦痛でしか無く、また教科書に掲載されている物語にも興味を持てずにいた頃、近所のTSUTAYA神坂一スレイヤーズ!』に出会った。漫画的な表紙、ファンタジーでありながら理解しやすい設定、子供向けにしてはえげつない物語に一気に夢中になった。以降、ライトノベルをむさぼるように読み、その後ミステリやSF、文学の世界へもその興味を拡張していくことになる、その根の部分だ。そういったわけで、僕はアマチュアなりに小説を書く身だが、最も影響を受けた作家にはまず神坂一を挙げることにしている。

タヤディスカス定期報告。かまやつひろし『かまやつヒロシ テイチク・イヤーズ 1960・1961』、堺正章『しんぐるこれくしょん』。Apple Musicで聴けなそうなものを、と考えたらリストが怒濤のGS攻めになった。しかし邦楽はすべて聴けない、と判断してしまうと色々漏れがありそうなため、やはりリスト化が待たれる。

広B♭M7にて『坂田明、スガダイロー、ジム・オルーク、山本達久』というライブを観た。もう、目の前に神々がオールスターズ、といった光景が広がっているわけだが、内容についても圧倒、という言葉を物理的なものとして適用したくなるような、パワフルなフリージャズ。『フリージャズとは何からの自由なのか』といったことを菊地成孔が講義で語っていたなと思い返しつつ、本当に『なんでもあり』から己れを掴み取る、豊かな音楽的表現だったのだろう、などといささか自己啓発めいた文言になってしまうぐらいには感動してしまった。終盤、坂田明氏が「音楽というものは理解できないものであり、頭を空にしておいた方が良く入ってくる。(特にこういった音楽では)」といったMCをされていたのだが、本当に、『音楽を理解する』という行為の難しさに対して気付いていない人間というのは多いよな、と、これは別のジャンルに於いて自身へそのまま返ってくる言葉ではあるのだが、そういったことを考えたりした。

近、僕はライト・ミステリが好きなのだ、ということに気付いた。ミステリ好きにしては本格のロジックだとかそういうものが苦手なのだが、ライト・ミステリはそういったところから自由で居られるから、というのは後ろ向きな理由になってしまうだろうか。そうでなくとも、日常の謎、やキャラミス、といった単語にはときめきを覚えてしまう。お仕事ミステリ、に関しては少しばかり距離を置いておきたいところではあるが。