虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

Moon はてブロを教えて

年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします。

いうわけで恒例、2018年ベスト・ディスク。
まず、ベスト・ソングに関してはこちらのリストを参照してほしい。

Spotifyで聴ける曲、で選んでみたのでアルバム編ともまた異なるが、良いプレイリストになったのではないかと自負している。自分が選んだ楽曲を、実際に聴いてもらえるというのはなんだかラジオDJのようで嬉しい。

あらためて、ベスト・ディスクを。長くなるので一旦折りたたむ。

続きを読む

ゆけゆけ!!はてブロメーカーズ

新しようとしたところでインフルエンザに罹り、ダウン。ようやく復帰したが、今年最後の更新になりそうなので特大号(当社比)でお送りしようと思う。

くなりましたが、北海道COMITIA9、ありがとうございました。通販、BASE/BOOTHともに用意があるのでよろしくお願いします。

chrorograph.thebase.in

survivalsickness.booth.pm

寂しさを紛らわせるためにVAPEというものを始めてみた。完全に『たばこごっこ』なのだが、ニコチン/タールともに0ということで喫煙習慣のない人間にはありがたい。いまのところ『面白いおもちゃ』状態なので、健康面で実際にどうというのはわからないが、楽しい。

例のボードゲーム会に行ってがっつりと遊んできた。『ノイ』、『ゴッズ・ギャンビット』といった前回も遊んだものから、『サマルカンド』や『光合成』といった箱もので軽めのゲーム、『横暴編集長』のような大喜利ものまで色々。『クアルト』で勝てたのが嬉しかった。これからも顔を出して遊んでいきたい。

ルカリで出品する側に回ってみた。なるほどフリマアプリ、といった感じで楽しい。CDばかりいろいろと出品しているので、良かったら見てみてほしい。意外な掘り出し物がある、と思う。

坂読『妹さえいればいい。(11)』を特装版の特典であるボードゲーム『妹が多すぎる。』につられて購入。もとは『シンデレラが多すぎる』というゲームで、名前だけは聞いたことがあったのだが、まさかこういうきっかけでプレイすることになるとは。というか、この作品自体が相当ボードゲームフリークな作品らしく、原作では僕が最も愛するカードゲームの一つ『ワンス・アポン・ア・タイム』も頻出するようで俄然気になってきた。

日のCD。

Orb

Orb

 

木箱『Orb』

日本のエレクトロニカ・ユニットによる6枚目のアルバム。2018年発表。まさに待望の、としか言いようがない。音楽性はざっくり言ってそのまま『(ポスト・)エレクトロニカなJ-POP』だ。しかしそんなシンプルな音楽性の中に、たとえばEDMの圧を感じさせずポップスに溶かしこむだとか、今回のテーマである宇宙的な広がりを感じさせる空間の音作りだとか、ベテランにしか出来ない技巧の数々が光っている。とにかくただ良い曲を良いアレンジで、という精神性はサカナクションのようでもある(実際にメンバーが札幌時代のサカナクションの録音に関わっていたりする)し、ヴォーカル・ラインは『AIR』や『CLANNAD』といった麻枝准の関連作品、もう少し言うとLiaeufoniusなんかが好きな人にストライクなはずで、アニメ/ゲームの主題歌を中心に活動していたらまったく違った道があったような気がする(良し悪しの話ではなく)。以前、拙作『おわらない、』でトリビュートを捧げたこともあり、是非とももっと多くの人に聴いてもらいたいアルバム/アーティストだ。ライブも面白いので、近くで見かけた際には行ってみると良いのではないかと思う。

 

www.youtube.com

 

日のCDその2。

1

1

 

zArAme『1』

日本のバンドによる初のフル・アルバム。2018年発表。こちらも待望の、というか、2018年のロックにとって大きな事件だったことは間違いない。これまでの音源をまとめた編集盤『11』に続き、ライブ会場限定CD『COLD e.p.』(限定盤ではあるが、全曲が今作に再録されている)を経てリリースされた今作はとにかく、『うるさいロックの決定版』としか言いようがない。歪んだギターとともに吐き出す言葉でしか表現できない、けれどどんな音よりも耳の奥を貫くような鋭い『うた』の数々。バンドとして、『オリジナル・アルバム』を作った、という意志が感じられる大きなうねりとしてのアルバム。スタンダードな4ピース・バンドから生まれる音にしてはとんでもなくスケールの大きな作品であり、繰り返しになるが『うるさいロック』が好きなら避けて通れないと思う。歴史的名盤になることが約束されたアルバム、だろう。

