虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

Hateblo Will Be Worse

広RESTにて "Tommorow Will Be Worse vol.06"を観る。開演17:30、終演23:00超と長丁場だったが楽しめた。以下簡単に(といっても出演数の関係で長くなるが)レポート。

REAL SHOCKS MATTER。相変わらず少し苦手なバンドだ。ちょいハードめなメロコア、といった感じで、いまひとつノり方がわからない、というか。しかしGt./Vo.の人柄の良さがなんともほっこりするため、いいバンドなのだろうとは思う。

Two layers of paint。こちらも基本的にはメロコアなのだが、サーカス的なクルクル感(?)のようなものが楽しかった。勢いに乗って楽しそうに弾くベーシストがダニエル・ジョンストンTを着ていたため、「Tシャツ最高スね」と声をかけ、音源を買い求める。SUB POPの話などで盛り上がる。オタクはいつもこうだ。

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FAAFAAZ。神戸から来たシークレット枠。MOTORHEADの血筋も感じるハードコア・パンク。とても格好良かったのだが、3ピースのパンク・バンドばかりを聴いてきて若干の胸焼け。

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MAPPY。事故なのか平常運転なのか、あれが普段だったとしたら凄すぎる……。ポーズとしての狂気、みたいなものはロックを聴いていれば比較的遭遇すると思うのだが、このバンドに関しては本気で薄ら寒くなった。音源は普通なのだけども……。

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chikyunokiki。今回の目当て。ROTH BART BARONと来帯した際はとにかく衝撃を受けたばかりだったが、今回は冷静に観られた。本当に凄い。特にドラムが声を失うぐらい上手いのはやはりJTNC以降、ceroSuchmosあたりと同時代であることを感じさせつつ、今回は特にテクノを感じさせるアゲ方をしてきた。「Select Section」、新曲2曲、「Shiny Shiny 2&3」と短めのセットだったが今後に期待できるものだったし、何よりも久しぶりに生で観ることができただけで嬉しい。できるだけ早くフルセットをしっかりと観たい。いくらでも大きくなってほしい、本当にいいバンドだ。

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INQ.。1DJ1MCのヒップホップ・ユニット。良くも悪くも、と言ってしまうのはいささか気が引けるが、とにかく真っ直ぐさが現れた誠実なステージングだった。再び人柄にほっこりする。

the hatch。今回の収穫。Gt./Ba./Dr.、と真ん中に鎮座したトロンボーンが開演前から期待を煽る。おそらく影響を受けているということはなさそうなのだが、クルクルとパンク風に軽くなったCOWSみたいだ、などということを考えてしまった。カオティック・コアを脱臼させるかのごとく鳴り響くトロンボーンのまぬけ格好良いこと。最高すぎて思わず音源を買い求めてしまった(7曲入りのダウンロードコード付きガム!)。

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名前が聞き取れなかったのだが、飛び入りの青春エモといった感じのバンドが数曲演奏。ノーコメント。

toilet。先日も観た、というのもあり衝撃は薄れたのだがやはりその表現の真摯さ、特異さは地元が誇るもの、といった風格があり格好良いものだ。Gt.にして今回の主催であるキム氏が感極まった様子で企画の盛り上がりを感謝していたが、確かに昔と比べても豊かでユニーク、単純に面白いシーンになってきたと思う。

 

と、計9バンドも出たため流石に多く、ショウケース的な観方になってしまったのは仕方がないか。通して良かったと思うが、特にthe hatchに関しては今度もっとしっかりと観たいと思わされた。次回もできれば参戦したい。

はてブロの恩返し

度手放していた瀬口たかひろオヤマ!菊之助』を買い戻す。一度手放した理由もなんとなく思い当たらなくもないのだが、それにしてもずっと後悔していたため。全25巻、新書サイズとはいえかなりかさばる。本当は、届くまでに本棚を片付けたいと思っていたのだが。

