虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

はてブロズ・ギャンビット

題『自立ってなんだろう?』ということで書いてみる。大人になること、親と対等であること、いろいろ定義はあるだろうが、人間一人で生きられるものでもないのだし、あまり独り立ちを強調することはないのではないだろうか、と思ったりはする。

 

元のボードゲーム会に顔を出してみる。初めてだったのでメンツや空気感に不安があったのだが、いざ入ってみればとにかく楽しい時間だった。ファミリーからオタクまで、軽いものも重いものもそれぞれ常に卓が立って遊びっぱなしの一日。遊んだゲームはどれも面白かったが、特に『ゴッズ・ギャンビット』は自分でも購入しようと決意。やはりカナイセイジ氏のゲームは好きだ。

Steamで販売されている『Dragon Spear』というゲームにハマる。もともとは韓国製のスマホゲー、らしいのだが、操作性中毒性ともにいい感じだ。『Dragon's Crown』を萌え要素強めに、シンプルにしたようなベルトスクロール・アクションだが、とにかく動かしていて楽しい。爽快感がありつつも、雑に動かしているとやられる、という難易度も絶妙。DLCでしか開放できないキャラ、といった要素もあるが、まずは基本セットだけでも購入してプレイしてみたら良いのではないだろうか。おすすめだ。

日のCD。

炎寂

炎寂

 

日本のバンドによる1stアルバム。2006年発表。本人たち曰く『ジャズ・トランス・バンド』だそうだが、どちらかというとプログレッシヴ・ロックに近い。ギター/キーボード/ドラムという編成のインスト、ということでFLAT122あたりを思い出すものの、もっとテンション一発というか、わかりやすい展開とドラマが特徴であり、勢いで聴ける良さがある。確かにトランシーではあるし、ジャジーでもあるのだが、仕上がったものはどこまでもオリジナルでユニーク。おすすめ。個人的にも、昔何かの雑誌で見かけて気になっていたので、聴けて良かったと思う次第だ。

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探してみたが、次作の映像しか見当たらなかった。

はてブロ・オン・ザ・プラネット

震、というか停電の影響をもろに受けていたのだが我が家も無事に復旧。「デッドマンズQ」(単行本『死刑執行中脱獄進行中』収録)のあとがきで荒木飛呂彦が「好きな音楽も自由に聴けない彼を描いていたら涙が出てきました」というようなことを書いていた気がするのだが、音楽が聴けないのがこんなに堪えるとは思わなかった。No Music, No Lifeは病気だと思うが、禁断症状みたいなものか。

ASE、というサービスにサークル通販用のショップ『Survival Sickness Shop』をオープンした。BOOTHと違い会員登録がいらないので気軽に買い物をしてみてほしい。一部ダウンロード商品がまだだが、商品も一通り揃っている。

chrorograph.thebase.in

クヨムにて、連載再開前の手慣らしにと短い小説を書いた。『BASTARD!』と『百合男子』の悪魔合体、を目指して見事に合体事故を起こしたような一作。しょうもない話だが、意外と気に入っているので一読いただければ、笑っていただければ幸いだ。

kakuyomu.jp

ノムさん

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日のアルバム。

FooL on CooL generation

FooL on CooL generation

 

the pillows『FooL on CooL generation』

日本のバンドによる企画盤。2018年発表。新曲を最初と最後に配し、『フリクリ』新作のためにリ・レコーディングされた楽曲が並んでいるが、これがとてもいい。ベスト・アルバム『Fool on the planet』以降のキング所属時代の楽曲を中心としており、当時の試行錯誤によって残されたマテリアルの確かさはそのままに、近年のライブ・パフォーマンスはおそらくこうであろう、というような熱量が込められている。個人的にもとても思い入れのある時期であり、あまり冷静に語れないのだが、いまピロウズというバンドに触れるのなら今作はとっておき、ではないだろうか。最近は離れていた、という人も今作をきっかけに近作を聴いてみれば良いと思うし(自分もその一人、だったりするのだが)、初めて知るにも全然良い。最新作がベストである、というのはロック・バンドとしてのコンディションが限りなく最高であるということを感じさせる。とてもクールで熱い、ロックンロール・アルバム。

