虚空の黙祷者

クローカ/黒岡衛星の日記帳

助演はてブロ賞

年もお世話になりました。来年も黒岡衛星/クローカ、ならびにサークルSurvival Sickness Cityをよろしくお願いします。

週のお題「2017年にやりたいこと」ということで書いてみる。引き続き小説を書く、というのはあるのだが、ネタが浮かばないので早く何か降りてきてほしい。他にもラップの練習やトラックメイキングの勉強、ベースを弾けるようになりたいなど、言い出したらきりが無い。怠惰であることとどのように折り合いをつけていくべきか。

AbemaTVで中継していた欅坂46初のワンマンライブを観る。最高。2月に再放送があるようなので、観逃したひとはそちらを。日本でいま最もガイナ立ちの似合うアイドルだ(いかにもオタクっぽい紹介をしてみた)。

BD-BOX『SKE48 MV COLLECTION ~箱推しの中身~』が届いたため観る。最高。自分にとってなんだかんだでホームはSKE48なのだろうか、と考えたりする。好きなMVは沢山あるのだが、「Darkness」での松井珠理奈が格好良くて好きだ。

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日のCD。

土曜ドラマ24「徳山大五郎を誰が殺したか?」オリジナルサウンドトラック

土曜ドラマ24「徳山大五郎を誰が殺したか?」オリジナルサウンドトラック

 

スキャット後藤『土曜ドラマ24「徳山大五郎を誰が殺したか?」オリジナルサウンドトラック』

日本のコンポーザーによる連続ドラマのサウンドトラック。2016年発表。ドラマ本編はアイドル欅坂46主演による『死体をめぐるサスペンスフルなコメディ』という、よくわからなくも面白く、意義あるものだったのだがその劇伴も非常にインパクトが強い。基本はサスペンスドラマの優等生的なサウンド、なのだがそこにフリーキーなサックスや妙に暖かみのあるトロンボーンなどが絡み、打ち込みの中にもどこかNO WAVE的なユーモアを兼ね備えている。名前通りの(胡散臭い)スキャットや少女のコーラスなども効果的に配置され、とにかく楽しい一枚だ。サウンドだけを聴いて楽しめ、とはあまり言わないというか、やはりドラマ本編を観て欲しいと思うが(amazonプライムで配信中)、関連商品として、またNEW WAVE的な心を継承したサントラとして広く聴かれてほしい一作だ。

はてブロのカンガルー

題「私のブログ・ネット大賞2016」ということで、書いてみる。今年もSCSIDNIKUFESINさんの過去ログをよく読んだし、紹介されているCDもそこそこ聴けた。最近は更新頻度が落ちているのが残念だが、奈良まで氏のバンドであるDOIMOIを観に行き、本人に挨拶できた、というのは本当に嬉しかった。DOIMOIも好きなバンドで、僕の「カレンダー」という小説にタイトルと「小鳥」の歌詞をエピグラフとして引用させていただいたほどだ(PDF版のDL販売になってしまうが、ここここで読める)。

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あとはアイドル、というか欅坂46のブログもよく読んだ。すっかりアイドルオタクだな、と思いつつもまだ1年ぐらいなので、生まれたてのひよこみたいなオタク感というか、二次元に関しては物心ついてずっとオタクだったためあまりそういう、「自分はオタクとしてまだまだ」みたいな感覚は新鮮かもしれない。

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筆活動を11月までに終え(仕事納め、という表現がアマチュアにも当てはまるのかは知らないが)12月は遊ぶことにした。友人との忘年会や趣味の買い物納めなど、正月いっぱいぐらいまでは呆けている予定だ。

連して、久しぶりに『リサイクルブック』へと赴く。店名の通りの古書店ではあるがCDも取り扱っており、今後サエキけんぞう氏の近年の仕事なども取り扱う予定とのことで、『マッド・フレンチ・ジャパニーズ』などについてひとしきり盛り上がる。パステルズのシングル・コレクションを試聴したりしつつ、結局今回はCDを買わずエロ漫画を四冊ほど購入して店を後にした。帯広で最も文化的な施設はTSUTAYA西帯広店だと思っているが、その次ぐらいにお薦めしておきたい店だ。

日のCDその1。

極光 ?アット・ジ・エッジ・オブ・ザ・ワールド-

極光 ?アット・ジ・エッジ・オブ・ザ・ワールド-

 