田メルつながりということで、既に予約済みの『BLUE REFLECTION』が届くまで『トトリのアトリエ』に手をつけたのだがめっぽう面白い。『エリーのアトリエ』で時間が止まっていた人間としてはその進化ぶりにカルチャーショックを通り越して浦島太郎だ。こんなにも快適、かつプレイしやすい難易度になっていたとは。トトリの声優が名塚佳織だというのも含め、かなりお気に入りの作品になりそう、なのは良いのだが、ブルリフがそっちのけになってしまないか、少し心配だ。

局クリアしていなかったな、と思いライアーソフト『Forest』を再インストールする。『月刊メガストア 2014.01』に収録されていたものだ。いまプレイしても古くさくない、という感じではないが、どちらかと言うと圧倒的なオリジナリティ、オンリーワン性で迫ってくるためあまり気にならずにプレイできる(UI周りはしょうがないが)。しかし、意味のわからないゲームだ。褒めている。雰囲気だけ、と言い切るにはあまりにも纏うものが不穏というか、力強すぎる。あらためて、きちんと最後まで見届けたい。

ワイトデー。諸事情により現在キッチンが占有できないため、柳月や六花亭の菓子を贈ったのだが、本当は久しぶりに、きちんとした菓子を作りたかったなあという思いがある。リベンジしたい。

日のCD。

BOB

BOB

 

KILLING TIME『BOB+5』

日本のバンドによる1986年のデビュー・シングルが2005年にCD化する際にボーナス・トラックを加えたもの。悲願の、という気持ちだ。ついにKILLING TIMEのボックス・セットが出る、再発の際に買い逃していた今作や、さらには未発表のライブ音源つき、ときた。KILLING TIMEというのはちょっと困ったバンドというか、入手も難しく、音楽性も説明しづらく(フュージョンのようでも、プログレのようでも、ブラジル音楽のようでもあり、そのどれでもない)、とにかく『ヘン』で『ポップ』で『カッコイイ』、不思議そのものと言っていい存在だ。セッション・ミュージシャンの本気の遊び、にしては少しばかり壮絶に過ぎるというか、どこか偏執さえ感じるミュージシャン・シップ100%の音楽、斜め向こうのユーモアなど、本当に掴ませない。正直、どの音源でも手に入るのならば一度聴いて衝撃を受けていただきたいのだが、今回『BOB』を紹介したのは単純にこれまで持っていなかったから、というのと、表題曲が(いちおう)代表曲ということになっているようなので。「BOB」はベスト盤には前半部のみが収録されており、初めて聴いた後半部の圧倒的な格好良さに(思い入れもあり)すっかり陶酔してしまった。普段であれば(少なくとも中古で)入手しやすい価格帯のお薦めできるCD、というのを紹介しているのだが、今回に関してはプレミア価格の商品で申し訳なく思う。とはいえ、KILLING TIMEの遺した音源の殆どは前述のとおり今回『ULTIMATE KILLING TIME』という、ボックス・セットとしては安価なものにまとまったというのもあるし、今回の件で昔の盤が値崩れするのであればそちらをあたってみるのもいいだろう。とにかく、あまりにも突き抜けた音楽であり、これがバンド名の通り暇つぶしだというのなら究極のそれ、だろう。この機会にきちんと再評価されることを望む。

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豆腐はてブロ

週のお題「カラオケの十八番」ということで書いてみる。歌うのは好きなのだがもともとあまり上手くないので、モノマネなどをして場を濁しがちなのだが、ガチで歌うとなるとなんだろう、サニーデイ・サービス「雨の土曜日」など若干しゃらくさいレパートリィかな、と思う。

回のお題「卒業」ということだが、橋本奈々未さんの乃木坂46卒業&芸能界引退、以外に何の話ができようか。つらい。

生日プレゼントとしていただいた『戦国コレクション』北米版DVD-BOXの中からまずは八話を観る。オムニバスながら通して好きな作品なのだが、特にこの話は僕にとって特別というか、あまりにも衝撃的だった。視る者/視られる者、について衒学と寓話で語る25分。あとは18話も好きなのだが、あまりに悲しい話なので観るのには気合いが要りそうだ。