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日のCD。

OpaqueAge

OpaqueAge

 

the hatch『OpaqueAge』

日本のバンドによる1stアルバム。2018年発表。とにかくもうとんでもない。札幌が、とか、ハードコアが、とかそういう話ではない。文句なしにモニュメンタルな、規格外な作品だ。以前からライブを観るたびに『人類を半歩はみ出したような』格好良さのバンドだと思っていたが、本格的なスタジオ録音に向けての準備とともに、音楽性が変わっていっていると聞いて気になっていた。そして本作。本人達も発言しているように、ハードコアの精神性を失わないままにブラック・ミュージックを消化した、最新型のパンク・ロック。安易な、或いは全時代的なミクスチャーとは根本が違っているというのが、一聴すればたちまちにわかるだろう。どこまでも濁って中が見えない沼を覗きこまされるような、ディープな一枚だ。P-ファンクに洗脳されたキャプテン・ビーフハートを若者がアートとして現代に蘇らせたような、だとか無茶苦茶な喩えばかりが浮かぶ。ポップ・ミュージックに問題提起をする、ようなアルバムだと思うし、そうなってほしい。文句なしに今年一番の問題作、だろう。

(閲覧注意)

www.youtube.com店舗によっては特典として付属するライブ音源が、また特別に格好良いので、入手できるならばそちらもお薦め。 

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日のCDその2。

KNUT

KNUT

 

山田祐伸+横山祐太+塚野洋平『knut』

日本のアーティストによるアルバム。2018年発表。chikyunokikiのヴォーカルである山田祐伸つながりで聴いたのだが、本当にすばらしい作品だった。アコースティック・ギターを中心に、シンセサイザーを操りながら歌う山田祐伸の言葉や歌は穏やかだが優しくなく、札幌ハードコア由来の鋭さを感じさせる(Discharming manに少し似ている)し、横山祐太のトランペットはあくまで静謐で柔らかい空気を損なうことなく世界を広げているし、塚野洋平のエレクトリック・ギターもまた、強い主張をせずに存在感を感じさせ、歌に寄り添うように流れていく。ネオ・ソウル的なリズム感に、ジャジーでフォーキーな歌心、と、どこかカクバリズム的(というかキセルぽい)部分もあるものの、間違いなく札幌からしか現れない、この三人でしか表現できないオリジナルなものだ。一見ただおしゃれなようでいて、伝えることにまっすぐな、シンプルで無駄がなく、しかし無限の広がりを感じさせる名盤。お薦め。

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大切に思えるものがはてブロならいいよね

題『私のふるさと』ということで書いてみる。北海道は音更町。十勝の真ん中だ。だいたい帯広との境目なので、面倒から帯広だと言い切ってしまったりもする。豚丼やらバターサンドやらが名物ということになっているが、食べ物は基本的になにを食べても美味しい、と思う。この、『なにを食べても美味い』というのがうまく伝わらないのが地元が損をしているところだ。正直なところ、観光地としてはそれぐらいしか取り柄がないので、もっとうまくやればいいのに、とずっと思っている。

 

稿作業中。縁あって良いオーディオ・ルームを使わせてもらっているので、BGMの響きがとんでもなくリッチだ。ちょうどフィッシュマンズのニューミックスが配信されたり、昔からいい音だと思って聴いていたzabadakの『宇宙のラジヲ』を聴き返したりして、楽しい時間を過ごしている。原稿は遅々として進まないが。

村萬月『ニードルス』を読む。『ロック・オブ・モーゼス』とは表裏一体、といった感じの、どちらかといえば初期に近いグズグズのロック青春物語。僕がロックや音楽の小説に求めるものはだいたい花村萬月が形にしてくれているな、ということを再確認。世の中の、ロックをテーマとした創作物、に納得がいかないというひとは一度読んでみて欲しい。面白かった。