 

soundcloud.com

 

日のアルバム。

DMBQ『KEEENLY』

日本のバンドによる13年ぶりのアルバム。2018年発表。これまでのアルバムでは一応『ハードロックのデカいやつ』をやっていたDMBQが、今作では一気にスラッジ化。というか、単純に『轟音のうねり』と化しており(増子真二曰く『スーパー・ロック・ミュージック』)、それでいて単なる実験ノイズには堕していない、見事な作品だと思う。美しくうねってみせる轟音はシューゲイザー好きにもアピールするような、どこか耽美ささえ感じさせるし、Sunn O)))などのファンにも届くのではないかと思う。スピーカーと居住環境の許すその一歩先まで音量を上げて爆音で聴きたい、まさに『ロックを超えたロック・アルバム』。今年一の問題作であり、名盤。サブスクリプション、アナログ、ないしリンク先の海外版デジタル配信だと2曲ボーナストラックが収録されており、そちらをお薦め。

 

日のアルバムその2。

LOOKING FOR THE MAGIC(初回限定盤)(DVD付)

LOOKING FOR THE MAGIC(初回限定盤)(DVD付)

 

GLIM SPANKY『LOOKING FOR THE MAGIC』

日本の音楽ユニットによる4枚目のフル・アルバム。2018年発表。いや、びっくりした。これまでも決して嫌いなアーティストではなかったのだが、今ひとつ決め手に欠けるというか、本人たちのロック・スター志向に対して音楽が追いついていないように感じたのだが、今作は文句なしというか、問答無用の説得力を感じた。The Killsあたりからの影響であろうビッグなリズム感とファズの音色、US録音によってより確かに身につけた現代のサイケ感、引き続いて巧みな、隙間を上手く演出した空間など、(本人たちの言葉通り)『海外に通用する日本のロック』として最初の完成をみた、と言えるだろう。あがた森魚ユーミンが絶賛するのも頷けるクオリティであり、たとえばオワリカラの目指していた『(日本の)クーラ・シェイカーになりたい』という言葉を叶えた上で2018年の最新型にアップデートしてしまったという感もある。文句無しで邦ロックの表舞台はこの二人の完勝、だろう。

www.youtube.com

はてブロ・コンテンポラネオ

き続き新刊の告知。黒岡衛星公式ブログ『クロノグラフになれなくて』にも告知エントリを用意した。

http://satellitecrouka.tumblr.com/post/179633192908/

satellitecrouka.tumblr.com

12/2(日)、ホテルライフォート札幌。よろしくお願いします。

週のお題「読書の秋」ということで書いてみる。次、執筆する予定の作品の参考にと神坂一『O・P・ハンター』を読む。表題作の見事さはこの2018年にあってますます唯一無二となっているように思う。きちんと再評価されるべき。

題「紅葉」ということで書いてみる。確か配信で観たライブの、日比谷カタンが演っていた『連合赤軍の残党カップルが京都で紅葉を見上げながら決意を新たにするさだまさしの新曲』という曲、並びにMCが頭から離れない。日比谷カタン、一度生で観てみたい。

変わらず、Spotifyでプレイリストを編む日々が続いている。

楽オタクの常として、こういったプレイリスト公開ものには目がないのだが、特にこの2つはよく出来ているのではないかという自惚れがあるため、是非聴いてみて欲しい。
『こういうプレイリストを作ったのでオススメしたい!』という方もお待ちしています。

pixiv BOOTHで行われているWEB同人音楽即売会『APOLLO 09』に一般参加してみる。あまり同人音楽には馴染みがなく、好みのジャンルとも若干ずれる界隈なのだが、たまに面白い作品があり、眺めて気になったジャケットを試聴しているだけでも楽しい。こういう文化が音楽以外でも根付いたらいいのにな、と思いつついくつか買う。やはり同人音楽ミニマルテクノ系が良い。