ラマ『豆腐プロレス』を最新6話まで観る。所謂?AKBもののドラマだが、相変わらず百合厨としての見所も多く、また単純にスポコン/格闘技ものとしてよく出来ている、と思う。ハリウッド珠理奈が雄叫びを上げるシーンで思わず泣いてしまった。格好良すぎる。

Steam版『シャドウバース』に手を出してみる。面白い、のだが勝てない。最早M:tGで鳴らした過去もどこへやら、と言いつつ元々強くはないのであった。

くつかの要因が重なり、カクヨムでの連載を凍結した。主な理由としては新人賞への応募に専念したい、というもの。同人は動かすつもりでいる(既に次回の北海道COMITIAの予定がある)ものの、ネットでの活動はしばらくおとなしくなりそうだ。

日のCD。

イメージ

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Phil Woods, Michel Legrand and Orchestra『Images』

アメリカのサックス奏者とフランスの楽団による共演盤。1975年発表。こちらもほぼジャケ買いなのだが、フィル・ウッズミシェル・ルグラン両者ともわりと好きだというのもある。基本的な内容としてはいかにもフランス、パリといった感のゴージャスなビッグ・バンドの上でアルト・サックスが自由自在かつメロウに歌うというもの。かなりイージーリスニング色が強く、あまりスリリングさだとか深みといったものを求めてはいけないような気がするが、質は高い。そして何よりラストに配されている表題曲。両者、楽団すべてがミュージシャン・シップ、ジャズメンとしての矜持を炸裂させたかのような14分にわたる大曲が展開されており、壮絶。この1曲のために買っても良い、とまで言い切ってしまおう。フィル・ウッズにはどうしてもヨーロピアン・リズム・マシーンと組んだ時のような苛烈さを求めてしまいがちだが、今作、特に表題曲で見せるしなやかさもすばらしいものだ。どちらかといえばミシェル・ルグランのファン向けではあると思うが、ひとつの(BGMにおさまらない)グッド・ミュージックとしてお薦めだ。

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はてブロねだり

2/19で32歳になった。祝いの品はこちらから。よろしくお願いします。

生日当日は『スパイス・ガーデン』でランチのポーク・カレーを食べ、六花亭本店喫茶室にて誕生日サービス(飲み物とケーキが一品ずつ無料)を受けたあとはひたすら手元のCDをリッピングしていた。暇つぶしに駿河屋のセールを覗く、という癖を改めなければいつかCDだけで家が建ってしまうことになる。

本奈々未、卒業。巷で言われているようなことではあるが、僕もまだサヨナラに強くなることができないでいる。しかし、おめでとうございます。お互いに、良い未来を。

週のお題「何して遊んだ?」ということで書いてみる。子供の頃からインドア一辺倒……というわけではなく、家の周辺を駆け回って遊んだりしていた。今となっては危ないな、と思ったりするものの、屋根から落ちた氷の上を歩き回ったり(アクションゲームみたいで楽しかった)、バドミントンをしても筋肉痛にならなかった頃の話。

日のCD。

Dancing on the Water

Dancing on the Water

 

Bob James『Dancing On The Water』

アメリカのピアニストによるアルバム。2001年発表。名前ぐらいしかまともに知らず、ほぼジャケ買いしてみたのだがとても良かった。ソロ・ピアノをベースに曲によってサックス/ギター/ベースのささやかな客演、そして松居慶子とのピアノ連弾が収められているのだが、これが完全にAsturiasを想起させるもの。バンドのピアニストである川越氏ぽい、という話のみならず、Asturiasのレパートリーをピアノ・アレンジしたかのような印象がある。勿論ジャズ・ピアノではあるし編成も全然違うのだが、スムースでありながら俗っぽくならない高揚感があるところなんか似ている、と思う。単純に、生活のBGM的に消費するもよし、じっくり聴いて浸るもよしの優れた作品集。お薦め。