ニメ『邪神ちゃんドロップキック』にハマる。『ギャラクシーエンジェル』/『錬金三級まじかる・ぽか〜ん』/『ミルキィホームズ』といったあたりの、美少女不条理ギャグ・アニメの系譜、といって伝わるだろうか。目の描き方から作風に至るまで、どこかしら90年代の香りが漂うのがいい。

ジロックのインターネット配信を観る。Johnny Marr、Fishbone、浅井健一The Birthdayといった辺りがとても良かった。特にベンジーはいまが最盛期なのではないかと思うぐらいで、バンドも過去最強というか、本当に、BJC以来最高の演奏を観たように思う。The Birthdayも相変わらず名曲というよりはグルーヴとアンサンブルで聴かせるシブめの演奏といった感じだったが、バンドのマジックが最高潮に達していると思しき状態で、やはり過去最強と言わざるを得ない演奏。一度、2ndの頃に観た際はそうでもないか、と思っていたのだが、もう一度生で観たいと思わされた。

日のCD。

THE OTHER もうあきてしまった [名盤1000円]

THE OTHER もうあきてしまった [名盤1000円]

 

長谷川きよし『THE OTHER もうあきてしまった』

日本のシンガーソングライターによる編集盤。2015年発表。長谷川きよしシャンソンやサンバなど、ワールド・ミュージック的なノリをあくまでフォーキーなスタイルで聴かせるSSW、という感じのアーティストであり、どちらかというとギターの弾き語りに凄みがあるのだが、今作は敢えて『和ジャズ』、『レア・グルーヴ』的な視点から彼の録音を洗いなおす、ユニークな編集盤だ。凄腕のジャズメンによるドス黒いグルーヴの曲あり、ティンパンアレイ関係の参加した軽快なシティ・ポップあり。和製電化トラッドとでも言うべき大曲「古(いにしえ)坂」や、荒井時代のユーミンの作詞がキレている「ダンサー」、同じくユーミンのカバーひこうき雲」など、長谷川きよしというパーソナルに馴染みがなくとも取っ付きのやすい楽曲が並んでいる、ように思う。ぜひ弾き語り音源(近年は小西康陽プロデュースのライブ・アルバムなんていうのもあるし)を聴いてみてもらいたい、とは思うのだが、こういった音源から入ってみるのも良いのではないかと思う。まさに『ジ・アザー・サイド・オブ』な良編集盤。

 

 日のアルバム。

Mats/Morgan Band『Thanks For Flying With Us』

スウェーデンのバンドによるアルバム。2005年発表。ずっと気になっていたのだが、bandcampにて『All Albums Bundle』という、デジタル・ボックス・セットとでも言うような(ほぼ)全アルバム収録のアルバムが安かったためまとめて購入した。中でも一応代表作ということになるのだろうか、よく見かける作品だが、とんでもない内容だ。基本的にはReturn To Foreverを基調としたバカテク・ジャズ・ロックなのだが、Frank Zappa的なユーモアやらカンタベリー的なねじれ歌心やらが混ざりこんだ結果、異様に人懐こい異形の音楽、という他に類を見ない作品となっている。Meshuggahと仲が良いというのも納得のガクガク来るリズム感に、コナミ矩形波倶楽部で聴けるような、ファミコンのシューティング・ゲーム・サウンドをベコベコに折り曲げて現代アートに仕立てあげたみたいな(?)アンサンブルが耳から脳へと伝達し揺さぶりをかけてくる。あくまで軸足にジャズがあって耳の馴染みこそ良いものの、だからこそ耳から離れなくなる強烈な中毒性がある。危険物ではあるが、我こそはという人は是非聴いてみてほしい。とにかく格好良いのは間違いない。

 

ちなみにこれが最初に書いたAll Albums Bundle。187曲入りで59ドル(6500円前後)、という破格ぶりだ。どうせすべて集めることになるので、試聴して気になったら一気に買うのをお薦めする。