Asturias『極光 -At the Edge of the World-』

日本のソロ・ユニットによる7枚目のアルバム。2016年発表。正直に、胸中を吐露してしまうならば「もういいのでは」と思っていた。アップ・トゥ・デイト的ではあったものの新しさを提示した『樹霊』、地続き、でありながらパーソナルな表現として成立していた『欠落』と来て、惰性になってしまうのでは、と思ってしまったからだ。そして、誤解を恐れずに言うのならば、その懸念は当たっている、ように思える。どこまでもクオリティは高く、しかし、今作が目指した特有の高み、のようなものは(少なくとも自分には)見つけられなかった。しかしだからと言って駄盤なのかというとまったくそういうことはなく、繰り返しになるが高いクオリティと、傑出したメロディ・センスが涙腺を強く刺激する。『プログレッシヴ・ロック』として新たな進化を見せた『樹霊』などに比べるとジャンル『プログレ』の名盤、となってしまったように思え、それは個人的には残念なのだが、きっとこの表現を愛する向きも居ると思うし、好みだろう、と片付けておきたい。どうしても今後の変化、を期待してしまうのだが。

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日のCDその2。

エスケイプ・フロム・リアリティ(Escape From Reality)

エスケイプ・フロム・リアリティ(Escape From Reality)

 

Stella Lee Jones『Escape from Reality』

日本のバンドによる2ndアルバム。2016年発表。上記と関連して、ということになるだろうか。とにかく、化け物じみたバンドだし、新譜が出たというそれだけで事件、だろう。クラシカル、ジャジー、ミニマルなテクニックの活かし方、混ぜ方の手本にして最先端を見せつけつつ、親しみやすい表現は決して安っぽくない『今様のフュージョン・ミュージック』として激賞されるべきだ。『プログレ』として評価される以上に『(バンド演奏として)先進的なもの』として聴かれるべきであり、前作の評価を繰り返すが『今、最もプログレッシヴなバンド(の、ひとつ)』なのは間違いない。前作のように入手しづらくなってしまう前に、聴いておきたい。

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『キュレーション・ミュージック』について

まにはポップ音楽史についてまじめに書いてみようと思う。他ジャンルから来られた方には申し訳ない気もするが、興味を持つきっかけにでもなってくれれば、もっと言うならば時間つぶしになれば幸いだ。

twitter松山晋也氏が発言していた『キュレーション・ミュージック』という言葉について、擁護してみるというか、解釈をしてみる。

時事ネタに寄ってうまいこと言ったらんかなという気概が滑っている、というのは理解できるのだが、だからといって言っていることが的外れだとは思わないし、そこに関しては松山晋也氏という批評家としてのキャラも関わってくるように思う。

この話題に触れる以上、どうしても話が大きくなってしまうのだが、『新しい音楽』として想定されるものは、既存のジャンルに対して『混ぜる』か『読み違える』か、だと思う。

そもそもロックンロール、というジャンルがロカビリーやR&B、カントリーといった多様な素地を吸い込んだジャンルであり、『ロック』の歴史はThe BeatlesThe Rolling Stonesの昔から『自分の良いと思ったものを体現する』という意味での『キュレーション・ミュージック』という側面がある。

一方、たとえばジャマイカでJazzを誤読、ないし読み替えたものがSKAになり、Reggaeへと発展していっただとか、ある種のパロディ/ディフォルメとしてのVenomを本気で読み込んでしまった北欧のBlack Metalだといった、辺境(と、敢えて言うが)に多いのが読み替えの新種発見だ。

松山晋也というひとはそもそもワールド・ミュージック寄りの人間、それも日本で有数のリスナー、のはずなので、思想が後者に寄る、というのは理解できるように思う。

なおかつ、80年代はMIDIによって拡張されていくTechno Pop~Technoや、サンプラーが活躍したHIP HOPといった『テクノロジーによる新たな音楽の発見』があったわけで、それらが一段落した90年代以降をより強い『再発見』ないし『リスペクト』の時代と見るのもそこまで間違っていないようには思う。

要は『サニーデイ・サービスが活躍したからネタ元であるはっぴいえんどが再発された』みたいな問題について、『悪くはないけど、面白くもない』という感想を抱くのがそこまで誤りか、という話であって、ここまで来ると好みなのではないかな、というのが僕の正直な感想だ。

また、『90年代以降の作品の多く』という主語の大きさについても、松山晋也ほど(病的に、とすら言って良いと思うぐらい)聴いている人間が発するからこそ説得力があるのであって、その点を批判できるほど我々は音楽を聴いているか?と考えたらNO、なのではないか。