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はてブロメイト

ちらでの告知が遅れてしまったが、カクヨムにて連載『リビングデッド・ユースカルチャー』が現在第二回まで配信中。肩の力を抜きながらも己れのルーツと真っ直ぐに向き合った創作、にしたい。よろしくお願いします。

kakuyomu.jp

ックカフェ『岡書』、にて時間をつぶす(キルタイム)。ドトールのコーヒーとガナッシュを堪能しながらハーラン・エリスン『死の鳥』収録の名短編「プリティ・マギー・マネー・アイズ」や手島史詞の新刊(COMTAとのタッグ!)やレコ・コレ80年代クリムゾン特集などを読んで過ごす。ひとと待ち合わせをしていたのだが、この感じであれば何時間でも居られるな、と思ってしまった(店側としてはあまり良いものではないのだろうが)。休祝日の神経を逆なでる演奏会さえ無ければ本当に良い場所だ。

このところカレーづいている。『奥芝商店』のスープカレーを食す。感動。これまでスープカレーはSAMAが一番かと思っていたのだが、勝るとも劣らない(価格帯も概ね同じ)。調べてみると様々な土地に店舗がある『定番』のようだ。どちらもお薦め。他にもスリランカ料理『スパイス・ガーデン』にて初めてスリランカ・カレーを食し、その辛さとスパイスの妙味に痺れたり、豚丼以上に帯広民のソウル・フードたる『インデアン』にてカツカレーの中辛を食べたりも。なんだかんだでこれが一番落ち着く、というのは土地に根を張ってしまった証拠か。

日のCD。

ナゴミ・ハイツ

ナゴミ・ハイツ

 

V.A.『753812 ナゴミハイツ』

日本のコンピレーション。2015年発表。名古屋インディ・シーンを『宅録』というテーマで切り取ったもの、ということだがとても良かった。名古屋といえば小鳥美術館からDOIMOIまで様々なアーティストが居るわけだが、というかこの盤に関しても目的はDOIMOI杉山氏がやっているログメンが主目的だったのだが、収録曲「ステイルメイト」はなるほど素晴らしく、またアルバム中随一のねじれた楽曲で、単体での音源が楽しみになる出来だった。通して聴いてみてもおよそ真っ当、だとか普通、といったものから距離を置いたり、俯瞰で眺めたりしつつ、『いい曲』であることから逃げない作品しかなく、見事なコンピレーションであるとともに名古屋のインディ・シーンというものの恐ろしさを垣間見た気分だ。これは(DOIMOIではないが)名古屋に永住したくもなる。程よい脱力はまさに生活のBGM、しかし刺激的であることは忘れない名コンピ。値段、コスパ的にもお薦め。

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はてブロラビリンス

週のお題「冬の寒さ対策」ということだが、一定のラインを越えてしまうとそんなものはない、ような気がする。せいぜい外出時にネックウォーマーを愛用している、ぐらいだろうか。

しぶりにアニメを観たくなったので『亜人ちゃんは語りたい』、『スクールガールストライカーズ』などを楽しく観ている。Amazonプライム(結局入り直した)が便利だ。

空文庫が楽しい。無料であるし、過去の名作に触れる良い機会だ。

広RESTにてtomorrow will be worse Vol.5というライブイベントを観に行く。全4バンドと個人的にちょうど良い尺で楽しめた。以下簡単に感想。

・Afrocentric551。初見。ギターレス(Dr./Ba./Key./Vo.)でポスト・フィシュマンズな音を鳴らすバンド。地元のバンドでここまで本格的にダブ・ポップが聴けるとは思わなかった。ドラムが替わったばかりということで少しばかり固く感じたが許容範囲内というか、それすらもライブのダイナミズムとして楽しめた。鍵盤の女の子がかわいい。

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・A Quiet Evening

二度目。相変わらず鉄壁のバンド・アンサンブルでUSスタイルのエモを聴かせるいいバンドだ。今回は新曲で日本語詞なども飛び出し、アニソンにすら接近するかというキャッチーさで素直にグッときた。何度でも観たいし、次の音源がひたすら楽しみなバンドだ。3月に自主企画があるらしく、楽しみにしたい。

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・Button Dawn

初見。フロム苫小牧。事前にPVで確認した際はもっとDOPING PANDAみたいなスタイルかと思っていたのだが、avengers in sci-fi的に弦をビヨビヨと鳴らすタイプのダンス・ロックだった。目新しくはないが迫力のアクトで、あまり好みではないながらもすっかりノセられてしまった。実力派だ。