Hatebloable Heart

週のお題「わたしのモチベーションを上げるもの」ということで書いてみる。CDのワゴンセールだとか、投げ売りの類。これ以上テンションの上がるものもないし、(量さえあれば)いつまでだって眺めていられるし、買ったCDを取り込んでいる時の幸福感だけで生きるモチベーションになる。CD文化は死んだのなんだの言われるが、僕にとっては立派な宝だ。これで、近所に品揃えの良い新品のCDショップがあればなお良いのだが。

画『ニキータ』を観る。名画は普通に面白いな、と天邪鬼な感想を抱きつつも、ジャン・レノが出てくるシーンではついついエキサイトし、笑ってしまった。その部分だけがタランティーノ映画みたいだった。『レオン』も気になるが、せっかくなのでもっとB級な映画を観たい、気もする。

DLsite.comでセールをやっており、クーポンももらったため、エロゲを買う。いまも別に裕福なわけではないが、ダウンロード販売が中心になったことと、発売から時間が経っているということでだいぶ安価に買えるものが増えており、若い頃にプレイしてみたかったが買えなかった作品などを買い直す。当時はあまりベタな作品に触れてこなかったものだが、一周していまはそういった空気感が心地よかったりもする。加齢。

日のCD。 

filmstock

filmstock

 

baker『filmstock』

日本のアーティストによるアルバム。2009年発表。所謂『VOCAROCK』のはしりというか、バンド・サウンドによるボーカロイド音楽をかなり初期に発表していた作家ということで、後に他の作家たちによって確立する『ボカロっぽさ』はなく、単純にポストロック的なギターロック(残響レコード風)をやっている。古川本舗が手がけたジャケットが指し示す通り、キャラクターとしてのボカロ、に頼らない作風でもあることだし、あまりそういった文化に馴染みのない人にも聴いてみてもらいたい作品だ。個人的にも、「サウンド」は初めて好きになったボカロ曲であり、いまでもおそらく二番目に好きな曲だということもあり、お薦めしたい。名盤。

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MVがDVD画質で収録されているのもありがたい。

 

日のCDその2。

Mr Wizard

Mr Wizard

 

R.L.Burnside『Mr.Wizard』

アメリカのブルースマンによるアルバム。1997年発表。Fat Possumというレーベルを象徴するような、シンプルで爆発力のあるガレージ/ブロークン/ダメージドなブルース。オリジナル・ブルースの世代(1920年代生まれ)でありながら、The Jon Spencer Blues Explosion(以下JSBX)と共演し、90年代オルタナ・ジャンクの流れと共鳴するという、端的に言って化け物というか、ブルースマン特有の名状し難さがある(アルバム・タイトルがまさに、だ)。今作もまた、JSBXや白人ギタリストなどとの共演でもって90年代にアップデートされた最新(当時)のブルース・ロックをやっている。JSBXファンは勿論、『ガツン、とくるロック』としてガレージロックやパンク、サザンロック、ストーナーといったメタルぎりぎりのジャンル愛好家にもお薦めできる、シンプルで懐の広いサウンドだ。オリジナル・ブルース・ファンにしか聴かれていないというのも勿体無いので、もっと広く聴かれてほしい。とにかく、かっこいい。

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はてブロうたったうた

週のお題「ゲームの思い出」ということで書いてみる。いままさに最新作として騒がれている『オクトパス・トラベラー』が僕の子供時代を狙い撃ちしたビジュアルで心の底からプレイしてみたい。ビジュアル・デザインの面でよく比較されるFF6ロマサガシリーズ、要はエニックスと一緒になる前のスクウェア、辺りは本当に思い入れが強く、ゲーマーとしての僕の根幹にあるものだ。作品としては賛否あるようだが、それでも、気になる。