繰り返しになるが、この発言は松山晋也という、日本有数のリスナーでもあるパーソナルを知らなければ批判しづらいものなのでそこはtwitterのインスタントさがあまり良い方向に作用していないな、という感じだ。


 ※あまりに『松山晋也は音楽を聴きまくっている』としか言っていないので一応追記しておくと、たとえば(ムックにまとまっている)『めかくしプレイ』などを読むと彼の知識量とその引き出し方についてが伝わるのではと思う。

ミュージック・マガジン増刊 めかくしプレイ
 

 

はてブロに虹が降りた

Spiral Lifeを好きになった。2000年頃、録画していた演劇集団キャラメルボックス『ALONE AGAIN』のラストに流れた『20th Century Flight』を聴い(観)て、少し経ってからのことだった。WitzというレーベルにはレーベルメイトとしてL⇔Rがいた、ということを知る。最初は、侮っていた。いかにも90年代の一発屋的なポップスだろう、と。とんでもなかった。一番売れたであろう『Let me Roll it!』には厭世観や怒りが詰まっていたし、初期のマニアックなポップの中にも確実に息づくロックの魂。いっぺんにファンになってしまった。黒沢健一、シンガーソングライターという人種の最高峰と言っていい、天才の早すぎる死を悼む。

稿。無事、太宰治賞へと送ることができた。達成感とともに自分へのご褒美という名の買い物が止まらない。駿河屋で中古CDを、ちょうど半額フェアの始まったDLsiteでインディのエロゲや淫語音声を買い込む。SKE48のビデオクリップ集も予約(時期的に自分へのクリスマス・プレゼントだろうか)。

Kindle Unlimitedで目に付いた江波光則『ボーパルバニー』を読む。スマートフォン電子書籍、とはどういった感じなのかと体験したかっただけなのだが、あまりに面白く一気に通読してしまった。あまりにアモラルで痛快な、最低で最高のオタク・ノワール。タイトルでわかるとおりの『ウィザードリィ』トリビュート・ノヴェルなのだが、こういった解釈があるか、と膝を打つ。元々は虚淵玄の知り合いで業界入りしたと聞いて納得。続編はきちんと買って読みたい。

日のCDその1。

Let me Roll it!

Let me Roll it!

 

L⇔R『Let me Roll it!』

日本のバンドによる8枚目のアルバム。1995年発表。世間では『セルアウトしてしまった一枚』としての評価が多く、特にファンには『そこまでの名盤ではない』と言われすぎな気がするが、そんなことはない。ヒット・シングルという枠を超え『時代を代表する』いくつかの楽曲を軸に展開される一大ポップ・サーカス。しかしその裏側には既に時代のポップとしての孤独/厭世観といったものが剥き出しになっており、ただのネアカ・ポップスにもとどまらない。苛立ちを隠さない中盤の「僕は電話をかけない」~「TALK SHOW」への流れ、そしてアルバムのラストを飾る「LIME LIGHT」はあまりに悲しい。ポップの頂点で描いた風景はあまりに哀しく、それでも美しい。どうか、永く聴かれ続ける名盤として残っていって欲しい。

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日のCDその2。

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Salle Gaveau『Strange Device』

日本のバンドによる2ndアルバム。2008年発表。なんとなく、ライブで聴いた曲も無いし、と後回しにしていた本作だが、やはりというか当然というか最高だった。『プログレッシヴ・ロック meets タンゴ』として試行錯誤感が強くもポップだった1st『Alloy』、或いは『ピアソラの観た夢の向こう側』を正しく体現する3rd『ラ・クンパルシータ』と比べると本作はカオスだ。ロックともタンゴとも言い切ることができず、無理矢理にジャンルを当てはめようとするならば『アヴァンギャルド・チェンバー・ミュージック』だとかそういった曖昧さになってしまう。鬼怒無月が微妙に関わりのあるR.I.O./レコメンと呼ばれるジャンルが最も近いかもしれない。複雑なコンポーズを内包して尚、プログレ/タンゴ由来のロマンチシズムを失っていないのは三枚ともに共通するところだ。最初の一枚、ということでは1stか3rdのどちらかを推すが、結局は揃えることになるのだろうからどこから入っても良い、とは思う。現代日本の至宝であり、新譜の予定がなく、ライブもあまり行われていない様子を見ると非常に残念だ。せめて広く聴かれることを望む。