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・toilet

二度目。あらためてきちんと観たが、相当に変なバンドだ。At Ihe Drive-InがDevoをカヴァしたものを80年代ジャパニーズ・アングラパンクに漬け込んだ結果、System of a Downに少し似た、という感じだろうか。よくわからないだろうが、僕にもよくわからない。とにかく強烈なカオティック・ハードコア・パンクだった。彼らも3月に自主企画があるらしく、まだ調整中のようだが気になる名前が挙がっていたため時間を空けておこうと決意。

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日のアルバム。

松井恵理子『にじようび。』

日本の女性声優による1stアルバム。2017年発表。良い。と、まず何よりも真っ先に言わなければならない、シンプルかつ真摯でクオリティの高い作品だ。こういった文句の出ようがない名盤を聴いてしまうと何も書けなくなってしまうというか、どんなことを書いても蛇足になってしまうのではないかと感じてしまう。特にラストを飾る本人作詞の「声」はもう、泣いてしまうかと思うぐらいに僕の理想が詰まった1曲だ。ただただ、名盤。

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空ははてブロ仕掛け

駿河屋から中古CDが大量に届き、リッピング作業に追われていた。一定数リッピングしてはCDの山を移動する作業はなんだか中古レコード屋にでもなったかのようで、奇妙な充足感があった。あまり浸ってしまうのもまずい、とは思うが。

作小説の執筆を始める。タイトルは『セラミックユースカルチャー』、僕なりのメフィスト系作家への敬意と再解釈を込めたもの、にしたい。カクヨムにて連載、予定。

SLG『もえくり2』にハマる。普段はSLGをやらないのだが(昔少しだけスパロボに触れたぐらいだろうか)今作はキャラが可愛いのと、アナログゲーム、もっと言うとTCG的な質感がかなり気に入っている。『モンスターコレクションTCG』にハマっていた頃を思い出す。要望としては対人戦がやってみたいな、と思うのだがいろいろ難しいのだろう。

日のCD。

Things Discovered 【初回限定盤】

Things Discovered 【初回限定盤】

 

People In The Box『Things Discovered』

日本のバンドによる10周年企画盤。2017年発表。ディスク1には新曲1曲、旧曲の新録を3曲、各メンバーのプロデュースによるセッション的な楽曲が各1曲で3曲、という計7曲。ディスク2はメンバーがセレクトした過去音源12曲をリマスターしたベスト盤となっている。全体的に、なぜこうなったのか、音源を聴くだけだと謎が多い。新曲、新録くらいまでは納得なのだが、各メンバーがプロデュースしたセッションは全体的にジャズ的な面白みはあるものの、バンドとして番外的なものだと言えるし、ベスト盤の選曲もバランスがいいとは決して言えない。しかし初回盤付属のインタビューを読むに、各メンバープロデュースによるライブの手応え、そしてバンドの歴史を一枚にまとめることへの抵抗感(というか、不可能だ)といったことが書かれており、ようやく納得がいった。確かに、『Ghost Apple』はひとつの作品として分解したくない、という気持ちも理解できるし、逆に『Bird Hotel』は(個人的にはすごく好きなのだが)メンバー各人に思うところのある作品のようで、入らなかったのも納得がいく(折角なら何か再録しても良かったとは思うが)。PVのある楽曲が代表曲だというのならYouTubeで観れば良いのだし(ほぼほぼ上がっている)、『メンバーによる発信であるからには偏っていた方が良い』という主張にも説得力がある。元々録音の悪いバンドだとは思っていなかったが、リマスターの効果がはっきり出ていたので(特に「気球」には驚いた)他の過去曲でも聴いてみたい、という思いこそ消えないが、充実の記念盤ではあると思う。ファン・アイテム色が強いが、ディスク2のベスト盤などはここから入っても良いか、という気もする。試みの新しさも含め、ユニークな作品。初回盤付属の全歌詞集については、もう少し装丁に凝って欲しかった気はするが。

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