ンタルで映画『泥棒役者』を観る。どれだけ居るかわからない『舞台演劇風映画』ファンのための映画、という感じだった(実際後に舞台化されていたようだし)。絵本を中心に回る、寓話そのものの物語には思わず目頭が熱くなったし、シンプルに、家族で楽しめる映画だと思う。主演の丸ちゃん(from 関ジャニ∞)を始め、役者陣の熱演も光る良作だった。映画は久しぶりだったが、また熱心に観たくなってきたので、Amazonプライム・ビデオあたりで何か探してみようかと思う。

花亭本店4Fはまなしホールにて『ジュリア・スー ピアノリサイタル キーボード・ミュージックの地平〜バッハから武満へ〜』を観る。前半のセットが武満、メシアン、ベリオ、という時点で嫌な予感(嘘。期待)していたのだが、案の定、ずっとホラー映画の効果音を聴いているかのような釈然としない現代音楽の時間。中ではベリオ『6つのアンコール』がとても良かった。休憩を挟んで後半はバッハとベートーヴェンをシンプルかつ力強く弾いており、とても格好良かった。とはいえ、個人的にはやはり前半の現代音楽セットが良かった。しかし武満徹の音楽とはいつまで経っても仲良くなれるような気がしない。難しい。

日のCD。 

24時

24時

 

サニーデイ・サービス『24時』

日本のバンドによる5thアルバム。1998年発表。丸山さんに、サニーデイについてなにか一枚で、となると僕はこれを選ぶ。もちろん、彼らには名盤がたくさんあるしどれも面白いのだが、個人的な思い入れと、いややはりいま聴き返してもとんでもない作品だ、という思いがあるためだ。ともすれば頭でっかちなバンドに見えがちだが、根の部分はどこまでも泥臭く、あくまでもロックンロールのバンドだということが一番よく見えるアルバム、だと思う。アメリカン・ルーツ・ミュージックなんかを取り入れながら決してカラっと晴れることなく、泥まみれで地を這っているような、人間として思い悩んでいる様がそのまま伝わってくる。いまでも彼らは躁的に活動しているが、個人的にはやっぱり今作が特別だし、「カーニバルの灯」が一番好きな曲、ということになるのだろうな、と思う。決して楽しくも、明るくもないし、ある種の聴きづらさすらある作品ではあるものの、強烈に心に残るアルバムは確かなので、一度はぜひ聴いてみてもらいたい、と思う。丸山さんのドラムがしっかり楽しめるのも、案外と今作なのではないだろうかと思う。

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日のCDその2。

平行世界

平行世界

 

zabadak『平行世界』

日本のユニットによる22thアルバム。2009年発表。吉良さんの逝去から2年、ということで、zabadakに関しては語りきれないものがあるのだが、思い出深いアルバムの一つとして取り上げてみる。とはいえ、この頃のzabadakでは断然『SIGNAL』が名盤であり、あとは名曲こそ多いもののアルバムとしてはどうか、という作品が多く(というか、zabadak全体の傾向がそのように思う)、今作で言うとアニメソングとしてヒットした「旅の途中」のセルフカバーを含みつつ(とはいえこれも清浦夏美版の方が名曲度が高かった気がする)、全体的には地味、といったところだろう。前作(企画盤)『宇宙のラジヲ』で聴かれた異常なまでのアコースティックな音の良さもロック・サウンドとの相性がいまいちであるし、最初の一作としてはどこまでも不向きだ。とはいえ、地味であるもののアルバムのトータルとしてのまとまりや、アベレージとしてのzabadakの、普段の良さ、というのはきちんと出ている。シンプルに、吉良知彦期のzabadakを堪能できるのは意外とこのアルバムかもしれない。後に相棒となる鬼怒無月を初めて迎えたオープナー「樹海 -umi-」に始まり、吉良知彦が牽引していたzabadak独特の、黄昏れたファンタジー/SF観、とでも言うべきものがよく現れた楽曲が並ぶ(そもそも表題曲からして、という話だ)。他にもたとえば、この時期によく見られた『サビメロをイントロの泣きのギターで』式名曲(『Wonderful Life』や『彗星はいつも一人』などの)である「ラジオ・ステーション」は裏「宇宙のラジヲ」とも言うべき隠れ名曲であり、あまり話題にならないが歌詞といいメロディといい、『泣けるポップ・ロック』の手本みたいな楽曲だと思う。Mike Oldfieldそのものな大曲「Pulse」などもあり、聴き応えは十分。

