虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

不明のはてブロ

週のお題「雨の日の過ごし方」ということで書いてみる。やはり外出する気が失せるため、素直に部屋で小説など読みながら音楽を聴いているのだが、かといって晴れの日にはきちんと外出しているかというとそういうわけでもなく。あまり引きこもっていてもいいことがないので出かける習慣をつけたいものではあるが。

の続き。6/3にHipsterで行われた弾き語り系のライブに行ってきた。chikyunokiki山田祐伸による企画ということで楽しみにしていたのだが、裏切られない、すばらしい面子によるすばらしいライブだった。以下簡単にレポートを。

一番手は企画主の山田祐伸。「select selection」〜「Life Game」というchikyunokikiの2ndに収録されている楽曲から始まったのだが、開演前の空気をがらっと変える演奏。コンパクトなシンセとアコースティック・ギターをエフェクタで操作する、乱暴かつシンプルに表現すると『札幌ハードコアを注入されたキセル』といった感じ。単純にジャズの人だから巧い、だとかそういったしょうもない話ではなく、自らのテクニックとエモーショナルをたった1人でどう見せるか、ということに対して求道的な印象を受けた。同じくchikyunokikiから1stの隠れ名曲「海のような草原に魚は泳ぐか」 、大名曲「ひきかえる」で終了。1st収録曲はなんだか泣けてしまう。ソロでの音源にも期待がかかる。

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二番手のシラサキトオル糠平(ぬかびら、地名)のアーティストということで、どういう音楽が飛び出してくるか気になっていたのだが、いい意味でらしいというか、大自然のスケールの大きさを若者の視点で切り取っていく楽曲が痛快だった。ちょっとzabadak吉良知彦の弾き語りであったり、90年代のMTVアンプラグドといったものを思い出しつつも、やはり北海道『らしさ』のようなものが現れてくるのが面白い。

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三番手はsenoo ricky。斎藤和義の『12月』が目の前で再現されているような、と言って伝わるだろうか、シンプルな名曲をシンプルに届ける、最もスタンダードながら難しいスタイル。from京都、と言われると何となく成る程と頷いてしまうような歌詞世界が独特。「暇珈琲」、「猥談」といった楽曲に感銘を受ける。徳永英明「夢を信じて」カヴァではその場でRyo Hamamotoを迎えてのスペシャル・セッションに発展したりもして楽しかった。

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ラストのRyo Hamamoto。いかにも東京のバンドマンといった風だな、と思っていたらぶっ飛ばされた。その変人ぶりと世界観を表現するのは難しいが、南国焼けした成山剛(sleepy.ab)か、楽曲がバグったまま進行する福山雅治か。エレキ弾き語り、というスタイルもややユニークながら、『変でいい曲』を淡々と演奏するスタイルにとにかく圧倒される。「カリブに配属」や「中古のベンツ」といったユーモラスな曲名からは想像もつかない名曲が目の前で展開していく上、目が笑っていないのでちょっと怖いぐらいだった。

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いい感じに盛り上がり、客側もアンコールを引っ張りに引っ張って終演。MCの「時間が許す限り居座っていただければ」という下りを真に受けて演者と話しながら粘ってしまい、帰ったら23時を回っていた。とにかくいいライブだったのだが、単純に知名度の足りなさから集客に繋がっていなかったのが勿体無い。次回、そのままという風にはいかないだろうが、こういった面子が揃ったらもっともっと大入りでいいと思うし、実際にそれだけの価値がある興行だった、と思う。地元のシーンがもっと盛り上がってくれることを祈るばかりだ。

日のCD。

ソングライン

ソングライン

 