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日のCDその3。

音

 

zabadak『音』

日本のアーティストによるソロユニットとなってから最初のアルバム。1994年発表。12/6は吉良知彦氏の誕生日ということで、少し遅いけれども触れておこうと思う。一曲目からパブリック・イメージとは違った(しかし定期的に顔を出すことになる)ニューウェーブ経由のギターロックが飛び出してきて面食らうが、後に定番となるスケールの大きなラブソング「星の約束」、『星の王子様』をモチーフにしたというミステリアスな「点灯夫」(僕がzabadakで最も愛する楽曲のひとつでもある)、Cara Jonesをフィーチュアした「fatal flaw」、吉良氏の洋楽(80's/ニューウェーブ)趣味が色濃く現れた「planet earth, I sing」と、前半部だけでも聴きどころが多い。比べると後半部はやや地味にも思えるが、むしろこちらがzabadak的に本領なのではという気がする良心的なうたばかりだ。と、どれだけ書こうともこの盤に関しては目玉である「14の音」について触れないわけにはいかないだろう。当時の周辺人脈を動員して歌われる、『音』を『歌う』ことについての根源的な問い。後に定番とする初期Mike Oldfield的大曲ながら、あくまでメドレーの伴奏に徹するトラック、個性的な歌手たちとユニークな一曲だ。『のれんわけ』後最初の一枚ということで吉良知彦というパーソナルが強く出た、zabadakのコアと言っても良いだろう作品(『かたみわけ』でも当時の録音物から参加特典が配られたという)。最初の一枚にとは言わないが(上と同じことを言ってしまった)、いつか聴いて、揃えてもらいたいと願う。

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はてブロの忘れ方

稿。今月10日締め切りの太宰治賞に送るべくどうにか11月中に書き上げたい、と思っていたのだがぎりぎり30日に書き終えた。『インテレクチュアル・スラッシュ』という、アイドルと暴力性についての原稿用紙50枚程度の作品。MEGADETHは特に関係ない。何人か友人にも読んでみてもらいたいが、さて。

画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』を観る。タイトル通りの作品。すっかり感動してしまった。決して明るくないものを抱えたひと達が、変わろうとあがいた記録。僕も、あの頃本気で変わりたいと願い行動していたなら、今とはまた違った未来があったのだろうか、などと感情移入しながら観ていたら「君の名は希望」が流れてきて号泣してしまった。本当に良い映画だし、乃木坂推しの友人の言葉がやっと心から理解できた気がする。

記に関連して、アイドルについて書きたいと思う。ログを漁ってみても良いのだが、だいたい一年ほど前だ。『インテレクチュアル・スラッシュ』のアイデアを思いつき、きちんと資料にあたらなければと思い、AKB48のドキュメンタリー映画をまとめ観した。もともとAKBオタだった妹にそのことを話すと、『マジすか学園』が面白いからとシーズン2までのDVD-BOXを貸され、一気観。すると坂道を転がるようにハマっていき、SKE48(センター役を演じていたじゅりなにヤラれてしまった)や欅坂46(ちょうど「サイレントマジョリティー」が話題になり始めた頃でもあった)といった辺りに深入りしていくことになる。気付いたら毎週『乃木坂工事中』、『AKB48SHOW!!』は録画視聴しているし、歌番組をこまめにチェックするようになった。地理的な問題で『会いに行け』てはいないのだが、時間の問題のような気がする。こうして振り返ると、一年でずいぶん深みにハマったな、という気がするが、幸せなので問題はない。当初の目標通り小説も書けたことであるし。

Kindle Unlimitedを試用してみる。とりあえず、驚くほど検索性が低く目当ての本を見つけづらいのが気になった。百合姫コミックスだとか二次元ドリーム系がけっこうあるので、それらを消費するのに月980円が適切かどうか、という感じだ。

画してあった『細野晴臣 A Night in Chinatown 1976-2016』を観る。相変わらず細野さんというひとはつかめないな、という思い。音楽的には心からのグッド・ミュージックがいくつかのジャンルをまたいで展開されるもので、非常に充実してはいたのだが。あらためて、星野源はサイドマンとしてそこまで嫌いなわけではないのだが、ということを考えたりした。

日のアルバム。

おはよう

おはよう

 

