虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

たどり着いたらいつもはてブロ

しぶりの更新で初っ端から申し訳ないのだが、告知を。

12/2(日)、ホテルライフォート札幌で行われる北海道COMITIA9に参加します。

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「ひみつだよ、と言うときの、パパの顔が好きだった。」

『父子』で『ショタ受』の書き下ろしBL小説。といっても僕の文章なのでいつものやつ。ボーナストラックとして打ち合わせ用スケッチ「N.G.S」を収録。

『デュオ(もうひとつの)』

一次創作長編小説
A5判 本文28ページ 500円 イラスト:みけらん( @ninjinsirisiri8 )

今回は百合じゃないのでBL/JUNEの島に居ますが、例によって既刊は持っていくのでよろしくお願いします。

めてメルカリで買い物をした。こういったネット通販系のアプリ/サービスはどうしても不安に思ってしまうのだが、無論問題なく使用できた。未知のテクノロジーに対する不安。単に年をとったのか、世代的な問題か。どちらにせよ若くはないということだろう。

われたので久しぶりに格ゲーを始めた。『ブレイブルー』は初めて触ったのだが、楽しい。とはいえ反応速度がとんでもなく遅いのでコンボ練習の時点で突っかかっている。難しい、けどやはり楽しい。

日のCD。

Apocalypse

Apocalypse

 

Free Love『Apocalypse』

日本のバンドによる唯一のスタジオ・フル・アルバム。2006年発表。DOIMOI杉山氏がライブを絶賛していたのを見て、ずっと聴きたかったのだがようやく入手することができた。一見70年代風のハードロックなのだが、ただ70年代を今の立場から研究しレトロ感を醸すようなバンドではなく、シンプルに70年代のハードロック名盤を思わせるような、エンジンの質というか、原初のテンションと太い演奏が感じられる、凄いバンドだ。唸るオルガンとギターの絡みなどは壮麗というよりも暴力的で、長尺の楽曲もあり、アート・ロック的ではあるが、プログレ、というのともまたちょっと違う。強いて言うならばヴォーカルがジャップス・プログレ的だが、そういった声質をアシッド・フォーク的に活かした楽曲もあり、一筋縄では掴ませない。オリエンタルな空気感とエンジンの確かさはOUTRAGEがカバーしたザ・モップス「御意見無用」のようでもある。一癖あるのは確かだが、単純に『太い』ロックとして万人に薦められるように思うし、聴いてほしい作品だ。もう一枚、ライブ音源を収録したオフィシャル・ブートレグが存在するとのことなので、探してみたい。

はてブロのめざめ

週のお題「好きな街」ということで書いてみる。「街」といえばSOPHIAだが、いまは↓の通りKing Crimsonばかり聴いているため、「Pictures Of A City」がとにかく痺れる。『In The Wake Of Poseidon』はちと過小評価されていやしないか。

日をきっかけにKing Crimsonばかり聴き返す。2015年の来日公演で録音されたものをきっかけに、90〜00年代の、一般的にあまり評価の高くない時期を集め始めた。が、だいたいどれも格好良い。己れの悪食ぶりを再確認する。

人とSpotifyのプレイリスト作成で盛り上がる。

 

 

Spotify自体は無料登録で聴けるサービスだし(スマートフォンアプリだと扱いづらくなってしまうので、PCの方がお薦め)、BGM的に聴いてみていただければと思う。同人誌『CONSOMME CUBE』で特集したプレイリストなども関連に上げてあり、重ねてお薦めだ。

島智『アヴァン・ミュージック・イン・ジャパン』を読む。目の付け所のいいディスクガイドであり、発表当時から楽しみにしていたのだが単純に文章が拙く残念。Julian CopeやNurse with Woundsのようなリストとして(『ジャップ・ロック・サンプラー』は内容も面白いが)活用するぐらいしか、といったところだ。こういった音楽に関してはしゃもじピンコさんのstrange music pageというサイトが(情報こそやや古いものの)とにかく充実しており、お薦め。

日のCD。

ヴルーム・ヴルーム

ヴルーム・ヴルーム

 