羅針盤『ソングライン』

日本のバンドによる3rdアルバム。2000年発表。senoo rickyはドラマーとして山本精一のサポートもしているということで、、終演後にちらっと話題になった名盤を。『はちみつぱいみたいなうたもの』としてスタートしたバンドだが、この辺りになるとサッドコアやスロウコアに近い。山本精一ならでは、といったシューゲイズしつつも抑制されたギターに淡々とした歌唱で綴られる諦念と、ピアノを含むリズム隊による『気の利いた』という言葉がとにかく似合う演奏はあらためて今聴いてもスタンダードであり、あまり言うことが見当たらない。羅針盤は名盤しかないバンドだが、第一期のラスト作として位置付けようとしていたこともあり、やりきった、それでいてバランスの良さでもまずは今作を聴いてみて欲しい。「ひとりのくに」が泣ける。

 

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羅針盤「ソングライン」

日のCDその2。 

Into a new world

Into a new world

 

DIMENSION『Into a new world』

日本のバンドによる15枚目のアルバム。2001年発表。これは今聴くべき隠れた名盤なのではないか、と思う。フュージョン・ブームも一段落した2001年、リズム隊の不在をデトロイト・テクノ的な浮遊感で解決することにより、クラブ・ジャズ的に今聴いてもまったくダサくないどころか、Robert Glasper以後のスペーシーなフュージョン・リヴァイヴァルが持て囃される風潮にも合致。Light-Mellow的な再評価の隣人としても聴けるし、意外と風化せず徒花にならないであろうユニークな一枚だ。

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はてブロで煙草を吸わないで

週のお題「修学旅行の思い出」ということで書いてみる。青森に行ったときの、弘前城の満開の桜が忘れられない。青函トンネルの、青森に入った瞬間の、空気が変わったような感じ、も懐かしい。その後に東京や京都など、大きな街にばかり行くようになってしまったが、またいつか行きたいものだ。

題「お部屋自慢」ということで書いてみる。これまでは来客を圧倒するような棚の本が鎮座していたのだが、だいぶ減らせた。ヴィジュアル的にはだいぶ物足りなくなってしまったが、これからおしゃれに模様替えする楽しみがあると思えば部屋の片付けも捗ろうというものだ。

のような時間。札幌にて、『Dream Violence Vol.36』と『NAVYO presents NOCON vol.13 We love b.t.b! We love Hideki Yoshimura!』を観る。bloodthirsty butchersを慕う人たちを中心とした、パンクのお祭りみたいなものだ。ライブについてのレポートはまたきちんと記事にするが(ZINEなどで発表したい)、簡単に旅のメモ書きなどを残しておく。

5/26。昼から高速バスで札幌へ。久しぶりに観られる、会えるという期待のため、スマートフォンでずっとDischarming manを聴いていた。宿である『ゲストハウスやすべえ』の近所のパン屋『ペンギン』で昼食を買い、チェックインし、ロビーの喫茶で一息つく。『ペンギン』のパンはそこそこ安価で美味しく、ザウアークラウトを挟んだホットドッグやクリームの甘さも上品なフルーツサンドなどに感銘を受けた。まだ時間に余裕があるため、ライブ前に町中で買い物をする。イエローサブマリン札幌RPG館へ。久しぶりに入ったが、ちょうどボードゲーム熱が高まっていたため、宝の山だ。迷いに迷ったが『インフェルノ』(ライナー・クニツィア)のみ購入。まだ時間があったため4丁目のツタヤへ向かい、あがた森魚カルメン・マキを借りる。郵送で返却できるのがありがたい。

『Dream Violence Vol.36』はDischarming man企画によるライブ・イベント。会場である札幌161倉庫の雰囲気がありすぎる古さに若干不安になるが、メンツも良いしピースフルな空気がオーガナイズされた最高の空間だった。物販ではTG.AtlasのTシャツや松石ゲル(PANICSMILE)関連音源、前に観た際よりあまりにもカッコ良く進化していたDON KARNAGEの1stアルバムなどを購入。