曽我部恵一ランデヴーバンド『おはよう』

日本のバンドによる1stアルバム。2007年発表。細野晴臣つながり、というにはあまりに乱暴かつ焦点の定まっていない括りではあると思うのだが、いややはりサニーデイ以降の日本語(フォーク・)ロック再評価ということをきちんと踏まえつつ最近買ったら最高だったので。そもそもサニーデイがけっこう好きなのだが(ベストは『24時』だろうか)曽我部恵一BANDが致命的に合わず、こちらも敬遠していた。しかし今作にはグッときた。艶やかなサックスとピアノの音色が特徴的な、メロウネスの塊みたいなグッド・ミュージック。フォーキーであったり、サイケデリックであったり、やはりロックであったりするものの、あくまで大人の音楽(この場合の『大人』は『おとなのふりかけ』ぐらいの意味かもしれないが)としてただ耳を蕩かせる。曽我部恵一にはこういった方向の作品を求めているので、また是非ともこの名義でアルバムを作ってもらいたいが、そろそろ10年が経つのかという思いでなかなか複雑だ。

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サニーデイ時代の楽曲でアルバムには未収録だが、このアレンジ、かなり好きなので音源化してくれないだろうかと願いつつ。

嘘つきはてブロとくじら号をめぐる冒険

ダンジョンタウン ~遺跡の森と夢魔の薬~(リンク先18禁)にハマっていて特に話題が無いのと、ここのところ書いていなかったので、最近聴いた音楽特集でも。

Little Museum of Bird

Little Museum of Bird

 

小鳥美術館『Little Museum of Bird』

日本のユニットによる1stミニ。2016年発表。この時期になるとぼちぼち年間ベストでも決めよう、という気になるのだが、今作は完全に伏兵だった。本当にごくシンプルに、アコースティックギターと女性ヴォーカルだけで成立する世界、なのだが、無駄が無いというだけではなくここまで豊かに響くのはなぜだろう。今年最も『音楽の魔法』を感じた一枚だった。特に、アコギの表現に関しては感心するばかりだ。また間隔を空けずにリリースしていただきたい。

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the Post

the Post

 

リーガルリリー『the Post』

日本のバンドによる1stミニ。2016年発表。編成の関係で(初期)チャットモンチー風な、と形容されることが多いが、もう少し『ヘン』なバンドだと思う。楽曲こそオーソドックス、かつ高品質なギターロックだが(フックの付け方に個性があってそれも良いのだが)、どこを向いてどこから現れたのかが今ひとつ判然としない歌詞がとにかくすばらしい。何を言いたいか、はきちんと伝わるしエモーショナルなものではあるのだが、不思議としか言いようが無い。個人的に『けいおん!』で観てみたかったガールズ・バンドの姿が重なるというのもあり(放課後ティータイムはあれはあれで好きだが)、今後も気にしていきたい存在。

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Dance on a Sinking Ship

Dance on a Sinking Ship

 

SPEAK NO EVIL『Dance on a Sinking Ship』

日本のバンドによる1stミニ。2016年発表。巽朗(ex-DETERMINATIONS)と元晴(SOIL & "PIMP" SESSIONS)が在籍する『Island Jazz』バンド、ということでSKAやロックステディなどジャマイカの音楽をジャズ的に表現する(或いは逆)、というバンドであり、バンド名にもなっている「Speak No Evil」の名カヴァなどまさにその好例だろう。ここで描かれているのは何度も表現されつつもあまりオーヴァーグラウンドで語られる事の無かった『ジャマイカン・ジャズ』そのものであり、たとえばMonty AlexanderやErnest Ranglinといったミュージシャン達が鳴らし続けてきたものが実を結んだ、とも言えるだろう。都市型、洗練のジャマイカン・ミュージックとして本当にすばらしい一枚だ。

 

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KEEP ON BLOWIN'

KEEP ON BLOWIN'

 

巽朗『KEEP ON BLOWIN'』

日本のアルトサックス奏者による1stミニ。2013年発表。せっかくなのでこちらにも触れておこう。プレSpeak No Evil、だったかどうかは寡聞にして知らないのだが、少なくとも音楽性は確実にそうであることがわかるジャマイカン・ジャズ・ミュージック。国内外の強者を揃えて奏でられる音楽はとにかく甘く、イージーリスニング/ムードミュージック的ですらある。単純に、極上のBGMとして聴くのも間違っていないと思うのだが、その確かな技量が鳴らす音色に耳を傾けてみるのも良いのではないか、と思う。

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