日のアルバム。

Prhyzmica『convergence』

日本のアーティストによる、おそらく8枚目のアルバム。2013年発表。というわけでAPOLLOで出会った一枚を。あくまでDTMであることをプラスに強調しつつ、民族音楽風からアキシブ系(死語……)ポップスまで幅広く手掛けるアーティストの、ミニマルに拘った作品集。アンビエントグリッチ/ポスト・クラシカル……といった要素をアブストラクトに繋ぎながらゆっくりと聴かせる。宅録感を逆手に取ったような、独特の温かみある音色もよいし、何より作曲として優れている、ように思う。たとえば、「変拍子とかよくわからないけどMaison book girlはバック・トラックも可愛くて好き」という人が居たらストライクなのではないだろうか。今回一番の収穫。お薦め。

たどり着いたらいつもはてブロ

しぶりの更新で初っ端から申し訳ないのだが、告知を。

12/2(日)、ホテルライフォート札幌で行われる北海道COMITIA9に参加します。

f:id:conspiracy:20181031180851p:plain

「ひみつだよ、と言うときの、パパの顔が好きだった。」

『父子』で『ショタ受』の書き下ろしBL小説。といっても僕の文章なのでいつものやつ。ボーナストラックとして打ち合わせ用スケッチ「N.G.S」を収録。

『デュオ(もうひとつの)』

一次創作長編小説
A5判 本文28ページ 500円 イラスト:みけらん( @ninjinsirisiri8 )

今回は百合じゃないのでBL/JUNEの島に居ますが、例によって既刊は持っていくのでよろしくお願いします。

めてメルカリで買い物をした。こういったネット通販系のアプリ/サービスはどうしても不安に思ってしまうのだが、無論問題なく使用できた。未知のテクノロジーに対する不安。単に年をとったのか、世代的な問題か。どちらにせよ若くはないということだろう。

われたので久しぶりに格ゲーを始めた。『ブレイブルー』は初めて触ったのだが、楽しい。とはいえ反応速度がとんでもなく遅いのでコンボ練習の時点で突っかかっている。難しい、けどやはり楽しい。

日のCD。

Apocalypse

Apocalypse

 

Free Love『Apocalypse』

日本のバンドによる唯一のスタジオ・フル・アルバム。2006年発表。DOIMOI杉山氏がライブを絶賛していたのを見て、ずっと聴きたかったのだがようやく入手することができた。一見70年代風のハードロックなのだが、ただ70年代を今の立場から研究しレトロ感を醸すようなバンドではなく、シンプルに70年代のハードロック名盤を思わせるような、エンジンの質というか、原初のテンションと太い演奏が感じられる、凄いバンドだ。唸るオルガンとギターの絡みなどは壮麗というよりも暴力的で、長尺の楽曲もあり、アート・ロック的ではあるが、プログレ、というのともまたちょっと違う。強いて言うならばヴォーカルがジャップス・プログレ的だが、そういった声質をアシッド・フォーク的に活かした楽曲もあり、一筋縄では掴ませない。オリエンタルな空気感とエンジンの確かさはOUTRAGEがカバーしたザ・モップス「御意見無用」のようでもある。一癖あるのは確かだが、単純に『太い』ロックとして万人に薦められるように思うし、聴いてほしい作品だ。もう一枚、ライブ音源を収録したオフィシャル・ブートレグが存在するとのことなので、探してみたい。

はてブロのめざめ

週のお題「好きな街」ということで書いてみる。「街」といえばSOPHIAだが、いまは↓の通りKing Crimsonばかり聴いているため、「Pictures Of A City」がとにかく痺れる。『In The Wake Of Poseidon』はちと過小評価されていやしないか。

日をきっかけにKing Crimsonばかり聴き返す。2015年の来日公演で録音されたものをきっかけに、90〜00年代の、一般的にあまり評価の高くない時期を集め始めた。が、だいたいどれも格好良い。己れの悪食ぶりを再確認する。

人とSpotifyのプレイリスト作成で盛り上がる。

 

 

Spotify自体は無料登録で聴けるサービスだし(スマートフォンアプリだと扱いづらくなってしまうので、PCの方がお薦め)、BGM的に聴いてみていただければと思う。同人誌『CONSOMME CUBE』で特集したプレイリストなども関連に上げてあり、重ねてお薦めだ。