King Crimson『Vrooom Vrooom』

イギリスのバンドによるライブ音源の編集盤。2001年発表。というわけでクリムゾンの、96年と95年のライブ音源をカップリングしたアルバムが今作。そこそこ昔から所持してはいたものの、クリムゾン自身の歴史と今、ロックの90年代、といった周辺情報に触れ、改めてその格好良さに参った次第だ。この時期は通称『ダブル・トリオ』と呼ばれる6人編成であり、3ピースx2によって90年代初頭、グランジが流行ったようなヘヴィ・ロックの時代に鳴らされる、とても圧の強いプログレが聴ける。単純に、シンプルに、『うるさいのがロック』という耳で聴くとそのテクニックに裏打ちされた重量感の表現に圧倒されるし、しかもそれが6人で鳴らされているのだから音もデカい。「21世紀のスキッツォイド・マン」などクリムゾンのクラシックと言って良い楽曲も収録されているが、どちらかといえば当時の、『Vrooom』や『Thrak』といったアルバムからの曲が重苦しくて良い。クリムゾンというバンドは思い入れがある人間ほどなんやかや言いがちではあるが、そういった思い入れがある人間の一人としては単純に優れたヘヴィ・ロックとして一度聴いてみてほしい。そしてなんやかや言いがちな人間であっても、ライブに於ける演奏がが素晴らしく格好良いということだけは認めずにはいられないだろう。そんなクリムゾンの魅力が端的に楽しめる音盤であり、お薦めだ。

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はてブロズ・ギャンビット

題『自立ってなんだろう?』ということで書いてみる。大人になること、親と対等であること、いろいろ定義はあるだろうが、人間一人で生きられるものでもないのだし、あまり独り立ちを強調することはないのではないだろうか、と思ったりはする。

 

元のボードゲーム会に顔を出してみる。初めてだったのでメンツや空気感に不安があったのだが、いざ入ってみればとにかく楽しい時間だった。ファミリーからオタクまで、軽いものも重いものもそれぞれ常に卓が立って遊びっぱなしの一日。遊んだゲームはどれも面白かったが、特に『ゴッズ・ギャンビット』は自分でも購入しようと決意。やはりカナイセイジ氏のゲームは好きだ。

Steamで販売されている『Dragon Spear』というゲームにハマる。もともとは韓国製のスマホゲー、らしいのだが、操作性中毒性ともにいい感じだ。『Dragon's Crown』を萌え要素強めに、シンプルにしたようなベルトスクロール・アクションだが、とにかく動かしていて楽しい。爽快感がありつつも、雑に動かしているとやられる、という難易度も絶妙。DLCでしか開放できないキャラ、といった要素もあるが、まずは基本セットだけでも購入してプレイしてみたら良いのではないだろうか。おすすめだ。

日のCD。

炎寂

炎寂

 

日本のバンドによる1stアルバム。2006年発表。本人たち曰く『ジャズ・トランス・バンド』だそうだが、どちらかというとプログレッシヴ・ロックに近い。ギター/キーボード/ドラムという編成のインスト、ということでFLAT122あたりを思い出すものの、もっとテンション一発というか、わかりやすい展開とドラマが特徴であり、勢いで聴ける良さがある。確かにトランシーではあるし、ジャジーでもあるのだが、仕上がったものはどこまでもオリジナルでユニーク。おすすめ。個人的にも、昔何かの雑誌で見かけて気になっていたので、聴けて良かったと思う次第だ。

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探してみたが、次作の映像しか見当たらなかった。

はてブロ・オン・ザ・プラネット

震、というか停電の影響をもろに受けていたのだが我が家も無事に復旧。「デッドマンズQ」(単行本『死刑執行中脱獄進行中』収録)のあとがきで荒木飛呂彦が「好きな音楽も自由に聴けない彼を描いていたら涙が出てきました」というようなことを書いていた気がするのだが、音楽が聴けないのがこんなに堪えるとは思わなかった。No Music, No Lifeは病気だと思うが、禁断症状みたいなものか。