終電ぎりぎりで宿へ帰り、セブンイレブンで買ったスープを食し、さっとシャワーを浴びて寝た。

5/27。『ペンギン』は10時開店ということで朝食には遅く、仕方ないのでセブンイレブンで買いさっと済ます。家族や友人への土産物を探しに町中へ。土産物屋もだが、イエローサブマリンボードゲームなど買って渡すのもいいかもしれないな、と思い再訪。『HANABI』や『シェフィ』などの名作と言われるものを購入。その後、『みよしの』でぎょうざカレーを食し(B級グルメ的ではあるが、なんだか食べたくなる)、友人K氏と合流。ドトールで、創作論から世間話まで積もる話に花を咲かせた。さらに友人M氏とも合流し、たまたまやっていたタワレコカフェのBUCK-TICKコラボへ。M氏と2人でBUCK-TICKの魅力についてK氏にプレゼンしたり、音楽の話で盛り上がる。

K氏と別れ、M氏と『NOCON vol.13』へ。通称『吉村会』。bloodthirsty butchers故・吉村秀樹を偲ぶ会、というかそれをきっかけに集まってワイワイとライブをやる集まり、という感じ。パンクのイベントでありつつもあくまでハッピーでピースフルなのは吉村さんの人柄なのか、周りの人柄なのか(こっちのような気はする)。M氏のバンド仲間を紹介してもらったり、物販にいる演者と話し込んだりしつつ(いい人ばかりだった)、ライブ本編もとにかく素晴らしいというか、とんでもないバンドがずっと続いて唖然としっぱなしだった。札幌の、周辺のシーンはこんなに面白いのか、ということに気づくのは少し遅かった気がするが、気が付かないよりは断然良い。終演後はM氏と別れ、宿へ。道中セブンイレブンでおにぎりとパンを買い、夕食と翌日の朝食とする。到着即就寝。

5/28。朝食を摂るとあとは特にすることもないので、チェックアウト後はbloodthirsty butchersを聴きながら早めにバスターミナルへ。喫茶コーナーでアイスコーヒーを飲み、バス停へ。高速バスで夕方には地元・帯広に到着。

まずは現地でお世話になった方々に感謝の念を。繰り返しになるが、とにかく夢のような時間だった。あらためてbloodthirsty butchers吉村秀樹という存在の大きさ、現在の札幌ハードコア・シーンの活況を肌で感じられた。

日のCD。

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DON KARNAGE『reminiscence』

日本のバンドによる1stフル・アルバム。札幌ハードコア、の最新型ということで紹介してみる。竹林現働プロデュース、ということもあり、どこかCOWPERSやzArAmeといったバンドからの影響も伺わせつつ、もっとシンプルかつ性急なビートでかっ飛ばす。かと思えばテンポを落としてスローな表現でもその殺傷力は衰えることなく、どこまでもザクザクと、しかし決してスポーティに陥ることが無いままに聴き手を挑発し続ける様が正しく札幌ハードコア。最初にライブで観た時と比べて特に遅い曲での殺傷/表現力が増しており、シンプルで凶悪、しかし決して単純なわけではないという理想のサウンドを実現させている。札幌ハードコアってどういう音楽?という人が最初の一手として聴くのもいいだろうし、bloodthirsty butchersからの影響を求めかつて熱狂した人々の耳にも届いて欲しい。NOT WONKが全国規模でその名を轟かせつつある今、共に盛り上がって欲しい名バンド名盤だ。お薦め。

 

はてブロ岬

き続き、来月の北海道COMITIA8をよろしくお願いします。告知告知。

crouka.hatenablog.com

週のお題「あの人へラブレター」ということで書いてみる……とはいえ、ぱっと書くような相手は見つからない。寂しい生活をしているものよと思いつつ、平穏であるのが一番、のような気もする。関係ないがカードゲーム『ラブレター』は名作なのでもっともっと遊ばれてほしい。

ラブレター (Love Letter) カードゲーム

ラブレター (Love Letter) カードゲーム

 

 