島智『アヴァン・ミュージック・イン・ジャパン』を読む。目の付け所のいいディスクガイドであり、発表当時から楽しみにしていたのだが単純に文章が拙く残念。Julian CopeやNurse with Woundsのようなリストとして(『ジャップ・ロック・サンプラー』は内容も面白いが)活用するぐらいしか、といったところだ。こういった音楽に関してはしゃもじピンコさんのstrange music pageというサイトが(情報こそやや古いものの)とにかく充実しており、お薦め。

日のCD。

ヴルーム・ヴルーム

ヴルーム・ヴルーム

 

King Crimson『Vrooom Vrooom』

イギリスのバンドによるライブ音源の編集盤。2001年発表。というわけでクリムゾンの、96年と95年のライブ音源をカップリングしたアルバムが今作。そこそこ昔から所持してはいたものの、クリムゾン自身の歴史と今、ロックの90年代、といった周辺情報に触れ、改めてその格好良さに参った次第だ。この時期は通称『ダブル・トリオ』と呼ばれる6人編成であり、3ピースx2によって90年代初頭、グランジが流行ったようなヘヴィ・ロックの時代に鳴らされる、とても圧の強いプログレが聴ける。単純に、シンプルに、『うるさいのがロック』という耳で聴くとそのテクニックに裏打ちされた重量感の表現に圧倒されるし、しかもそれが6人で鳴らされているのだから音もデカい。「21世紀のスキッツォイド・マン」などクリムゾンのクラシックと言って良い楽曲も収録されているが、どちらかといえば当時の、『Vrooom』や『Thrak』といったアルバムからの曲が重苦しくて良い。クリムゾンというバンドは思い入れがある人間ほどなんやかや言いがちではあるが、そういった思い入れがある人間の一人としては単純に優れたヘヴィ・ロックとして一度聴いてみてほしい。そしてなんやかや言いがちな人間であっても、ライブに於ける演奏がが素晴らしく格好良いということだけは認めずにはいられないだろう。そんなクリムゾンの魅力が端的に楽しめる音盤であり、お薦めだ。

www.youtube.com

はてブロズ・ギャンビット

題『自立ってなんだろう?』ということで書いてみる。大人になること、親と対等であること、いろいろ定義はあるだろうが、人間一人で生きられるものでもないのだし、あまり独り立ちを強調することはないのではないだろうか、と思ったりはする。

 

元のボードゲーム会に顔を出してみる。初めてだったのでメンツや空気感に不安があったのだが、いざ入ってみればとにかく楽しい時間だった。ファミリーからオタクまで、軽いものも重いものもそれぞれ常に卓が立って遊びっぱなしの一日。遊んだゲームはどれも面白かったが、特に『ゴッズ・ギャンビット』は自分でも購入しようと決意。やはりカナイセイジ氏のゲームは好きだ。

Steamで販売されている『Dragon Spear』というゲームにハマる。もともとは韓国製のスマホゲー、らしいのだが、操作性中毒性ともにいい感じだ。『Dragon's Crown』を萌え要素強めに、シンプルにしたようなベルトスクロール・アクションだが、とにかく動かしていて楽しい。爽快感がありつつも、雑に動かしているとやられる、という難易度も絶妙。DLCでしか開放できないキャラ、といった要素もあるが、まずは基本セットだけでも購入してプレイしてみたら良いのではないだろうか。おすすめだ。

日のCD。

炎寂

炎寂

 

日本のバンドによる1stアルバム。2006年発表。本人たち曰く『ジャズ・トランス・バンド』だそうだが、どちらかというとプログレッシヴ・ロックに近い。ギター/キーボード/ドラムという編成のインスト、ということでFLAT122あたりを思い出すものの、もっとテンション一発というか、わかりやすい展開とドラマが特徴であり、勢いで聴ける良さがある。確かにトランシーではあるし、ジャジーでもあるのだが、仕上がったものはどこまでもオリジナルでユニーク。おすすめ。個人的にも、昔何かの雑誌で見かけて気になっていたので、聴けて良かったと思う次第だ。

www.youtube.com

探してみたが、次作の映像しか見当たらなかった。

はてブロ・オン・ザ・プラネット

震、というか停電の影響をもろに受けていたのだが我が家も無事に復旧。「デッドマンズQ」(単行本『死刑執行中脱獄進行中』収録)のあとがきで荒木飛呂彦が「好きな音楽も自由に聴けない彼を描いていたら涙が出てきました」というようなことを書いていた気がするのだが、音楽が聴けないのがこんなに堪えるとは思わなかった。No Music, No Lifeは病気だと思うが、禁断症状みたいなものか。