ASE、というサービスにサークル通販用のショップ『Survival Sickness Shop』をオープンした。BOOTHと違い会員登録がいらないので気軽に買い物をしてみてほしい。一部ダウンロード商品がまだだが、商品も一通り揃っている。

chrorograph.thebase.in

クヨムにて、連載再開前の手慣らしにと短い小説を書いた。『BASTARD!』と『百合男子』の悪魔合体、を目指して見事に合体事故を起こしたような一作。しょうもない話だが、意外と気に入っているので一読いただければ、笑っていただければ幸いだ。

kakuyomu.jp

ノムさん

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日のアルバム。

FooL on CooL generation

FooL on CooL generation

 

the pillows『FooL on CooL generation』

日本のバンドによる企画盤。2018年発表。新曲を最初と最後に配し、『フリクリ』新作のためにリ・レコーディングされた楽曲が並んでいるが、これがとてもいい。ベスト・アルバム『Fool on the planet』以降のキング所属時代の楽曲を中心としており、当時の試行錯誤によって残されたマテリアルの確かさはそのままに、近年のライブ・パフォーマンスはおそらくこうであろう、というような熱量が込められている。個人的にもとても思い入れのある時期であり、あまり冷静に語れないのだが、いまピロウズというバンドに触れるのなら今作はとっておき、ではないだろうか。最近は離れていた、という人も今作をきっかけに近作を聴いてみれば良いと思うし(自分もその一人、だったりするのだが)、初めて知るにも全然良い。最新作がベストである、というのはロック・バンドとしてのコンディションが限りなく最高であるということを感じさせる。とてもクールで熱い、ロックンロール・アルバム。

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日のCD。

OpaqueAge

OpaqueAge

 

the hatch『OpaqueAge』

日本のバンドによる1stアルバム。2018年発表。とにかくもうとんでもない。札幌が、とか、ハードコアが、とかそういう話ではない。文句なしにモニュメンタルな、規格外な作品だ。以前からライブを観るたびに『人類を半歩はみ出したような』格好良さのバンドだと思っていたが、本格的なスタジオ録音に向けての準備とともに、音楽性が変わっていっていると聞いて気になっていた。そして本作。本人達も発言しているように、ハードコアの精神性を失わないままにブラック・ミュージックを消化した、最新型のパンク・ロック。安易な、或いは全時代的なミクスチャーとは根本が違っているというのが、一聴すればたちまちにわかるだろう。どこまでも濁って中が見えない沼を覗きこまされるような、ディープな一枚だ。P-ファンクに洗脳されたキャプテン・ビーフハートを若者がアートとして現代に蘇らせたような、だとか無茶苦茶な喩えばかりが浮かぶ。ポップ・ミュージックに問題提起をする、ようなアルバムだと思うし、そうなってほしい。文句なしに今年一番の問題作、だろう。

(閲覧注意)

www.youtube.com店舗によっては特典として付属するライブ音源が、また特別に格好良いので、入手できるならばそちらもお薦め。 

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日のCDその2。

KNUT

KNUT

 

山田祐伸+横山祐太+塚野洋平『knut』

日本のアーティストによるアルバム。2018年発表。chikyunokikiのヴォーカルである山田祐伸つながりで聴いたのだが、本当にすばらしい作品だった。アコースティック・ギターを中心に、シンセサイザーを操りながら歌う山田祐伸の言葉や歌は穏やかだが優しくなく、札幌ハードコア由来の鋭さを感じさせる(Discharming manに少し似ている)し、横山祐太のトランペットはあくまで静謐で柔らかい空気を損なうことなく世界を広げているし、塚野洋平のエレクトリック・ギターもまた、強い主張をせずに存在感を感じさせ、歌に寄り添うように流れていく。ネオ・ソウル的なリズム感に、ジャジーでフォーキーな歌心、と、どこかカクバリズム的(というかキセルぽい)部分もあるものの、間違いなく札幌からしか現れない、この三人でしか表現できないオリジナルなものだ。一見ただおしゃれなようでいて、伝えることにまっすぐな、シンプルで無駄がなく、しかし無限の広がりを感じさせる名盤。お薦め。

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大切に思えるものがはてブロならいいよね

題『私のふるさと』ということで書いてみる。北海道は音更町。十勝の真ん中だ。だいたい帯広との境目なので、面倒から帯広だと言い切ってしまったりもする。豚丼やらバターサンドやらが名物ということになっているが、食べ物は基本的になにを食べても美味しい、と思う。この、『なにを食べても美味い』というのがうまく伝わらないのが地元が損をしているところだ。正直なところ、観光地としてはそれぐらいしか取り柄がないので、もっとうまくやればいいのに、とずっと思っている。

 