と思い立ち、リサイクルブック稲田店へ。前々から話題にしている、帯広イチのサブカルに強い古書/中古レコードの店だ。積もる話に花を咲かせ……というほど明るい話題ではなかったものの、久しぶりに話せてよかった。単純に、こういった偏屈な店をやっているというのに滅茶苦茶いい人だ、というのがここの店主の面白くも信頼できるところで、繰り返しになるが帯広に来たら一度は訪れてみて欲しい。きっと楽しめるはずだ。最近はサエキけんぞう氏とつながりがあるらしく(サエキ氏が関連音源を卸している唯一の店だそうだ)、そちらのファンも一度は訪れるべきだろう。帯広には珍しい、お薦めのスポットだ。

日のCD。 

完璧なベスト(紙ジャケット仕様)

完璧なベスト(紙ジャケット仕様)

 

日本のロックユニットによるベスト・アルバム。1992年発表。というわけで、サエキけんぞう氏のイイ仕事に触れていきたい。こちらはパール兄弟時代の、メンバーも音楽的にも充実していた時期(そうではない時期も面白いが)に発表されたベストだということで、パール兄弟を手っ取り早く知るために最適、とのこと(曰リサイクルブック店主)。バンド形式のニューウェーブ・ポップス、という言い方はできるものの、サエキけんぞう氏の変幻自在なユーモアと窪田晴男氏の職人的なギターが光る、ストレンジでありながら高品質な楽曲の数々は今聴いても十二分に面白い。というか、最近のバンドが面白いと思ってやっているギャグの類はだいたいサエキ氏がもっとラディカルな方法で使い尽くしてしまっているのではないかとすら思う。今聴いても尚新しい、ということはないかもしれないが、『日本の面白い音楽』史に於いて押さえておいても損のない大定番であることは確かだ。

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日のCDその2。 

ジョリッツ登場

ジョリッツ登場

 

日本のバンドによる1stアルバム。2017年発表。というわけでこちらもサエキけんぞう関連音源。ジョリッツはハルメンズの記念再結成『ハルメンズX』を母体として結成されたバンド、ということで、概ね現代のハルメンズ、ということになるのだが、個人的にあまり思い入れがないので最新のバンドとして聴いた。パール兄弟や、作詞の仕事などで遺憾なく発揮されてきたサエキ氏の面白くもストレンジな感性は現代に於いてもまったく衰えることなく、かつての盟友や下の世代の才能を借りて爆発している。皮肉っぽくフレンチ・ポップスを歌う一方でゴールデン・カップスなどにもルーツのある氏のヴォーカルは独特の艶があり、ニューウェーブを何度もねじれさせたような演奏をストレートに聴かせるものとしてまとめている。サウンド面でハルメンズを思い出させるというよりは、今なお受け継がれるハルメンズの精神性をフィーチュアした、という感じだろうか。攻めの、現役の、ロック・アルバム。名盤。

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はてブロのグルー

稿。というわけで、告知。

月、6/17(日)にホテルさっぽろ芸文館で行われる北海道COMITIA8にサークル『Survival Sickness City』で参加します。新刊は以下の二点。

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「外は天気雨。目の前に、花嫁がふたりいる。」

『結婚式』と『百合』をテーマにした書き下ろし小説。スターターブックよりプロトタイプ掌編「銀幕の雨」収録。

狐の嫁入り
一次創作長編小説
A5判 本文28ページ 500円 イラスト:いな(@xxequal)

 

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サブカルチャーを愛するすべての人へ捧げるファンジン第3号。特集は南米とゲーム『VA-11 Hall-A』。

『CONSOMME CUBE Vol.03』
A5判 本文20ページ 400円 イラスト:山田まりん(@the886lab)

・コラム:『VA-11 Hall-A ――最新の、そしてもう一つの南米文学の形』(先行公開中
・ゲームレビュー:『ゆめにっき』
・ゲストページ:山田まりん(from『the886lab.』)
・ブックレビュー:『悪魔の涎・追い求める男 他八篇』、『CITY (1)』
ポルノグラフィティ全オリジナル・アルバム・レビュー(後編)
Spotifyで聴けるシェフのおすすめプレイリスト『The Other Side of Glitch City』
・エッセイ:『ミロンガを想う』
・詩:『屑鉄』