ASE、というサービスにサークル通販用のショップ『Survival Sickness Shop』をオープンした。BOOTHと違い会員登録がいらないので気軽に買い物をしてみてほしい。一部ダウンロード商品がまだだが、商品も一通り揃っている。

chrorograph.thebase.in

クヨムにて、連載再開前の手慣らしにと短い小説を書いた。『BASTARD!』と『百合男子』の悪魔合体、を目指して見事に合体事故を起こしたような一作。しょうもない話だが、意外と気に入っているので一読いただければ、笑っていただければ幸いだ。

kakuyomu.jp

ノムさん

www.youtube.com

日のアルバム。

FooL on CooL generation

FooL on CooL generation

 

the pillows『FooL on CooL generation』

日本のバンドによる企画盤。2018年発表。新曲を最初と最後に配し、『フリクリ』新作のためにリ・レコーディングされた楽曲が並んでいるが、これがとてもいい。ベスト・アルバム『Fool on the planet』以降のキング所属時代の楽曲を中心としており、当時の試行錯誤によって残されたマテリアルの確かさはそのままに、近年のライブ・パフォーマンスはおそらくこうであろう、というような熱量が込められている。個人的にもとても思い入れのある時期であり、あまり冷静に語れないのだが、いまピロウズというバンドに触れるのなら今作はとっておき、ではないだろうか。最近は離れていた、という人も今作をきっかけに近作を聴いてみれば良いと思うし(自分もその一人、だったりするのだが)、初めて知るにも全然良い。最新作がベストである、というのはロック・バンドとしてのコンディションが限りなく最高であるということを感じさせる。とてもクールで熱い、ロックンロール・アルバム。

www.youtube.com

 

日のCD。

OpaqueAge

OpaqueAge

 

the hatch『OpaqueAge』

日本のバンドによる1stアルバム。2018年発表。とにかくもうとんでもない。札幌が、とか、ハードコアが、とかそういう話ではない。文句なしにモニュメンタルな、規格外な作品だ。以前からライブを観るたびに『人類を半歩はみ出したような』格好良さのバンドだと思っていたが、本格的なスタジオ録音に向けての準備とともに、音楽性が変わっていっていると聞いて気になっていた。そして本作。本人達も発言しているように、ハードコアの精神性を失わないままにブラック・ミュージックを消化した、最新型のパンク・ロック。安易な、或いは全時代的なミクスチャーとは根本が違っているというのが、一聴すればたちまちにわかるだろう。どこまでも濁って中が見えない沼を覗きこまされるような、ディープな一枚だ。P-ファンクに洗脳されたキャプテン・ビーフハートを若者がアートとして現代に蘇らせたような、だとか無茶苦茶な喩えばかりが浮かぶ。ポップ・ミュージックに問題提起をする、ようなアルバムだと思うし、そうなってほしい。文句なしに今年一番の問題作、だろう。

(閲覧注意)

www.youtube.com店舗によっては特典として付属するライブ音源が、また特別に格好良いので、入手できるならばそちらもお薦め。 

www.youtube.com

 

日のCDその2。

KNUT

KNUT

 

山田祐伸+横山祐太+塚野洋平『knut』

日本のアーティストによるアルバム。2018年発表。chikyunokikiのヴォーカルである山田祐伸つながりで聴いたのだが、本当にすばらしい作品だった。アコースティック・ギターを中心に、シンセサイザーを操りながら歌う山田祐伸の言葉や歌は穏やかだが優しくなく、札幌ハードコア由来の鋭さを感じさせる(Discharming manに少し似ている)し、横山祐太のトランペットはあくまで静謐で柔らかい空気を損なうことなく世界を広げているし、塚野洋平のエレクトリック・ギターもまた、強い主張をせずに存在感を感じさせ、歌に寄り添うように流れていく。ネオ・ソウル的なリズム感に、ジャジーでフォーキーな歌心、と、どこかカクバリズム的(というかキセルぽい)部分もあるものの、間違いなく札幌からしか現れない、この三人でしか表現できないオリジナルなものだ。一見ただおしゃれなようでいて、伝えることにまっすぐな、シンプルで無駄がなく、しかし無限の広がりを感じさせる名盤。お薦め。

www.youtube.com