大名盤、というわけではないがとても好きな、きっといつまでも思い出してアルバム単位で聴く作品、だと思う。いつかこれを読んでいる貴方の耳にも、そうなればいいなと思ったりも、する。お薦め。

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はてブロ・リビルド

刊通販開始。

survivalsickness.booth.pm

『VA-11 Hall-A』と南米の文学、音楽に触れたZINEと、新作書きおろし百合小説。どちらも内容には自信があるので、ただただ手に取ってもらえるのを祈るのみ。よろしくお願いします。

週のお題「星に願いを」ということだが、うちの地元の七夕は8月だ。

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HipsterにてTriniteのライブを観る。身も蓋もなく、また誤解を恐れないように言うと、ピアノ/ヴァイオリン/クラリネットバスクラリネット・サックス等)/パーカッション、という編成による暗黒チェンバー・ロック、なのだが、そういったサウンドで語られるのはもっとHolyな、後期コルトレーン・ミュージックに似た祈り。キリスト教的なモチーフを使いつつも、祈るべき対象がもっと広く、日本に於いて誠実にスピリチュアル・ジャズの精神性を継ごうとするのならばこういった表現になるのだろうな、というもの。プログレ/ジャズ/ロック/クラシック、といった要素がマーブル状に溶け合い、ひとつの波動として伝わってくるサウンドは本当に圧巻だった。ライブ参戦が趣味、ということもあって凄い、と思わされる演奏に出会うことはそれなりにあるのだが(比較的心が動きやすい、というのはあるものの)、ここまでの『誠実な祈り』に出会ったのは初めてかもしれない。あまり周知されていないのが残念だが、調べてみると案外と近くに来ていることもあると思うので、ぜひ一度観てみていただきたい。安くない感動を、保証する。

日のCD。

PRAYER -SABATO SANTO-

PRAYER -SABATO SANTO-

 

trinite『prayer -sabato santo-』

日本のバンドによるライブアルバム。2018年発表。 というわけで今作は1st『prayer』を完全再現したライブに、新曲である「sabato santo」を加えたもの。1stは最も作曲者や奏者の意図が掴みにくいというか、最も深い部分での表現が現れているからこそ、難しいアルバム、だと思う。広義の室内楽、だと思うのだが、もっとプログレッシヴ・ロックやジャズを感じさせ、ひとつのジャンル、としての聴きどころに留まることなくリスナーの意識を引っ張っていく。おそらく、最初に聴くのであれば2nd『月の歴史』がメロディアスで聴きやすいとは思うのだが、しかし、タイトルにもあるとおり、強く『祈り』の芯を感じさせるアルバムとしていつかは聴いてみていただきたい。こんな、凄い、の最上級といったような作品はそうそうないのだから。

 

日のCDその2。

ストライク・リビルド【ダウナー】

ストライク・リビルド【ダウナー】

 

THE JETZEJOHNSON『ストライク・リビルド【ダウナー】』

日本のバンドによる企画盤。2018年発表。現在の編成(サポート含)による過去曲のリメイク、【ダウナー】編、ということで、あまり明るくない楽曲が中心に収められている。とはいうものの静かなわけでもなく、以前出た【アッパー】編が底抜けに明るいかというとそうでもなく、まあバンド側の分類上の問題なのだろう。とはいえ、選曲はあくまでコンセプチュアルであり盤のまとまりもいいし、フィジカルとデジタルが交差した現在のバンドによる演奏が過去最強なのは間違いないので、文句なしに名盤、ということになる。過去楽曲でベストを組むのであればこう、という選曲であるし、いい意味でジャパニメーション・カルチャーとの親和性も高い世界観は、鶴田謙二によるアートワークと併せてそういった層にもアピールするのではないかと思う。日本のドメスティックなロック、として世界に誇れるものだと思うので、広く聴かれて欲しい。お薦めだ。