稿作業中。縁あって良いオーディオ・ルームを使わせてもらっているので、BGMの響きがとんでもなくリッチだ。ちょうどフィッシュマンズのニューミックスが配信されたり、昔からいい音だと思って聴いていたzabadakの『宇宙のラジヲ』を聴き返したりして、楽しい時間を過ごしている。原稿は遅々として進まないが。

村萬月『ニードルス』を読む。『ロック・オブ・モーゼス』とは表裏一体、といった感じの、どちらかといえば初期に近いグズグズのロック青春物語。僕がロックや音楽の小説に求めるものはだいたい花村萬月が形にしてくれているな、ということを再確認。世の中の、ロックをテーマとした創作物、に納得がいかないというひとは一度読んでみて欲しい。面白かった。

ニメ『邪神ちゃんドロップキック』にハマる。『ギャラクシーエンジェル』/『錬金三級まじかる・ぽか〜ん』/『ミルキィホームズ』といったあたりの、美少女不条理ギャグ・アニメの系譜、といって伝わるだろうか。目の描き方から作風に至るまで、どこかしら90年代の香りが漂うのがいい。

ジロックのインターネット配信を観る。Johnny Marr、Fishbone、浅井健一The Birthdayといった辺りがとても良かった。特にベンジーはいまが最盛期なのではないかと思うぐらいで、バンドも過去最強というか、本当に、BJC以来最高の演奏を観たように思う。The Birthdayも相変わらず名曲というよりはグルーヴとアンサンブルで聴かせるシブめの演奏といった感じだったが、バンドのマジックが最高潮に達していると思しき状態で、やはり過去最強と言わざるを得ない演奏。一度、2ndの頃に観た際はそうでもないか、と思っていたのだが、もう一度生で観たいと思わされた。

日のCD。

THE OTHER もうあきてしまった [名盤1000円]

THE OTHER もうあきてしまった [名盤1000円]

 

長谷川きよし『THE OTHER もうあきてしまった』

日本のシンガーソングライターによる編集盤。2015年発表。長谷川きよしシャンソンやサンバなど、ワールド・ミュージック的なノリをあくまでフォーキーなスタイルで聴かせるSSW、という感じのアーティストであり、どちらかというとギターの弾き語りに凄みがあるのだが、今作は敢えて『和ジャズ』、『レア・グルーヴ』的な視点から彼の録音を洗いなおす、ユニークな編集盤だ。凄腕のジャズメンによるドス黒いグルーヴの曲あり、ティンパンアレイ関係の参加した軽快なシティ・ポップあり。和製電化トラッドとでも言うべき大曲「古(いにしえ)坂」や、荒井時代のユーミンの作詞がキレている「ダンサー」、同じくユーミンのカバーひこうき雲」など、長谷川きよしというパーソナルに馴染みがなくとも取っ付きのやすい楽曲が並んでいる、ように思う。ぜひ弾き語り音源(近年は小西康陽プロデュースのライブ・アルバムなんていうのもあるし)を聴いてみてもらいたい、とは思うのだが、こういった音源から入ってみるのも良いのではないかと思う。まさに『ジ・アザー・サイド・オブ』な良編集盤。

 

 日のアルバム。

Mats/Morgan Band『Thanks For Flying With Us』

スウェーデンのバンドによるアルバム。2005年発表。ずっと気になっていたのだが、bandcampにて『All Albums Bundle』という、デジタル・ボックス・セットとでも言うような(ほぼ)全アルバム収録のアルバムが安かったためまとめて購入した。中でも一応代表作ということになるのだろうか、よく見かける作品だが、とんでもない内容だ。基本的にはReturn To Foreverを基調としたバカテク・ジャズ・ロックなのだが、Frank Zappa的なユーモアやらカンタベリー的なねじれ歌心やらが混ざりこんだ結果、異様に人懐こい異形の音楽、という他に類を見ない作品となっている。Meshuggahと仲が良いというのも納得のガクガク来るリズム感に、コナミ矩形波倶楽部で聴けるような、ファミコンのシューティング・ゲーム・サウンドをベコベコに折り曲げて現代アートに仕立てあげたみたいな(?)アンサンブルが耳から脳へと伝達し揺さぶりをかけてくる。あくまで軸足にジャズがあって耳の馴染みこそ良いものの、だからこそ耳から離れなくなる強烈な中毒性がある。危険物ではあるが、我こそはという人は是非聴いてみてほしい。とにかく格好良いのは間違いない。

 