その他、既刊も在庫のあるものは一通り持っていきます。宜しくお願いします。

 

週のお題「おかあさん」ということで書いてみる。母には本当に苦労をかけ通しで、どう孝行したものかな、とずっと考えている。こうすればいい、終わり。ということも無いのだろう。常に感謝と尊敬の念でもって日々を過ごしていきたいものだ。

日のCD。

Country Kill

Country Kill

 

 JOY HEIGHTS『Country Kill』

日本のバンドによる1stアルバム。2008年発表。ここのところMO'SOME TONEBENDERをよく聴いており、とはいえ『The Stories of Adventure』は名盤!「足跡とショートホープ」名曲!みたいな、五億六千二回ぐらい言われていることを繰り返してもしょうがないのでメンバーの関連音源を。大友良英百々和宏/tatsu(レピッシュ)/中村達也、という、字面から音楽が聞こえてきそうな面子で録音されたアルバム。基本的には足回りを軽くしたKing Crimsonがジャム・セッションしている感じというか、もともとライジング・サン・ロック・フェスティバルの企画で意気投合した企画だったらしいのだが、あの現場、RED STAR FIELDの夜中を知っている人間であれば問答無用でエキサイトできそうな内容。おそらく現場の熱量は凄まじかったのだろう、という想像で止まってしまうのが惜しいアルバムではあるが、それでもなお、この音源を越えてくるような格好良さというのは他ではあまり見かけないし、シンプルに辣腕同士の真剣勝負、ということで聴いてみて損はない。モーサム関連音源というには若干、百々の影が薄い気がしないでもないが、これはこれで、ロックンロールバンドであるモーサムとはまた違った一面が感じられて良いのではないだろうか。複雑な味わいの良盤。

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日のCDその2。

スペースシャワー列伝~宴~

スペースシャワー列伝~宴~

 

V.A.『スペースシャワー列伝 ~宴~』

日本のライブ企画によるコンピレーション。2002年発表。モーサム関連でもう一枚。企画自体は今でこそすっかりお馴染みとなったものだが、流石に16年前の面子ともなると凄まじい。メジャー・レーベルで選んだ裏『極東最前線』とでも言うべきか、当時はハードコアが如何に時代のポップまで接近していたか、という記録として意義深いアルバム、だろう。Scoobie Do怒髪天THE BACK HORNといったバンドの初期の(隠れた)名曲、NAHTfOULといったそれこそ『極東最前線』勢、今となっては懐かしい名前まで、本当に捨て曲のない名コンピであり、繰り返しになるがメジャーでこれを編めたというのは本当に奇跡的だと思う。

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ズブズブのグランジっぷりが微笑ましい。少しPlastic Tree風でもある。

 

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GO! はてブロ GO!

週のお題「ゴールデンウィーク2018」ということで書いてみる。家族全員で回転寿司を食べに行ったり、ブックオフGWセールのCD棚(500円以下のCDが半額)をざっと眺めたりしたが、基本的には家でぼーっとしていた。また貯金して旅行などしたいものだが。