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栄光のはて・ブロ

ずは北海道COMITIA8、並びに札幌でお会いできた人々に感謝の念を。ありがとうございました。近い内に通販の案内も始められると思うので、会場に行けなかったという人も待っていてほしい。よろしくお願いします。

週のお題『チョコミント』ということで書いてみる。純粋なミント味はずっと苦手だったのだが、なぜかチョコミントが好きになり、気づいたらモヒートを飲んだりするようになっていた。不思議なものだ。

楽CDが大量に届く。レンタルと購入併せて50枚以上。ひたすらリッピング地獄のち聴取地獄。

チ旅行記。というわけで上記の通り、一泊二日で『北海道COMITIA 8』に参加してきた時のことを。

16日。Miles Davis『Bitches Brew』をリピートしながらバスで札幌へ。以前は『In a Silent Way』一択だったのだが、久しぶりに聴くと凄まじく良い(歴史的名盤にこんなことを言うのもなんだが)。耳が追いついた、ということだろうか。宿にチェックインし、友人K氏とレコード・ショップで合流する。自分の買い物もそこそこに、ひたすら友人へのリコメンドに勤しむ。東京スカパラダイスオーケストラ『GUNSLINGERS』(宇宙一カッコいいロック・アルバム)や90年代初頭のメタルなどを買わせ、自分はPatti Smithなど主にパンクのCDを買う。そういった辺りでいい時間になったので飲みに行く。K氏が連れて行ってくれた『九州博多めし どげんこげん』という店は2980円(税別)で90分食べ飲み放題という安さながら何を食べても美味く、高菜のパスタや辛子蓮根、オニオンスライス(!)まで、とにかく感動しっぱなしであった。飲みの席ということで創作や人生の話なんかにも花が咲きつつ、あっという間の90分だった。その後はK氏の知り合いがやっているというバーに顔を出したりしつつ、解散。宿へ。

17日。眠れず。仕方ないので葵せきなゲーマーズ!』を読む。6巻のラストに震え、悶える。コーヒーとトーストを入れ、昼食にサンドイッチを買い、徹夜のままイベントへ。足を止めてくださった方もそこそこいたし、このイベントでしか会えない人に挨拶することもできた。あらためてありがとうございます。イベント後は友人M氏とその友人Y氏と三人でお茶。オーケンの話を中心に、音楽や特撮(SFXの方)などの話をする。森博嗣の話ができたのが嬉しかった。夕方に別れ、札幌駅へ。この頃には徹夜でハイになっていたのだろうか、食欲が回復したので喫茶コーナーで『横濱文明開化カレー』なるものを食すものの、まったく納得の行かない味。その後バスに乗って帯広駅まで帰ったが、結局セイコーマートでもう一度カツカレーを買って帰宅。就寝。

迂闊にも徹夜してしまったせいで弾丸のような旅行になってしまったが、やはりイベントの空気は良いものだと再確認。反省点は次回までに活かし、よりよく活動していきたいと思う。繰り返しになるが、感謝の念を。ありがとうございました。

日のCD。

More Circles

More Circles

 

Circles『More Circles』

ドイツのデュオ・ユニットによる2枚目のアルバム。1984年発表。気づけば日本のアルバムばかり紹介している当ブログだが、たまには変わったものも。クラウトロックとジャーマン・ニューウェーヴの境目を自由自在に操る、どこまでも『エクスペリメンタル』という単語の似合うアルバムだ。フリッパートロニクス的なギターと、70年代以前の野蛮さを残した電子音響、チープなリズムボックス、ミュージック・コンクレートなどが理性的に絡まり合い、実験的でありながらどこかロマンティックな響きが耳に愉しい。エレクトロニカ通過後の耳で聴いてもまったく有効な作品であることだし、電子音を愛する向きに広く聴かれて欲しいアーティストだ。お薦め。