ちなみにこれが最初に書いたAll Albums Bundle。187曲入りで59ドル(6500円前後)、という破格ぶりだ。どうせすべて集めることになるので、試聴して気になったら一気に買うのをお薦めする。

Hatebloable Heart

週のお題「わたしのモチベーションを上げるもの」ということで書いてみる。CDのワゴンセールだとか、投げ売りの類。これ以上テンションの上がるものもないし、(量さえあれば)いつまでだって眺めていられるし、買ったCDを取り込んでいる時の幸福感だけで生きるモチベーションになる。CD文化は死んだのなんだの言われるが、僕にとっては立派な宝だ。これで、近所に品揃えの良い新品のCDショップがあればなお良いのだが。

画『ニキータ』を観る。名画は普通に面白いな、と天邪鬼な感想を抱きつつも、ジャン・レノが出てくるシーンではついついエキサイトし、笑ってしまった。その部分だけがタランティーノ映画みたいだった。『レオン』も気になるが、せっかくなのでもっとB級な映画を観たい、気もする。

DLsite.comでセールをやっており、クーポンももらったため、エロゲを買う。いまも別に裕福なわけではないが、ダウンロード販売が中心になったことと、発売から時間が経っているということでだいぶ安価に買えるものが増えており、若い頃にプレイしてみたかったが買えなかった作品などを買い直す。当時はあまりベタな作品に触れてこなかったものだが、一周していまはそういった空気感が心地よかったりもする。加齢。

日のCD。 

filmstock

filmstock

 

baker『filmstock』

日本のアーティストによるアルバム。2009年発表。所謂『VOCAROCK』のはしりというか、バンド・サウンドによるボーカロイド音楽をかなり初期に発表していた作家ということで、後に他の作家たちによって確立する『ボカロっぽさ』はなく、単純にポストロック的なギターロック(残響レコード風)をやっている。古川本舗が手がけたジャケットが指し示す通り、キャラクターとしてのボカロ、に頼らない作風でもあることだし、あまりそういった文化に馴染みのない人にも聴いてみてもらいたい作品だ。個人的にも、「サウンド」は初めて好きになったボカロ曲であり、いまでもおそらく二番目に好きな曲だということもあり、お薦めしたい。名盤。

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MVがDVD画質で収録されているのもありがたい。

 

日のCDその2。

Mr Wizard

Mr Wizard

 

R.L.Burnside『Mr.Wizard』

アメリカのブルースマンによるアルバム。1997年発表。Fat Possumというレーベルを象徴するような、シンプルで爆発力のあるガレージ/ブロークン/ダメージドなブルース。オリジナル・ブルースの世代(1920年代生まれ)でありながら、The Jon Spencer Blues Explosion(以下JSBX)と共演し、90年代オルタナ・ジャンクの流れと共鳴するという、端的に言って化け物というか、ブルースマン特有の名状し難さがある(アルバム・タイトルがまさに、だ)。今作もまた、JSBXや白人ギタリストなどとの共演でもって90年代にアップデートされた最新(当時)のブルース・ロックをやっている。JSBXファンは勿論、『ガツン、とくるロック』としてガレージロックやパンク、サザンロック、ストーナーといったメタルぎりぎりのジャンル愛好家にもお薦めできる、シンプルで懐の広いサウンドだ。オリジナル・ブルース・ファンにしか聴かれていないというのも勿体無いので、もっと広く聴かれてほしい。とにかく、かっこいい。

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はてブロうたったうた

週のお題「ゲームの思い出」ということで書いてみる。いままさに最新作として騒がれている『オクトパス・トラベラー』が僕の子供時代を狙い撃ちしたビジュアルで心の底からプレイしてみたい。ビジュアル・デザインの面でよく比較されるFF6ロマサガシリーズ、要はエニックスと一緒になる前のスクウェア、辺りは本当に思い入れが強く、ゲーマーとしての僕の根幹にあるものだ。作品としては賛否あるようだが、それでも、気になる。

ンタルで映画『泥棒役者』を観る。どれだけ居るかわからない『舞台演劇風映画』ファンのための映画、という感じだった(実際後に舞台化されていたようだし)。絵本を中心に回る、寓話そのものの物語には思わず目頭が熱くなったし、シンプルに、家族で楽しめる映画だと思う。主演の丸ちゃん(from 関ジャニ∞)を始め、役者陣の熱演も光る良作だった。映画は久しぶりだったが、また熱心に観たくなってきたので、Amazonプライム・ビデオあたりで何か探してみようかと思う。