人誌の原稿作業を終え、製本作業に移る。これから印刷に回すということもあり、告知はもう少し待っていただければと思う。

いうことで次回参加イベント、北海道COMITIA8で発表する『CONSOMME CUBE Vol.03』より冒頭のコラムを公開した。

note.mu

南米文学と『VA-11 Hall-A』について、僕なりに思い入れとリスペクトを込めて書いた文章なので、一読いただけると嬉しい。

日のCD。

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killie『犯罪者が犯した罪の再審始まる』

日本のバンドによる現在入手困難な音源を再録した編集企画盤。2018年発表。いま最も、しなやかで力強い暴力が味わえる音源、だろう。かつては音源をコンクリ詰めにしてリリースしたりと一筋縄ではいかなかったバンドであるし、今回の音源に関しても様々な仕掛けが用意されているのだが、あくまでもハードコア由来の『伝えたいこと』に対する真摯さ、がきちんと感じられる。音楽ジャンルで分類するのならば『カオティック・ハードコア』ということになるのだろうが、確かな演奏技術と目つきの据わった悪意は背筋がぞっとするほどかっこいい。かっこいいがしかし、怖い。音楽を聴いてこんなに肝を冷やしたのは初めて、かもしれない。安価なわりに取扱注意な音源だとは思うが、覚悟のある人はぜひとも体験してほしい。バンドが宣言する通りの、『ロックンロール』を爆音で耳に流し込める作品だ。

はてブロトルネエド

ろいろあった。

週のお題「カバンの中身」ということで書いてみる。誰と会ったときでもすぐに遊べるよう、カードゲーム『ラブレター』を忍ばせてあるのだが、未だに役に立ったことが一度もなくて悲しい。

題「わたしの春うた」ということで書いてみる。住んでいる場所が北だということもあり、あまり春だからどうこうということはないのだが、堂島孝平の「スプリング スプリンガー 〜春に跳ぶ人〜」という曲はとにかく好きだった。堂島孝平自身はいつでも才能ある人だが、特にGo Go King Recordersがバックだった時代は無敵だと思う。

人に誘われるまま、クトゥルフ神話TRPGのセッションに探索者として参加した。15年ぐらい前にプレイしたきりだと思うのだが、とてもいいセッションになり大満足。参加者全員の健闘もあり、クトゥルフにしては爽やかなエンディングだったのだが、いかにもホラーといった感の後味の悪い話も今後やっていきたい。

ワ・フリークビート『Private World』を最後まで読む。最終巻のみネットでも有料だが、それ以外の話はすべて無料で読めるので楽してみてほしい。いい年した大人と音楽って何だろう、というテーマにまっすぐ向き合った名作。作中で出てくる音楽もいまなら(定額)聴き放題サービスで簡単に聴けてしまうし、お薦めだ。

クターンノベルズ(小説家になろうの18禁コーナー)で見かけた、『暗殺教団の長になったから異世界の鬱展開なんて全部ぶっ壊すわ。』という小説が面白い。大げさに言ってしまうと藤田和日郎meets桜井光、をライトノベルでやったような、けれんの効きすぎた勧善懲悪もの。序盤からなかなかに面白いのだが、特に『蛇王降臨編』ぐらいから一気に面白くなるので気になったら読んでみて欲しい(章立ては細かいが、そこまでの分量でもない)。18禁であるところのゴア要素はライトノベルに収まる範疇であろうし、お薦めだ。

日のCD。

CHANCHIKI TORNADE-1st tornade for flying around the world-

CHANCHIKI TORNADE-1st tornade for flying around the world-

 

チャンチキトルネエド『CHANCHIKI TORNADE -1st tornade for flying around the world-』

日本のバンドによる現在唯一のアルバム。2009年発表。このバンド名で、後に『あまちゃん』劇伴に参加することになる、といった辺りでだいたい音の予想がつくというか、要はチンドン・ブラスだ。しかし篠田昌已〜ソウル・フラワーとは微妙に肌触りの違う、どちらかといえばクストリッツァ監督映画なんかに通ずるジプシー・ブラス色も強い。押し引きこそきちんとしているものの、とにかくパワフルで、最早『ブラスのスラッシュメタル』なんじゃないかとすら思わされる瞬間も。吹奏楽愛好家から、プログレ系ブラス・ロック趣味、騒々しい音楽なら何でも、というひとにまで幅広く薦められるのではないだろうか。名盤。

 

ニシヘヒガシヘ

ニシヘヒガシヘ

 

本田祐也『ニシヘヒガシヘ チャンチキトルネエドの活動と、本田祐也が生きた、ある劇場的時間の録音記録 1994~2004』

日本の作曲家によるフィールド・レコーディングを中心としたアルバム。2005年発表。というわけでこちらはチャンチキトルネエドを結成/先導した本田祐也の生前の録音を集めたもの。チャンチキトルネエド名義とは楽曲のいくつかが被りつつ、フィールド・レコーディングということで場の喧騒もにぎやかに、とにかく生々しい演奏が収められている。本田祐也という人は畑としては現代音楽に近かったらしく、そういった録音もあるが、当人はあまりアカデミックなものに寄りかかることをよしとしなかったらしく、作曲を含めてあくまでポップな表現として描かれている。前述のスタジオ盤と比べると単純に音が悪い、と言ってしまうこともできるため、好みではあると思うが、2枚で1セットだと思って聴いてみて欲しい。こちらも名盤。

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はてブロホール

33にして初めてタブレットというものを手にする。Kindle Unlimitedで『声優グランプリ』と『声優アニメディア』が読める、というのでスマートフォンよりも大きな端末が欲しかったから、なのだが、安物なのでそこまで大きくなく、若干物足りず。とはいえ、問題なく使えているし、単純に新しいガジェットを手にするのはわくわくするものだ。

津玄師『Lemon 映像盤』が届いたため、まずは付属DVDの武道館公演の模様を観る。正直、侮っていた。本当にこの人は、何をやらせても周りを圧倒するというか、時代を掌握してしまう力を持っているな、と思わされる。いまのままでも十分に凄いが、これ以上に確かなヴィジョンを持ってバンドメンバーを揃えたら、さらに恐ろしいことになると思う。

号の『CONSOMME CUBE』について準備を始める。今回はゲーム『VA-11 Hall-A』と南米文学、(ゲームに於ける)グリッチにラテン・ミュージックといったあたりをまとめてお届けする予定。まだあくまで予定だが、表紙が賑やかになると思われるのでそういった点も楽しみにしていただきたい。ポルノグラフィティ全アルバムレビューその2、も執筆中だ。

日のCD。

Plastic Tree『doorAdore』

日本のバンドによる14枚目のアルバム。2018年発表。文句なしの名盤だ。『echo』、『剥製』と、決して悪い出来ではないが地味な作品が続いた(特に『剥製』は「マイム」というキラーチューンがありながらもそれを活かせていないように思えた)のに対し、シンプルに音が太く、またメリハリや押し引きがしっかりしてわかりやすくなっており、ひとつの『ロック・アルバム』として広く勧められる出来だ。そういった意味では(過去作で例えるとするならば)『トロイメライ』と『ネガとポジ』を足したような作品、とも言えるだろうし、しかし楽器の鳴りはいかにも今の、最新のモードだということで、本当に文句の付けようがない、現時点での最高傑作。ファンとしてはどうしても初回限定盤の売り方に文句を付けたくはなるが(流石に高い)、映像もまた素晴らしいものであるし(だからこそ、広く手に取ってもらいたいのだが...)、熱心なファンでなければ通常盤のアルバムだけを聴いても満足し、圧倒されるのではないだろうか。心の底から『格好良い』と言い切れるアルバム。お薦め。

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日のアルバム。

BOOTLEG

BOOTLEG

 

米津玄師『BOOTLEG

日本のソロ・アーティストによる4枚目のアルバム。2018年発表。ということで(上記参照)、アルバムも遅ればせながら聴いてみた。これまでの作品だと1st以外はあまり好きではなくて、どうにもJ-POPだとかロキノン系、というジャンルであったり資本であったり、に飲み込まれそうな危うい感じがあったのだが、今作は完全にそういったものを掌握したというか、すっかり取り込んでしまったような、畏怖さえ覚えるような懐の広さがある、と思う。昨今の世界的な流行から個人的なルーツに至るまで縦横無尽に、それでいてあくまでも自身の表現を軸にしながら構築していく。クレバーなようでいて感覚的な、掴ませない様はまさしく天才のそれ。菅田将暉池田エライザ、といった参加面子も含め、アルバムのすべてが『いま』を代表するような一枚。ただただ名盤。

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