花亭本店4Fはまなしホールにて『ジュリア・スー ピアノリサイタル キーボード・ミュージックの地平〜バッハから武満へ〜』を観る。前半のセットが武満、メシアン、ベリオ、という時点で嫌な予感(嘘。期待)していたのだが、案の定、ずっとホラー映画の効果音を聴いているかのような釈然としない現代音楽の時間。中ではベリオ『6つのアンコール』がとても良かった。休憩を挟んで後半はバッハとベートーヴェンをシンプルかつ力強く弾いており、とても格好良かった。とはいえ、個人的にはやはり前半の現代音楽セットが良かった。しかし武満徹の音楽とはいつまで経っても仲良くなれるような気がしない。難しい。

日のCD。 

24時

24時

 

サニーデイ・サービス『24時』

日本のバンドによる5thアルバム。1998年発表。丸山さんに、サニーデイについてなにか一枚で、となると僕はこれを選ぶ。もちろん、彼らには名盤がたくさんあるしどれも面白いのだが、個人的な思い入れと、いややはりいま聴き返してもとんでもない作品だ、という思いがあるためだ。ともすれば頭でっかちなバンドに見えがちだが、根の部分はどこまでも泥臭く、あくまでもロックンロールのバンドだということが一番よく見えるアルバム、だと思う。アメリカン・ルーツ・ミュージックなんかを取り入れながら決してカラっと晴れることなく、泥まみれで地を這っているような、人間として思い悩んでいる様がそのまま伝わってくる。いまでも彼らは躁的に活動しているが、個人的にはやっぱり今作が特別だし、「カーニバルの灯」が一番好きな曲、ということになるのだろうな、と思う。決して楽しくも、明るくもないし、ある種の聴きづらさすらある作品ではあるものの、強烈に心に残るアルバムは確かなので、一度はぜひ聴いてみてもらいたい、と思う。丸山さんのドラムがしっかり楽しめるのも、案外と今作なのではないだろうかと思う。

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日のCDその2。

平行世界

平行世界

 

zabadak『平行世界』

日本のユニットによる22thアルバム。2009年発表。吉良さんの逝去から2年、ということで、zabadakに関しては語りきれないものがあるのだが、思い出深いアルバムの一つとして取り上げてみる。とはいえ、この頃のzabadakでは断然『SIGNAL』が名盤であり、あとは名曲こそ多いもののアルバムとしてはどうか、という作品が多く(というか、zabadak全体の傾向がそのように思う)、今作で言うとアニメソングとしてヒットした「旅の途中」のセルフカバーを含みつつ(とはいえこれも清浦夏美版の方が名曲度が高かった気がする)、全体的には地味、といったところだろう。前作(企画盤)『宇宙のラジヲ』で聴かれた異常なまでのアコースティックな音の良さもロック・サウンドとの相性がいまいちであるし、最初の一作としてはどこまでも不向きだ。とはいえ、地味であるもののアルバムのトータルとしてのまとまりや、アベレージとしてのzabadakの、普段の良さ、というのはきちんと出ている。シンプルに、吉良知彦期のzabadakを堪能できるのは意外とこのアルバムかもしれない。後に相棒となる鬼怒無月を初めて迎えたオープナー「樹海 -umi-」に始まり、吉良知彦が牽引していたzabadak独特の、黄昏れたファンタジー/SF観、とでも言うべきものがよく現れた楽曲が並ぶ(そもそも表題曲からして、という話だ)。他にもたとえば、この時期によく見られた『サビメロをイントロの泣きのギターで』式名曲(『Wonderful Life』や『彗星はいつも一人』などの)である「ラジオ・ステーション」は裏「宇宙のラジヲ」とも言うべき隠れ名曲であり、あまり話題にならないが歌詞といいメロディといい、『泣けるポップ・ロック』の手本みたいな楽曲だと思う。Mike Oldfieldそのものな大曲「Pulse」などもあり、聴き応えは十分。

大名盤、というわけではないがとても好きな、きっといつまでも思い出してアルバム単位で聴く作品、だと思う。いつかこれを読んでいる貴方の耳にも、そうなればいいなと思ったりも、する。お薦め。

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